その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

素晴らしい歌手陣とオケ:新国オペラ ヴェルディ〈リゴレット〉 @新国立劇場 

2023-06-01 07:35:06 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)
私にとっては11年ぶりのリゴレットです。新国では初めて。
 
歌手、オケの出来が素晴らしく、ハイレベルなパフォーマンスを満喫しました。
 
まずは、主要役を演じた3名の外国人歌手陣が出色でした。特に題名役のロベルト・フロンターリ。押し出し強く、迫力満点のバリトンです。加えて、演技も抜きんでています。リゴレットの持つ哀しみ、誇り、卑しさがにじみ出ていた名演でした。
 
ジルダ役のハスミック・トロシャンのソプラノも伸びやかで抒情的。声の張りもあって、聴かせます。一途な演技も役柄にはまり、純真な乙女役がぴったりでした。
 
放蕩者のマント―ヴァ侯爵役のイヴァン・アヨン・リヴァスは第1幕前半はちょっと声量が足りない印象がありましたが、ドラマが進むにつれて本領発揮。伸びやかで濁りのないテノールが心地よいです。
 
妻屋さんら日本人脇役陣もしっかりした仕事ぶりでしたし、コーラスは相変わらず美しいです。
 
歌手陣と並んで、マウリツィオ・ベニーニが振る東フィルの演奏も素晴らしかったです。ベリーニは東フィルからドラマティックな音を引き出しつつも、各登場人物の心情に沿ったデリーケトな表現も交えます。とっても雄弁な東フィルの演奏でした。この作品、物語は救いようないですが、音楽の魅力がそれを補ってあまりある。美しく、多彩でしかも耳に優しい。よくできたオペラだといつも感心します。
 
新制作の演出は、オーソドックスな演出に現代っぽい味付けを施したものです。舞台装置の余計な主張は無いので、音楽に集中できるのは嬉しかった。一方で、演出の意図するところまではわからずじまいで、私には可もなく不可もなくと言った印象でした。
 
カーテンコールでは、ほぼ満員の聴衆から多くのBravoが寄せられました。十分その値打ちがある満足感一杯の公演でした。
 
ジュゼッペ・ヴェルディ
リゴレット<新制作>
Rigoletto / Giuseppe Verdi
全3幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕あり
公演期間:
2023年5月18日(木)~6月3日(土)
予定上演時間:
約2時間40分(第1幕60分 休憩30分 第2・3幕70分)
 
スタッフ
【指 揮】マウリツィオ・ベニーニ
【演 出】エミリオ・サージ
【美 術】リカルド・サンチェス・クエルダ
【衣 裳】ミゲル・クレスピ
【照 明】エドゥアルド・ブラーボ
【振 付】ヌリア・カステホン
【舞台監督】髙橋尚史
 
キャスト
【リゴレット】ロベルト・フロンターリ
【ジルダ】ハスミック・トロシャン
【マントヴァ公爵】イヴァン・アヨン・リヴァス
【スパラフチーレ】妻屋秀和
【マッダレーナ】清水華澄
【モンテローネ伯爵】須藤慎吾
【ジョヴァンナ】森山京子
【マルッロ】友清 崇
【ボルサ】升島唯博
【チェプラーノ伯爵】吉川健一
【チェプラーノ伯爵夫人】佐藤路子
【小姓】前川依子
【牢番】高橋正尚
【合唱指揮】三澤洋史
【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団
 
Rigoletto
2022/2023 SEASON
New Production
 
Music by Giuseppe VERDI
Opera in 3 Acts
Sung in Italian with English and Japanese surtitles
OPERA PALACE
 
Production of ABAO Bilbao Opera
 
18 May - 3 Jun, 2023 ( 6 Performances )
 
CREATIVE TEAM
Conductor: Maurizio BENINI
Production: Emilio SAGI
Set Design: Ricardo SÁNCHEZ CUERDA
Costume Design: Miguel CRESPÍ
Choreographer: Nuria CASTEJÓN
Lighting Design: Eduardo BRAVO
 
CAST
Rigoletto: Roberto FRONTALI
Gilda: Hasmik TOROSYAN
Il duca di Mantova: Iván AYÓN RIVAS
Sparafucile: TSUMAYA Hidekazu
Maddalena: SHIMIZU Kasumi
Il conte di Monterone: SUDO Shingo
Giovanna: MORIYAMA Kyoko
Marullo: TOMOKIYO Takashi
Borsa: MASUJIMA Tadahiro
Il conte di Ceprano: YOSHIKAWA Kenichi
La Contessa di Ceprano: SATO Michiko
 
Chorus: New National Theatre Chorus
Orchestra: Tokyo Philharmonic Orchestra
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