前回の続きであるが,今度はもう1段階易しいレヴェルの紹介と考察である。(ザスマンズハウスのグレードをS,Mr. Jubin MatloubiehのものをJと呼ぶことにする。)「小学校中学年」に相当するだろうが(Sは4,Jは5と6),例によって結構難しい曲もあったりする。
まずS。Suzukiの7巻と8巻レヴェルである。
【無伴奏】は無い。
【ヴァイオリンとピアノ】には以下の曲。()は筆者のコメント。
・ドビュッシー:亜麻色の髪の乙女
(小学生には合わないと思うけれど)
・ドヴォルジャーク:ソナチネ 作品100
(付点の良い練習になるだろうし,何よりもピアノと合わせられれば最高に楽しい)
・エルガー:愛のあいさつ
(版がたくさんあって,選ぶのが難しいかもしれないがニ長調のものが弾きやすいはずだ)
・フォーレ:夢のあとに
・ヘンデル:ソナタ集
(これは前記事で述べた三大教本に従った演奏順が良い。3,4番は易しいし1,6番は難しい。5番はヘンデルの自作ではないらしいこともあり,不要と思う。)
・クライスラー:ベートーヴェンの主題によるロンディーノ
・クライスラー:愛の悲しみ
・ラフマニノフ:ヴォカリーズ
(声楽の厚みはヴァイオリンでは表現しきれないので,ヴァイオリンで演奏すること自体に懐疑的)
・シューベルト:ソナチネ
(ピアノとのアンサンブルの入門にとても適した曲。ただし第2番は除く。)
・ヴィターリ:シャコンヌ
(前記事で述べた通り,シャルリエ編だとしたら難し過ぎる。しかし,このレヴェルということならば,原典版かダフィトDavid版のように思われる。)
以下の曲は寡聞にして筆者の知らない曲
・ザイツ:協奏曲 第3番 ト短調
【ヴァイオリンと管弦楽】
・バッハ:協奏曲第1番 イ短調
・バッハ:協奏曲第2番 ホ長調
・バッハ:協奏曲第3番 ニ短調(2台ヴァイオリンのための)
・アッコーライ:協奏曲第1番 イ短調
・ハイドン:協奏曲第2番 ト長調
Jの【レヴェル5】。こちらはジャンル分けは無い。
・バッハ:協奏曲第1番 イ短調
・バッハ:協奏曲第2番 ホ長調
・バッハ:協奏曲第3番 ニ短調(2台ヴァイオリンのための)
・ベリオ:協奏曲第9番 イ短調
(重音がかなり難しいと思う。筆者ならもう1レヴェル上に入れる。)
・モ-ツァルト:アダ-ジォ ホ長調
・ヴィヴァルディ:「春」「夏」
(ヴァイオリン曲の筆頭にあがる有名曲なのに教材としてはあまり使われない稀有な例。だってピアノ伴奏ではつまらないもの。)
続いてJの【レヴェル6】。
・ベートーヴェン:ロマンス ト長調
・ハイドン:協奏曲第1番 ハ長調
・カバレフスキー:協奏曲
(第3楽章はもう一つ上のレヴェルではないだろうか?)
・クライスラー:ヴィヴァルディの様式による協奏曲
・モーツァルト:協奏曲第3番 ニ長調
・モーツァルト:ロンド 変ロ長調
・モーツァルト:ロンド ハ長調
・モーツァルト:ロンド ト長調(ハフナー・セレナードより)
・チャイコフスキー:憂鬱な(メランコリックな)セレナード
(小学生には合わないと思うけど)
・ヴィヴァルディ:「秋」「冬」
・ヴィエニアフスキー:伝説曲
明らかにレヴェル6は5より難しい。そのような見方からするとSのリストは少々大まかさが気になる。
では次回は小学生より上(かもしれない)レヴェル,あるいはかなり進んだ小学生の水準を見てみたい。