渡邉ビルヂング
所在地:港区 浜松町2-4
建設年:1931(昭和6)
構造・階数:RC・3F+RF
解体年:2015(平成27).8
Photo 2011.12.13
新幹線からも見えていた近代建築。浜松町の渡邊ビルは世界貿易センタービルの建て替え・再開発(浜松町二丁目4地区A街区)に伴って、2015年7月から解体が始められた。
東側階段室の塔屋の屋根は切妻で、青い瓦葺き、鴟尾が載っていて、軒先も和風。しかし全体としてはスクラッチタイル張りのビル。なぜ和風(中国風?)の屋根を部分的に載せたのか、ちょっと謎な建物だった。
Photo 2015.7.18
浜松町駅から東芝ビル方面へ向かい、JR線を横断する跨線橋から。写真上部は東京モノレールの桁。道路に面した部分はスクラッチタイル張りだが、それ以外の面は打ち放しペイント仕上げのようだった。また、1Fは南北共に大きめの窓になっていた。
なお、写真中央に入っている縦線は、跨線橋の窓に鉄線がある影響。
Photo 2015.7.18
北側の壁面には「昭和シェル石油(株)特約店、関東礦油」と書いてあった。同社のウェブサイトを確認したところ、1955(昭和30)年から2013(平成25)年まで、このビルに本社を置いていた会社で、現在も近くの芝大門2丁目のビルに本社を置いているそうだ。なので、ビル自体は関東礦油という会社とは別に昭和初期に建てられたものだったことになる。
東側壁面の様子 Photo 2015.7.18
階段室は縦長のスリット窓。上下に日本建築でいう木鼻のような装飾が並ぶ。切妻屋根だけでなくパラペット部分や玄関庇の屋根も青い瓦。窓まわりのコンクリートを厚めにしていたのは耐震のためだろうか。
Photo 2005.10.1
1F玄関部分は緑色の細いタイル張り。アールデコ風といえば良いのだろうか。。
1F玄関わき上部のステンドグラス Photo 2015.7.18
派手な装飾はあまりない建物だったが、玄関には小さな花をあしらったステンドグラスがあった。
東南側から Photo 2015.7.18
見る方角によって印象が異なるのも不思議な感じだった。1階の北東側、階段室下にちゃんとした玄関があるが、東南側角にも鉄製扉の両開き扉があって、その上部には「渡邉ビル」の文字があり、屋上のパラペットも三角形に尖ったデザインで、こちら側も正面と言えなくもない。ただこのコーナー部の2、3階は窓が小さく、東北側の玄関と階段室に比べると地味。
Photo 2011.12.13
東南側角のすぐ隣にも両開き扉があり、また西南角の三角屋根の張り出し部分にも小さな扉があった。あちこちに扉があって、使われ方がよく分からない建物だったことも記憶に残る。2015年の写真は解体直前だったため、1Fの窓部分に木の板が張られてしまっていたが、この時点ではまだ閉ざされていなかった。
西南側から Photo 2015.7.18
西南側角も階段室だったようだ。周囲は2013年頃までに全て解体されていて、最後まで残っていたのが渡邉ビルだったが、この少し後に解体されたのだった。
Photo 2015.7.18
東南角部分。正方形に近い四角い窓が4つずつ並ぶ壁面。スクラッチタイルは横に細長い形。トイレとか給湯があったのだろうか? 内部の様子は残念ながら知らず。