ふみさんの日々雑感

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映画「白いリボン」

2011-01-10 12:39:57 | 映画・ドラマ・小説・マンガ
「白いリボン」 を見ようと伸び伸びになっていたが、昨日、娘と見に行って来た。

正直、コメントするのが難しい。

そんなに混んではいないだろうと思って、買い物しながらノンビリ行った。整理券は50番目くらいだったが、始まる頃には満席となっていた。そんなに、この映画が評判なのかとビックリした。

久しぶりの白黒映画だった。元はカラーで撮影された映画だが、わざわざ白黒にして上映したそうだ。

最近の映画には珍しく、音楽が余り流れない。時代は第一次世界大戦前夜の、静かな、寒々しい、あるドイツの小さな村の出来事。

村のドクターが馬に乗って家に帰って来た。そして、木と木に結びつけられた針金に馬が足を取られて落馬して大けがをする所から物語が始まる。

それは、村で起こる不可解な出来事の始まりだった。

日本の今は“カワイイ文化”とか色彩豊かななんでもありで、どちらかと言えば子供が天下のような世界。昔だって、子供は宝と言われていたと思う。

でも、その村は、それともその頃の時代はなのか、宗教の影響なのか、究極の鏡合わせのように正反対の時間の流れる世界。

子供はいるだけで罪なのか、あるいは罰せられる為にいるのか、あるいは欲望を満たすためにいるのか。

「悔い改めなさい。」と子供を押さえつける牧師。主観で子供が罪を犯したからと、だから「純真で無垢な心」を守る為にと、女の子は髪に白いリボンを、男の子は腕に白いリボンを巻いて夜寝る時にベットにしばりつける。

権力者であり、聖職者であり、医者であり、男である大人が、自分の欲望のままに妻を子供を小作人を抑え付けて行く。彼らは、何をしても悔い改めなくていいのだろうか。キリスト教の原罪とは、何なのだろう。

ドクターは、妻が亡くなり、子供の世話から家事一切、そして、看護婦の仕事もこなし、セックスの相手もしていた村の助産婦を追いだす。

「お前は醜い。年とってしわだらけだ。そして、臭い。見るのもイヤだ」と言って。

女性も子供も、その張り詰めたような白黒の世界に、色彩の笑顔が無い。

様々なミステリアスな出来事が起こるが、最後まで解決も終わりもない。ただひたすら、時間が流れて行く事に我慢をするような白黒の世界の子供達と、映画を見ている私達がいる。

どんなに「白いリボン」 を付けても、大人達の悪意、暴力、欺瞞、ウソが子供達の瞳には映っている。押さえつけられた不信感と嫌悪感を胸に蓄積して行く。

戦争が始まり村人達がミサの為に協会に集まり、そして、無音のエンドロールが流れて行く・…。

パンフレットには、後にナチスとなった子供達が暮らした時代と書いてある。

見終わった後、何となく、東京都知事が忌み嫌う、萩尾望都や竹宮恵子の世界を連想した。「純真で無垢な心」 だけを強要された少年達の心はどこに行くのだろうと。

自分達の心が邪悪だから、子供達の瞳が怖いのだろうか。










コメント
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