アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

繰り返し含めて設計された構造(ラヴェルソナチネ一楽章)

2020年03月15日 | ピアノ
ラヴェルのソナチネの場合、一楽章と二楽章にそれぞれ繰り返し部分がありますが、私がWeb練習会にアップした録音だといずれも繰り返さずに弾いていました。

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理由は単純で、そうしないと「15分」に収まらないと思ったからです。「15分」というのは何かというと、発表会での持ち時間です。これを超えるわけにもいきませんしせっかくですから全楽章弾きたいですし選択の余地はない、と思ったのですが…


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13-25小節(第二主題部)

いきなりこのセクションの最後の話になりますが、ここも繰り返しは必要だと思います。特に1回目の括弧の26−28小節の推移は、28小節2拍目のスタッカートがついた16分音符でフレーズが中断し、美しい16分休符を挟み、"pp subito"で第一主題の途中から短縮されて繰り返されるという凝った構造を持っているので、ここを繰り返さないのは、この曲の魅力に傷をつけることになります。繰り返しは作曲家が書いたものであったら、できるだけやった方がいいです。(ただし古典派のソナタでは提示部の繰り返しはやりますが、展開部以降の繰り返しは、省略する場合が少なくないような気がします。リヒテルはどちらも同じように繰り返すことが多いですね。)繰り返しを避けるのは、演奏家の仕事ではなく、作曲家の仕事かもしれません。

このセクションの13-23小節は「(4/3)/4」というフレーズ構造になっていますが、終わりの19小節と23小節には減速の指示があります。それを行うと、フレーズ構造が明晰になります。
20小節からは23小節まで、構造全体が「時間の進みが遅くなったように」遅くなります。そして23小節はフェルマータの上に”long”と書いているので、完全に時間を停止させてください。ここは様々なピアニストが短く演奏しているように私には思われます。

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artomr先生は「この曲の魅力に傷をつけることになります」と強い調子で、繰り返しを求めています。おっしゃることはわかりますが…

さてさて、それで本日、改めて自分で「危険度上がらない範囲で」弾いて録音して時間を測り直してみました(繰り返しあり)

一楽章 5'31''
二楽章 3'15''
三楽章 5'48''

あっっいつの間にか入ってるっっ

これ、繰り返し行ける?? 事故ったらオーバーするけどもw

23小節のところ、Rall.にフェルマータにlongとは、よほど時間を止めてほしいんですね。でも「ここは様々なピアニストが短く演奏しているように私には思われます。」確かにそんな気がする。

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29-42小節(展開部①)

29、30小節裏拍の「ミ」のオクターヴをもっとはっきりと鳴らした方が、この強拍が消えた間が持ちます。
34小節2拍目の装飾音は、それまでの静的なパッセージを引き裂くようにイン・テンポではっきりと入ることで、また32分音符の奔流を基底とするパッセージの意味がはっきりと感じられます。
興味深いのは今度は何の前触れもなしに、41小節でいきなり8分音符がフォルテで鳴らされて32分音符の流れを断ち切ることです。そして、42小節には、また43小節から始まる展開部第二部に移行するためにpoco rit.がかかります。このリタルダンドは40小節と41小節の突然の変化を緩和する働きもあると思います。

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「34小節2拍目の装飾音」が自信なくてハッキリ弾けないんよね…マズいよね

ここからの32分音符群がキラキラと鮮やかに弾けたらいいな~と思うんだけども。


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シンフォニア新章

2020年03月14日 | ピアノ
私が当初、「インベンション教えてください」といっておゆき先生のところに通い始めたことは(ブログ読者にも)ほとんど知られていない(ような気がする)。だって自分でもほぼ忘れてたもん

    にほんブログ村 クラシックブログ ピアノへ←バッハさんてなんでこんな曲うまく作れちゃうんだろ

始めのころ、確かにインベンション見てもらってたんですけどね。だんだん「次はいついつまでにこれこれを弾かないと」みたいな人前で弾く予定の曲がてんぱっててバッハしてる余地がなくなっちゃったんですよねハハハ(^^;;

