ふみさんの日々雑感

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映画 「家族の灯り」

2014-03-03 19:34:46 | 映画・ドラマ・小説・マンガ
クラウディア・カルディナーレとジャンヌ・モローのフランス映画。

監督のマノエル・ド・オリヴェイラさんは、101歳!!、ビックリ。

まるで、舞台をみているようだった。

テーブルがあって、向こうに椅子が二つあり、そこに座った人がひたすら話をする。カメラは私達と同じ目線。そして、彼らは私達の方を向いて、話しているのだ。テーブルの真ん中にはランプの灯り。

向かって左の椅子に、家の主人がずっと座り、右側の椅子に妻が座ったり、一人息子の嫁が座ったり、お客さんが座ったり。

8年前に息子が家を出て行き、妻は帰って来る事をひたすら待ちわび、悲しむ。

妻がコーヒーを入れに画面から消え、嫁が椅子に座り、義父にひたすら懇願する。

「お義母さんに、本当の事を言って下さい。お願いします」 と、自分の夫の事を何回も何回も義父に懇願する。

「いや、ダメだ。お母さんが悲しむから。泣かせるわけにはいかない」 と頑固に答える。

映画の冒頭に、影絵のようなシーンがあった。男が、誰かを襲って逃げるシーン。多分、それが息子なのだろうと、想像する。

そして、突然、息子が帰って来て、つましく暮らしていた家族に悲劇が襲う。

両親が寝た後に、息子は、お父さんが会社から預かっていた大金を持って逃げるのだ。妻が追いすがるが、突き飛ばして。

警察が来て、嫁がお父さんに、「本当の事を言って下さい」 と言うのだが、どうしても妻に息子が泥棒だとは言えない。

結局、迷って迷って、やっと「自分が盗みました」 と息子をかばう。

妻は、衝撃を受け、「え!!」 と絶句した所で映画は終わった。

部屋はランプの明かりなので、部屋の隅はセピア色に暗く、まるでレンブラントの絵の世界に入りこんだような映像美とのキャプションにあったとおりの独特な、フランス映画そのもの。

妻にとって、夫が牢屋に入れられるのと、息子が入れられるのと、どっちがショックなのだろう。

初老の妻と嫁が残されて、夫の稼ぎでやっと生活して来たのに、これらからどうやって生きて行くのだろうと、そんな事を思ってしまった。

若い時に、美しく魅惑的な女優さんも、人並みに老いて行くのだな、と、少し寂しく思ったり、ホッとしたり。

ランプの灯りに浮かぶ、彼らの姿が、いつまでも心に残る。




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