特別天然記念物の田島ヶ原サクラソウ自生地が大正9年(1920年)7月17日に第1号の天然記念物に指定されてから来年オリンピックの直前に100周年を迎える。
一言で100年というがその間には様々な事があり、環境が大きく変わっている。同時に指定を受けた成東・東金食虫植物群落は土質が変化し面積も小さくなり、いずみ市の太東海浜植物群落は海外線の変化により面積が指定時の面影はないようだ。
田島ヶ原サクラソウ自生地は面積はほとんど変わらないものの周囲の環境変化が著しく、サクラソウは大きく株数を減らしている。
100年を一区切りとして周囲との一体化を進めて往時の繁栄を取り戻さなければなるまい。1920年の天然記念物指定は下流の群生地が過剰な掘り取りや工場化などにより次々と姿を消した最後の砦として保護された経緯があるが、100年の間の周囲の環境変化はサクラソウ自生地にとって決して好結果だけをもたらさなかった。
世界遺産が大切なコアゾーン(核心部分)を守るために広大なバッファゾーン(緩衝地帯)を設けている様に、サクラソウ自生地のこれからの100年は周囲の桜草公園、荒川上流河川事務所との目的の一体化を図り、それを強力に推進していく事のみに光明があるのではないかと確信する。