インベンションは…半分くらい弾いたと思うんですけど

それが、おゆき先生んちでクラヴィコード弾いて突然バッハがまた弾いてみたくなり、
今日のレッスンで人生初シンフォニアとなりました。

なぜインベンションを飛ばしてシンフォニアなのか…
特に理由はない…
強いていえば好奇心!?(手ぇ二本しかないのに三声弾くの? みたいな)

練習してみての感想ですが、まぁ弾けないことはないというか音はあらかた並ぶんですが、
指使いを決めるまでが超めんどくさくて
でも弾き始めると癖になって何度でも弾きたくなってしまう
ココもうちょっとどうにかならないか?? みたいな
そしていくら弾いてもやっぱりミスタッチの山(ラヴェルのほうがよほど当たります)

弾いてるとなんか楽しいんですよね。

…でも何が楽しいのか自分でもよくわからないんです。

とりあえずおゆき先生の前でシンフォニア一番を弾きますと、おゆき先生
「だいたい弾けてるからどんどんシンフォニア弾いたらいいわ♪」
(ハノン、ツェルニーはどっちでもいいが本音ではバッハは弾いといてほしいおゆき先生)

まず基本的な要改善点としては拍感というか流れというか
四拍子
ダダダダダダダダ…じゃなくてスムーズに拍子に乗ってうたってほしい

それと、指替え。もっと素早く、スグスグ替えておくこと。


赤丸のところ、いきなり5で弾くとその前とうまくつながらないもんで、3から5に入れ替えるように弾こうとしていたんだけど(それ自体は悪いアイディアじゃない)
それが成功率低くて(笑)

で、先生が指揮しながら弾くとまず7小節頭のところまではまずまずいい感じで来て、
そこからはわりと目まぐるしく、テーマは途中で切れちゃったり、
転調…これはナニ調?
というわかりにくいところ、私がいかにもワカッテナイ感じで弾いていたので最低限の解説(たぶんartomr先生に解説させるよりアッサリ)

そして紆余曲折を経て、19小節でテーマにしっかり戻ってきたときのヨロコビ

実はこの19小節でテーマが始まるところには、薄く書き込みの跡があるんだけど
ここは、バイオリン三人でこのシンフォニアを弾いたときに、中川Vn先生が
「ここからテーマが戻ってきてうれしいなという感じでくっきりはっきり堂々と弾いてね」
的な話をしていたと思うんですよ(アルトパートを弾いていたのはきーちゃんさんだけど)

そこがシンフォニア弾くうえでツボなんですねきっと

なんか幸せな気持ちで終われる曲で、気に入りました(^^)

というわけでここからシンフォニアぽつぽつ弾いてく(たぶん)
前と違って、人前で弾く用の曲も練習して、バッハもちょっと弾くくらいの時間はとれると思うから。


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テンポで変わること(ラヴェルソナチネ一楽章)

2020年03月13日 | ピアノ
さてさて一楽章のコメントもながーいんでざくざく行きたいと思います。

    にほんブログ村 クラシックブログ ピアノへ←ラヴェルのソナチネ、見れば見るほどよくできた曲なんですわ

そうそう、まぁ練習会とかいろいろなくなるなら代わりに録音をアップして、といっても、実は録音もしにくいんですよね。だって家族がやたらと家にいるんだもん!! 今回のラヴェルも、「起きてくる前に~」とか、隙間時間でささっと録音して、録音を確認したときに「げっ!! 遅っっ」と思ったけど録り直しする暇なし。

