その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

N響、新シーズン好発進!:F.ルイージ指揮、 ブルックナー交響曲第8番

2024-09-16 07:15:11 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

いよいよ24-25年シーズンのスタート。例年であれば、代々木公園の木々が秋の装いを始めている時期だが、今年はまだその気配全くなし。

シーズン開幕演奏会は首席指揮者ルイージさんが登壇。オーケストラの顔がしっかりオープニングを務めるって、とっても大事だと思う。プログラムは生誕200年を祝って、ブルックナー交響曲第8番の一本勝負。NHKホールは満員に近い入りで、熱気でむんむん。この雰囲気はとっても好き。

今回は初稿を利用とのことだが、生で8番を聴くのは2回目だし、ブルックナー沼はいつも畔で眺めているだけの私には、稿の相違は関係なし。ただ、90分にも及ぶブルックナーの交響曲ということで、前日の睡眠は十分、この日の午前中は家でまったりと、万全の体調で臨んだ。

90分の楽曲は背筋を伸ばして聴いている間に「もう?」という感じで終わってしまった。楽章を通じて、ルイージさんとオケの気迫が3階席までひしひしと伝わってくる。ブルックナーの交響曲らしい、精巧に作り込まれた楽曲の構成や機能の美しさはもちろんのこと、ルイージさんの指揮は加えて、ヒューマンタッチな感情に触れるように感じる音楽作りだった。

第2楽章の強烈なスケルツォの厳しさや険しさは、波となって大きく覆いかぶさってきた。第3楽章の優雅さは美と優しさが溶けあって天にも昇る感覚、そして第4楽章の壮大なフィナーレにも圧倒される。各楽章が素晴らしく、毎楽章ごとに拍手したくてたまらなかった。

オケは、管弦打楽器、どのパートも奏者もすばらしい。とりわけ、金管陣は出色で、大きなNHKホールをものともせず音が稲妻のごとく響いたし、弱音部分も盤石の安定感。管楽器もフルート、オーボエの要所要所でのソロが美しい。弦はコンマス郷古さんの元、前のめりでN響らしい重厚なアンサンブルを奏でる。ハーブの音色は天上のもの。ティンパニー、シンバルの強烈な打音は高揚感の極致だった。

終演後は割れんばかりの大拍手に包まれる会場。ルイージさん、オケのメンバーもしっかりと仕事をやり遂げた達成感で一杯の様子が伺えた。集中してこの大曲の素晴らしい演奏を聴き終えた私も満足感と感謝の気持ちで一杯だった。

今シーズンも数々の名演を期待しています!

 

定期公演 2024-2025シーズンAプログラム
第2016回 定期公演 Aプログラム
― ブルックナー生誕200年 ―

2024年9月15日(日) 開演 2:00pm [ 開場 1:00pm ]
NHKホール

曲目
ブルックナー/交響曲 第8番 ハ短調(初稿/1887年)

指揮
ファビオ・ルイージ

 

Subscription Concerts 2024-2025Program A
No. 2016 Subscription (Program A)
- The 200th Anniversary of Anton Bruckner’s Birth -

Sunday, September 15, 2024 2:00pm [ Doors Open 1:00pm ]

NHK Hall

Program
Bruckner / Symphony No. 8 C Minor (First Version/1887)


Conductor: Fabio Luisi


(まだまだ真夏)

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