あるBOX(改)

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水木しげる貸本漫画

2015年12月01日 | 漫画
文庫サイズで単行本化したものを持っている。
桜井文庫で出版した「古墳大秘記」と「地獄流し」だ。

随分前に手に入れた物で、たぶん中野ブロードウェイの
「タコシェ」あたりで購入したような記憶あり。



桜井文庫で検索すると

1975年4月から貸本出版社の東考社から出された文庫本
シリーズで、その名は桜井昌一氏からとったとの事。

貸本作品を文庫本で出版するという、当時としては斬新な
スタイルは、貸本漫画のファンからは歓迎を受けたそうな。

発売開始当時、まだ貸本作品の多くが復刻されておらず、
この桜井文庫でしか読めないものが多くあるそうな。

そもそも
桜井昌一氏からして、貸本文化の重要人物で。
大阪府出身の漫画家/出版社経営者。
漫画家にて劇画の祖である辰巳ヨシヒロの兄。

水木しげる作品にも多く関わり、ドラマ「ゲゲゲの女房」にも
貸本出版関係者として登場していた。

桜井文庫は50冊以上が発行されたが、大半は水木作品
だったそうです。

「古墳大秘記」はSF風味も入っており、謎の生命体が
宿り先を次々と変え、聡明な青年武士の身体を乗っ取ろうと
する様を描いた作品。
意識を失った瞬間に乗っ取られると悟った青年と生命体の
駆け引きが古墳の麓地方で繰り広げられるというドキドキの
ストーリー。

でも農家の爺さん婆さんや小僧や茅葺き家屋や田畑が広がる、
ノンビリ・ムードも同居した雰囲気が「さすが水木先生」。

青年の身を案じる地元の美少女も登場し、ハンサム青年との
交流で物語を盛り上げる。



上の画像は「地獄流し」の主人公と妻。
「水木漫画の美男美女」、麗しいです。

ちなみに男性は忍者。里を裏切る事になってしまい、妻と
子供ともども奈落の穴に吊り下げられるという「地獄流し」の
目に遭うのだが、気付けば自分だけ現世で目を覚し、それでも
家族に対する強い愛情ゆえに異世界にいる妻子と交流を深める
・・・というお話。

当時の時代物劇画を手本にしたようなペンタッチもあるが、
そこは水木センセイ。

この世と別の世で意思を交わす物語を、後半一気に
描き上げた筆力は圧巻というか、
こちらが呆気に取られてる内にエンディングを迎えてしまう。

そりゃ古い作品だし、点描やタッチに後年程の異常な緻密さは
見られないが、それでも充分な雰囲気を醸しだしておられます。

ちょいと高かったが「買って良かった」の品で御座います。