アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

アッパー系な発想標語(ラヴェルソナチネ一楽章)

2020年03月16日 | ピアノ
さてここから一楽章の山場

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43-58小節(展開部②)

この箇所は一つの大きなフレーズとして捉えるとうまくいくと思います。しかし小さなフレーズ構造は「(3/2)/(2/2)/(1/1/1)/(1/1)/(2)」になっていると私は解釈します。ここには今までに出てこなかった”crescendo”、”accelerando”、”animé”、”passioné”など、かなりアッパー系な発想標語がオンパレードなので、かなり盛り上げるべきです。それこそボレロの最後のような感じで。私は昔、この部分があまり好きではなかったのですが、それはこの複雑なフレーズ構造とテンポ変化のダブルアタックによる興奮を見逃していたからです。それがないとこの箇所は、断片的で単調かつプリミティブなフレーズが「幼稚に繰り返されている」ように聞こえます。
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artomr先生は昔、ココがあまり好きではなかったんですね。
実際は上記のように、ラヴェルさんはフレーズ構造で複雑な仕掛けをしながら、アッパー系標語でテンポ変化させて、という凝ったことやって「興奮」につなげているとのことですが、まぁ考えてみれば断片的で単調なフレーズを幼稚に繰り返すのってそれだけで「興奮」につながるんじゃないかと思ったり。いずれにしても弾いていて気持ちいいところです(ハズさなければw)

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59-70小節(第一主題部の再現部)

69-70小節が提示部よりも、起伏のない状態に変化しています。これは再現部の第二主題部が、調的に主調方向に向かうことを反映していると思います。だから69-70小節は、提示部の対比的な11小節と12小節のように対比的ではなく、69小節と70小節の同一構造の反復を継続的に演奏し、穏やかに収束するように”rall.”すべきだと思います。

71-81小節(第二主題部の再現部)

ここは提示部の第二主題部と調性が異なるだけで、同じ表現ですが、強いて言えば、少しだけ静かに弾くといいかもしれません。主調である(本当はfis
mollですが)Fis durの領域だからです。

82-87小節 (コーダ)

長いrallentandoとLentは、シューマンの《子供の情景》の〈トロイメライ〉や〈詩人のお話〉の長いリタルダンドを思い出してください。かなり長い期間にわたって減速して、非常に幅の大きな一拍を持ち堪えられるかどうかが勝負です。普通のピアノ曲にあまり出てこない減速なので練習してみてください。
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そして盛り上がりのあとはだんだん落ち着いてくるのは、聞いてる感じだけでも明らかですが、「調的に主調方向に向かう」というのは考えていませんでした。調が違うだけで前と同じところを「少しだけ静かに弾く」というアイディアも。

(これはここだけの話ですがいつも調のことを何も考えずに譜読みして弾いてるんですがそろそろあんまりなので「今はナニ調」くらい考えるようにしたほうがいいかもしれません)

ところで「普通のピアノ曲にあまり出てこない減速なので練習してみてください。」っておもしろいですね。ふつう、速くなるところが自信なくて熱心に練習することが多いけども。考えてみれば、説得力ある減速って難しいかも。


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