アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

ピアノのハンマー、革からフェルトへ

2021年03月01日 | ピアノ
放送大学「西洋音楽史」のテキストをぱらぱらめくっていたら、ピアノのハンマーが皮から羊毛フェルトに変わったあたりの話が出てきた。

    にほんブログ村 クラシックブログ ピアノへ←ピアノという楽器だって今が終着駅ではないかもしれない

1820年代ごろまでのハンマー・ヘッドは鹿か羊の皮を鞣したものが使われていたけれど、その後フランスやイギリスではフェルトが導入され始め、しばらくの併存期間を経てもちろん今ではフェルト一択。

フェルトに置き換わっていった理由は、より柔らかい均一な音色を求めてということもあるけれども、良質の皮が入手しにくくなったということもあったらしい。

ショパンのころのピアノ、というかショパンが愛用していたプレイエルのピアノは、鉄の支柱を採用したことで音が豊かになり、その一方でまだ革を使っていたので現代ピアノとは音色が異なる。どう異なるかについては…

テキストの中で「参照」されていたCDがこれ:
1846年製プレイエル&1852年製エラールによるショパン:ピアノ・ソナタ集(上野真)
聞いてみたくはあったが…高い(o_o;; と思って検索すると
(訂正 2021/3/9: このとき何か見間違えたのか5000円くらいに見えたんですが、今みたらふつうの値段でした。)

Spotifyで(広告入りでよければ)無料で聞けます→Chopin: Two Piano Sonatas Played on Pleyel 1846 & Erard 1852
聞いた感じは…とても好き。軽さ、明るさがあって、弾かれ方も速すぎず強烈すぎず(たぶん現代ピアノよりは限界があるのかも)美しい。余白のある美しさ。声部の弾き分けもクリアで、立体的に聞こえる。

テキストには「これに対して現代のピアノの打弦素材は、革の部分がなくなり、すべてフェルトで覆われている。その結果、音質がより均一化され、複数の声部を弾き分けることが容易でなくなった」とある。

まぁ十把一絡げに「現代のピアノ」といってもいろいろあるので、めるちゃんみたいな弾き分け苦手なコも確かにいるけれど、おゆき先生のうちのシードマイヤーとか、内藤晃先生のベヒシュタインとか、わりとちゃんと弾き分けできる楽器もあるよね。羊毛フェルトではあるけど。だいたい、気難しいというか下手に弾くと下手に鳴るピアノっていうのは弾き分け得意な印象です。

革ハンマーのピアノの音を聞くと、アタック部分に音色の特徴があって、極端にいえば「ぱしん」「ぺしん」というような、非線形振動の塊というか、そこはたぶん弾き方によって音色が変わるモトであり、それと同時に下手に弾けば嫌な音になる道理である。

音色も含めて、楽器としての良さでいうと革には革の、羊毛には羊毛の良さがあってどちらが完全に片方よりすべて優れているとは言えないんだろうけれども、製造上の都合というのもあるので(入手しやすさ、均一さなど)時代は巻き戻らない。

今、何年か前から比べると高級ピアノが値上がりしている感じがするけれどそれは良質の材料の入手しにくさも影響していると聞く。地球環境や経済状況の変化で良質の木材が入手できなくなったら樹脂製(*)に置き換わったりとか何か、ここからさらにピアノが変化していくこともあるのだろうか。

置き換わるときには必ず、やはり木じゃなきゃとか「音質にうるさい」人が旧材料に固執することは当然ありそうだし、実際いくら工夫しても新材料では失われてしまう何かというものもきっとあって。でも新しい利点(または特徴)も加わるのかもしれない。


(*) シゲルカワイはアクションに樹脂を採用している。たぶん良いことや悪いことがあるんだろう(けど公式ページにはよい面しか書かないからわからない)

にほんブログ村 ピアノ  ←ぽちっと応援お願いします
にほんブログ村 ヴァイオリン ←こちらでも
にほんブログ村 その他日記ブログ 50代女性日記 ←こちらも参加しています


「はじめての中学受験 第一志望合格のためにやってよかった5つのこと~アンダンテのだんだんと中受日記完結編」ダイヤモンド社 ←またろうがイラストを描いた本(^^)


「発達障害グレーゾーン まったり息子の成長日記」ダイヤモンド社
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする