5月に空海展を訪れた際に、事前に読んでみた。若き空海による代表作の一つと言われている。儒教、道教、仏教の三教の中で、仏教がいかに優れているかを、仮名乞児(若き日の空海)が論じる。
私の未熟な読解力のため、特段の感銘を受けるところはなかったというのが、正直な感想である。訳は非常に読みやすいし、平明に書いてある。儒者、道教宗、仏者それぞれの主張も「理解」するも、なぜ仏教が他を上回っているのか、仏教の教えとは何なのか、は分からなかった。
若き空海の仏教にかける強い思い、文章の修辞など感嘆したところももちろんある。思考や世界観の広がりの違いがポイントのようだが、夫々異なった思想・教えの中で良いとこ取りで良いのでは。優劣の問題ではないのでは、と感じたりするのだが、そういう緩い姿勢では駄目なようだ。
古典中の古典であるため、歴史的に大きな影響を残してきた書物なのだが、私には合わなかった。