っていうか、速く弾いたら今度はミスが増えたかもね…

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一楽章

アンダンテさんの一楽章は、全体的にテンポキープができていてとても良いです。そしてミスタッチが少ないのも素晴らしいです。この曲はミスタッチをとてもしやすい曲で、しかもミスタッチが致命的になりやすい曲だからです。
アンダンテさんは、どんな曲でもミスタッチをできるだけなくそうとしている心構えがあるから、このように弾けるのだと思います。ベートーヴェンが「ミスタッチをしても怒らなかったが、強弱記号を無視すると烈火のごとく怒った」という話がありますが、だからといってミスタッチをして良いわけではなく、ミスタッチに甘くなると、いくら表現力があっても「ゴミのような演奏」になります。
私自身、昔はミスタッチを甘く見ていて、名曲をゴミのように弾いていたので、とても恥ずかしく思います。今でも私はミスタッチは多いですが、それは甘くみているわけではなく、私にピアノを弾く能力が欠如しているためにミスタッチしてしまうわけです。ピアノを弾くことにおいて「表現力が豊かであること」、「ミスタッチをしないこと」は、プロだろうがアマチュアだろうが関係なく、二つとも重要なことだと私は思います。人間は必ずどちらかに傾くものですが、それを許容して自分の立場だけを正当化するのは完全にナンセンスです。つまり「自分の理解の外にある、優れた作品や演奏」を理解する可能性を失うので、それ以上は上達しないということです。得意は不得意の裏返しですから、よく自分の性質を把握し、「自分のやっていることに目をつぶらずに、よく見ること」(ピアノだから「自分の演奏を批判的に検討すること」ですね)が、上達に繋がると思います。このように考えると「アマチュアだから、プロだから」という言い訳は、通用しないと思います。「自分の好きな音楽を演奏する」ということにおいては、立場は違ったとしても、プロもアマも同じ土俵に立っているからです。難しい曲をバリバリ弾けるけど、繊細な演奏表現に無関心だったり、表現ばかり追求して、ミスタッチを減らす練習を怠っているのは、プロ・アマ関係なく、どちらにも起こることだからです。そういう演奏をしていると聴き手が去ってゆくのは当たり前のことです。演奏家は、作曲家と違い、聴いてくれる人を必要とします。作曲家は演奏家と違い、誰も聴いてくれなくても作品を書き残せればいいようなところがあります。でも昔の演奏家に比べて今の演奏家は、録音や動画を残すことができ、しかもyoutubeで世界に向けて発信できるので、少し作曲家に近づいたように思います。しかしそのような聴取のあり方においては、作曲家と同じように「時間に耐えることのできる」演奏をしなければならないわけですから、やっぱり「表現」も「技術」もどちらもかなり高いレベルで必要になってくるわけですね…。

ああ…前置きが長くなってすみません…。(ここまで全部カットしていいです)
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全部カットしていいと言われましたが、せっかく褒めてくれたので記念にそのまま掲載します。

演奏をなにがしか褒められることもあるけど(衣装とか選曲だけではなく)、ミスタッチが少ないと言われたのは初めてのような気がします。新鮮です。

単にミスタッチがぜんぜんなくてつまらない演奏というのもあるだろうけど、
そんなものは目指すつもりもないし到達することもできないけれど、
そりゃミスタッチも多いより少ないほうがいいので、その方向で工夫していることは確かです。

あと…artomr先生がいうには「この曲はミスタッチをとてもしやすい曲で」とのことですが、私の感覚では、この曲はとても当たりやすいというか弾きやすいんです。手に沿うというか…ほかにいくらでも外しやすい曲はある。人によるのかな??

この、長々しいミスタッチ論、非常に興味深いところなので、また別の機会に考えてみたいと思います。

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1-12小節(第一主題部)

さて、全体的にあと少しだけテンポアップすると、これから私が書くことがより生きてくると思います。
なぜテンポアップが必要かというと、この曲の32分音符の連続は、何かがざわめいているような独特の質感を出すものだからで、もう少し速くすることでこの特徴がはっきりします。
逆に言えば、この32分音符が途切れるところも重要になってくるわけです。まず3小節の2拍目の三連符がありますが、ここは次が”pp subito”とありますから、もう少し柔らかく拍をとると良いと思います。そのようにすると32分音符の奔流が、フッと突然途切れる効果が生じて、美しいです。次に32分音符が途切れるのは目立たないのですが16分音符が最小単位になる10小節の1拍目裏にあり、それは次の11小節1拍目表の「八分音符による32分音符の停止」という到達点の目立たない前触れです。もう少しだけテンポアップすることで、この32分音符のざわめきが停まる瞬間が、はっきりと対比的に響くと思います。
そして、次の第2主題部に移行するために12小節の「rall—」が必要です。機能が変わるセクションに移行する際に(特にこの曲は、第一主題部の32分音符に対して、第二主題部は8分音符をベースとした対比がある)、テンポ変化はそれまでの質感を変えるために、便利ですし、ここでは作曲者が書いてあるので必須です。
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自分にとって無理なテンポでぐちゃぐちゃ弾いても始まりませんけど、テンポが違うと別物に聞こえるってのがよくある話で、
最低限おかしくないテンポってのがありますね。

