お正月中は特に遠出もしなかったので、3連休の中日に箱根に足を運びました。主目的は大好きなポーラ美術館訪問です。毎年、この時期に箱根駅伝に引っかけて、学芸員の方がリレー方式で展示作品について解説してくれるギャラリートーク駅伝目当てです。
《海辺の母子像》1902年 ポーラ美術館
今年はギャラリートーク駅伝もさることながら、もうすぐ(1/15まで)閉幕となるポーラ美術館開館20周年記念展「ピカソ 青の時代を超えて」が圧巻でした。「青の時代」を超えてキュビズム、円熟期・晩年に至る作品を展示し、その制作過程に焦点を当てた展示が、驚きと感心の連続でとても刺激的な鑑賞でした。
絵画の分析技術、画像技術を駆使して、ピカソの絵が何重にも違った絵が描かれていたことが解明されたり、(これは既存の映画とのことでしたが)「ラ・ガループの海水浴場」が積み重ねに積み重ねを重ねて今の最終形に至ったかの映像は、絵画の価値とか完成といったものがどういう意味なのかを考えさせられます。
《ラ・ガループの海水浴場》1955年 国立近代美術館
また、QRコードでスマフォでアクセスして聴く作品トークが超秀逸。お笑いコンビチョコレートプラネットと学芸員の東海林さんのトークが、芸人さんのとっても素直で楽しい絵の鑑賞・感想に学芸員の専門的な解説が掛け合わせられるという、通常なオーディオ解説を遥かに超えた面白さで、絵を見ながら、オーディオ聴いて笑ってしまうこと数回。時間がどんどん過ぎていきます。
もともとのお目当てのギャラリートークも健在です、今年11回目を迎えるというこの企画(コロナで一時中断あり)、私は確か3回目ですが、普段、通り過ぎてしまう絵を、時代背景や画家の交友、絵の着眼点などの話を聞きながら鑑賞するのは、「へえ~」の連続です。特に、現代美術作品などはただ眺めていても唸るだけですので、作品解説を伺い「なるほど~」と少しわかった気になるのでした。
ギャラリートーク駅伝の一コマ 学芸員の人は襷かけてますが写ってないですね。絵は田中敦子《'89A》
午前早いうちに入館してお昼過ぎまでじっくり、ゆっくり。いたるところに椅子も配置され休めるので、本当に居心地良い環境です。ガラスまどから見える真っ青の箱根の空と葉の散った木々や山の風景も素晴らしい。
小田原に降りて、15時前の遅めの昼食は日本酒と海鮮丼を頂き大満足。落ち着くようで落ち着かないお正月明けの連休の1日を楽しませてもらいました。
2023年1月8日