アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

迷子の達人

2016年02月03日 | 生活
今朝の通勤電車では、「それからはスープのことばかり考えて暮らした」(吉田 篤弘)という小説を読んでいた。来る途中だけで読み終わってしまったくらいさらっと読める本。

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内容はとても地味で、悪の犯罪組織も燃えるような恋もなんにもなくて、ただ失職中の主人公と、大家さんと、サンドイッチとかスープとか昭和の映画とか、なんかそんな感じでたんたんと続いていくんだけど妙に気になる本。現にいま、猛烈においしいスープが飲みたい。かぼちゃの入ったやつ。

この中にこんな一節がある。主人公の姉が迷子体質であることを説明しているところで
「それはつまり宿命的なもので、「短気」で「あわて者」でありながら「自信家」であった父の血を姉がそっくり引いてしまったのだった。」

「迷子もたび重なれば、それなりの自己表現になった」…本人はいたってけろりとしていて「迷子になったぶん、余計にいろんなものが見れたし」といったりしているので、ある程度確信犯なのかもしれない。

ところで私も筋金入りの方向音痴なので、「「短気」で「あわて者」でありながら「自信家」」というところはものすごくよくわかる。「短気」だからもう考え込んだり立ち止まったり確かめたりしないですぐ行きたいし、「あわて者」だからそもそも確認するのは苦手だし、それでもって方向感覚はまったくなく、でも「自信家」で確信を持ってまったく違う方向へ歩き出す。

ほんとうは自信家というのとは違って、「こちらで正しいのだろうか」と考えもしていないという感じに近いと思うけれど。

それで私も昔はよく道に迷っていたけれど、最近は迷わない。時間を無駄にするのが嫌いなわけだから(せっかちだから)それを一歩進めれば、そもそも道に迷いたくはないわけで、「しぶしぶ(?)」事前によく確認して、地図を打ち出したり、スマホでグーグルマップを見たり(これはほんの最近のことだけど)、するようになったから、ほぼストレートに目的地に着く。

つまり、主人公の姉というのと私とは、こと「方向音痴」体質に関しては似ているかもしれないけれど、気質に関しては正反対で、片や「遠回りを楽しむ派」、片や「時間を無駄にせずやること片づけてほかのことをする派」ということになる。

主人公は、姉の薫陶を受け(といっていいのか)失職中でも慌てず騒がず同じ映画を何度も見に行ったり、気に入ったサンドイッチ屋に通いつめたりしていて、間違いなく「遠回りを楽しむ派」。

周囲に出てくる登場人物も、なんだかどこか一本抜けてて浮世離れしているというか、月次週次に追われて何かしている人種はいない。

そんな人々が集まって、地味で素敵な人間模様と、おいしいスープができる(というストーリーである。乱暴にまとめると)。それと、悪の犯罪組織や世界征服の陰謀とかは出てこないけれど、ほんの少し謎解きの部分はある。サンドイッチ屋の店主は何がいいたいのかとか、なぜ腕時計が動き続けているのかとか、緑の帽子の女性は誰なのかとか。ただ、ミステリー本ではないし、登場人物も謎を解こうとして動いているわけではない。ただ、ちょっとした幸せを求めてなんとなく生活(回り道含む)しているうちに、実は場面(人物関係図)が転換していくような感じ。

私は体質的には「方向音痴」でありながら、もう遠回り気質を捨てて遠くまで来てしまったので今さらこういうテイストの生活には戻れない。そのおかげであれやこれや楽しいこともたくさん出会えるので(仕事も子育てもブログもピアノもバイオリンもできるのはそのおかげに違いない)、別にこっちはこっちで悪いわけじゃないけれど、

この本を読んでいるとちょっと…

うらやましいというか、ちょっと胸に「ちくっ」として自分の失われた部分を悼むような気持ちになった。

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