ときどき、私がYouTubeとかでプロの演奏をかけていると、娘が「あっ!!これ、お母さんが弾いてた曲だ」とかいって私が「そう~よくわかったね」なんてことがありますが、テンポが違えば判じ物レベルです(笑)

フッと途切れる効果とか、質感とか、シーンチェンジとか、テンポに支えられて成り立っているので、もちろん正解にある程度の幅はあるでしょうし、成り立つかどうかは弾き方にもよると思いますが、とりあえず自分で納得いくテンポにするには、そして本番でそのテンポできっちり始められるようにするには、もっと練習が必要ですね(結局ソレ)



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とことんブラームス愛。

2020年03月12日 | ピアノ
ブラームスで一番好きな曲はと聞かれたら、人によってだいぶバラエティーがありそうだけど、私は迷わずバイオリンソナタ第一番。

    にほんブログ村 クラシックブログ ピアノへ←「室内楽→ピアノソロ」という流れも、うむうむと思ったり

どのくらい好きかというと、好きすぎて、絶っっ対無理なのに一楽章の伴奏をどうしてもしたくて中川Vn先生に弾いてもらったくらい(そして途中がっつり落ちた)。

いちばん好きといえば一番だけど、ほかのもすごく好き。

なので、バイオリンソナタを三つ全部聞けるコンサートがあるというので、一も二もなく出かけていった。
上里はな子・島田彩乃ブラームスヴァイオリンソナタ全曲演奏会

島田彩乃さんは、昨年末のサロンエスプリ発表会のときに、お父様(アマチュア)が弾くブラームスヴァイオリンソナタ第一番一楽章の伴奏をしていたので知っている。お父様もこの曲お好きなのかな…でもヴァイオリンもめちゃ難しいですよ(数えるだけでも)。彩乃さんからいっぱいダメ出しされてさんざんだったらしい(^^;;

* * *

初めて生で聴く、ブラームスバイオリンソナタ全曲。ある程度の長さありますけどほんと短く感じました。
どの曲もどの楽章も緩みなく美しくて、退屈なところがまったくない。
名曲中の名曲です。

演奏のほうも、美しさといい、音色の説得力といい、絶妙なアンサンブルといい、そして溢れるブラームス愛があって…

バイオリンの上里さんは、知らないで行ったけれども、これがもうむたくた素晴らしい。

特に音色がことのほか気に入ってしまったので、家に帰って探してみると
scherzando
というアルバムがアマゾンプライムで聞けた。

島田さんは、コンサートの会場でCDを販売していたのでそれを買って帰ってきた。
ブラームス : ピアノ作品集 作品35, 117, 118 / 島田彩乃

ヴァイオリンソナタじゃないけどブラームス。しかも、私の好きな(今後弾こうと思っている)Op117(三つの間奏曲)だからそりゃ買うよね。

中を見ると、島田さんは桐朋の高校のあとパリ国立高等音楽院に留学しているのだけど、10年のパリ生活のあとなんとブラームスの師を探してライプチヒ音楽大学に行っている。

「ドイツ国内を巡って、自分と同じくらいブラームスを愛し、彼と同じドイツの血が流れるドイツ人教授を探した」
というからどんだけ好きなの、という感じ。

そこに至るまでは室内楽きっかけでブラームスにハマったらしいが、ライプチヒに行ってから
「ブラームスのピアノソロ作品にもこの地で改めて取り組み、ドイツの友人や先生の意見を取り入れながら深く研究するうちに、室内楽作品と同様にブラームスならではの魅力を多いに見いだせるようになっていった。」

で、特に思い入れの強い三作品として
作品35, 117, 118
がCDに収められている。

この中で作品35(パガニーニの主題による変奏曲)は一生「聞き専」であることが確定しているが、
作品117(三つの間奏曲)は今生のうちに弾く予定なので、
「萌え」を共感しつつリピ聞きしている…

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これがほんとのクライマックス(ラヴェルソナチネ二楽章)

2020年03月11日 | ピアノ
クライマックスというと、単純なイメージとしては、ボリュームでかく、スピードはどちらかというと「巻き」で、なんですけど、ラヴェルさんそんな「ずんちゃか」いって終わりにしてません。

