今日は、久しぶりに一日用がない。
天気もいいし、一人で山に行く事にした。熱々のほうじ茶とお菓子を持って。
今日のような晴天の時には、一の森から富士山が綺麗に見えるだろう。
だから、一の森を回って富士山を見てから、クヌギ林に行く事にした。
キノコ山の急な坂道を、体が重いな、と思いながらヨイショヨイショと登る。
一の森の方への道を歩いていたら、ウツギさんのグループが大きな木を切っていた。5、6人いたかしら、もっとかしら、知らない人がほとんど。
「おはようございます」と、少しだけウツギさんと話す。
そして、一の森から見える富士山を独り占めに楽しむ。
畑の方に歩いていて、ウツギさん達が篠笹と薮を切り開いて原っぱになっていた所に、私達がドングリから育てたクヌギ等の幼木が何本も植えられているので、見に行った。
早く大きくなって、素敵な林になったらいいな。
今日も、クヌギ林の笹刈をした。
落ち葉が厚く積もっているので、熊手でかき寄せて笹を刈り、また、熊手でかき寄せて笹刈りをするので、暑くなる。
途中、お茶とお菓子で休憩しながら、お昼まで作業をした。
作業していると、いろんな事が頭の中を、心の中をさまよう。
そして、無意識のうちに、亡くなった人たちと話をしている。
昔の人間だった父や母に、言いたくても言えなかった事を、「私は本当は、こう思っていたのよ。本当はこうしたかったの」と。
姉さん、もっともっと一緒に旅行がしたかったね、一緒に暮らしたかったね・・・。
そして、一番、話しかけたい人は夫。
もっともっと一緒に生活したかった、もっともっと未来へ一緒に歩いて行きたかった・・・。
山に来て、一人で作業していると、彼らと一杯話が出来る。
私には、こんな時間が、何よりも大切だ。
なるべく週に一度は、一人で山に入りたいと思っている。
空気が晴れ渡っているので、遠く都心がハッキリと見える。
上を見れば、まだまだ木々の梢は鋭く青空を突き、でも、足元には、もう春の気配が感じられる。
帰りは、林の中の厚く降り積もった落ち葉の小道を、カサコソと気持ち良く歩く。
むせ返るような湿度の多い緑一色の林とは別の世界のような、この、ピンと張り詰める乾いた空気と、光が一杯降り注ぐ冬の林が大好きだ。
もうしばらくは、この光の林を楽しもう。
山から下りたら、いつも、山への入り口にウロウロしている猫が、近くの家の塀の上で気持ちよさそうにしていた。