ポペルカとN響の2つ目のプログラムはモーツァルトとシューマンの組合せです。
前半、モーツァルトのアリア3曲を歌ったユコロフスカは初めて聴く方です。安定して美しいメゾソプラノです。ただ残念ながらP席からでは細部分からず、ホールに響く歌声を楽しむのにとどまりました。今度は前から聴きたい。
歌曲の間に挟まれて演奏されたのはモーツァルト交響曲第25番。映画「アマデウス」のシーンが蘇ります。第1楽想から音を絞り出させるようにメンバーに挑みます。その迫力に押されるに叩き込むようなアンサンブルが聴き応えたっぷりで、ドライブ感が満載。オーボエのソロなどの個人技も美しい演奏でした。
後半はシューマン交響曲第1番〈春〉。この曲、〈春〉というにはちょっと激しく忙しい印象を受けるのですが、シューマンの若さやエネルギーが感じられて好きな楽曲です。
ポペルカの指揮は、ここでもN響の合奏力を存分に引き出す力こもったもの。重層的で厚みある音がサントリーホール一杯に響き心地よいです。ヴァイオリン、ビオラ陣に飛びつかんばかりに挑み、全力投球でそれに応えるオケの姿は視覚的にもエキサイティング。第4楽章でホルンからフルートへ独奏が引き継がれる箇所などもハットさせられるような美しさでした。
終演後は満席の会場から割れるような拍手。ブラボーの歓声も多方面から飛んでました。風貌は落ち着いて中堅どころに見えるほどでしたが、まだ30歳代というこれからの活躍が大きく期待されるポペルカ。またの共演を期待したいです。
第2032回 定期公演 Bプログラム
2025年2月14日 (金) 開演 7:00pm
サントリーホール
曲目
モーツァルト/アリア「私は行く、だがどこへ」K. 583*
モーツァルト/アリア「大いなる魂と高貴な心は」K. 578*
モーツァルト/交響曲 第25番 ト短調 K. 183
モーツァルト/レチタティーヴォとアリア「私のうるわしい恋人よ、さようなら ─とどまって下さい、ああいとしい人よ」K. 528*
シューマン/交響曲 第1番 変ロ長調 作品38「春」
指揮 : ペトル・ポペルカ
メゾ・ソプラノ : エマ・ニコロフスカ*
No. 2032 Subscription (Program B)
Conductor:Petr Popelka
Mezzo Soprano*:Ema Nikolovska
Mozart / Vado, ma dove?, aria K. 583*
Mozart / Alma grande e nobil core, aria K. 578*
Mozart / Symphony No. 25 G Minor K. 183
Mozart / Bella mia fiamma, addio—Resta, oh cara, recitative and aria K. 528*
Schumann / Symphony No. 1 B-flat Major Op. 38, Frühlingssinfonie (Spring Symphony)
Suntory Hall