    にほんブログ村 クラシックブログ ピアノへ←あと一楽章と三楽章。何回かかるんだろ

二楽章のクライマックスは、静かで、ゆっくりなんですね。39小節から、ほんとに大事なところで、おゆき先生ももちろん、音量バランスとかについていろいろいってくれたんだけど、ここムズいんですよなかなかうまくいかないんですよ。



一部省略



左手のところに、時間がびろーんと伸びてしまった感じの拡大されたテーマが出てくるので、それがしっかり聞こえるように弾きたいんですけど。高音のほうがキラッと目立っちゃいますね。

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39-52小節

 ここが本当のクライマックスです。ここのテンポはそれまでのところに比べて遅く弾くようにラヴェルが指示しています。まるで「時間の進みが遅い世界」のように弾くといいのではないでしょうか。最高音の「上四点ホ音」が出ます。しかしクライマックスですが、ppで演奏されるのが面白いです。前回のレクチャーコンサートでお話したように、ここは同じメロディーが時間をずらして演奏されるというムソルグスキーのような技法が用いられていますが、高い音の方が「pp」、低い音の方が「p」と表記されています。
 弾いてみると分かるのですが、この音響バランスで弾くことによって、「同じメロディーが別の速度で進行していること」が初めてはっきりと聞こえてきます。この箇所では低いメロディーの方が、ゆっくりと弾かれます。ピアノは音が減衰する楽器ですから、長い音価を持つメロディーの方がやや大きな音で弾くべきです。また高い音は良く聞こえるのと、この箇所では八分音符と十六分音符でサクサク弾かれるので、ppで弾いても聞こえますし、さらにppで弾いた方がペダルの効果と合わせて繊細に聞こえてきます。そうすると神秘的な箇所になります。
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「時間の進みが遅い世界」まさにそのとおりで、うさぎ穴に落ちてしまった感じがします。ここがキレイに神秘的に行くといいですね。

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53-64小節

 この箇所は再現部ですが、61-64小節に4小節間に渡るこれまでで最も長い「rall.----」があります。この減速はとても不思議に感じます。なぜなら減速を引き起こすような構造的な変化がないように思えるからです。しかし実はあるのですが、それはこの再現部のこの部分は、提示部ではヘ短調で終止していますが、この部分はこの曲の主調である変ニ長調で終止しています。なので、この変ニ長調に終止するように作り替えられていく部分を減速させて、緩やかに主調に終止していくようにしているのではないかと私は解釈します。なので、この「rall.-----」は表現的な意味を持つので、たっぷりかけてみてください。

65-78小節

 “un peu plus lent qu'au début”(最初より少しおそく)とされているのですが、ここはもう終わりが見えている箇所だと解釈するのが良いと思います。提示部にあったアルペジオが消え、そして”ralentissez”(減速する)、“beaucoup”(たくさん)と書かれている箇所を経過し、78小節のフェルマータの休符の小節に至ります。この減速はこの曲全体で最大のものですから、53-64小節の「rall.----」よりも遅くなります。

79-82小節

 ここはコーダ(終結部)になりますが、最後の二小節は私は和声が変わる度にペダルを踏み換えるべきだと思います。ベースに鳴っている「レ♭ーラ♭」は確かにペダルを踏み換えると消えてしまうのですが、濁りすぎるよりは想像の中で鳴っている方が綺麗に聞こえる気がします。
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61-64小節のrall.は、なんとなく腑に落ちてなかった部分で、artomr先生が言語化してくれたように「なぜなら減速を引き起こすような構造的な変化がないように思えるからです。」

そこに続く調性についての解説は、わかったようなわからないような(←わからないんかい)ですが、味わって弾きたいと思います(^^;;

最後のペダルについては、おゆき先生「踏みかえなし」artomr先生「踏みかえ」で割れているところがありますが、両方のいうことがもっともなので、折衷案で浅く踏みかえてみようと思います。

とにかく、時間を操ることによって響きや感覚を組み立てている作品なので、ベースはきちんとテンポどおりが守れていないとわけわかんなくなるのも当然です。ってことで、あとは練習要ですね(汗)


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