そんな訳で、僕と下川は入学当初から仲良くなった。
彼は誰が見ても長距離をやる体型ではなかった。身長は170センチと普通だったが、体重が90キロもある肥満体で、どちらかといえば、長距離より砲丸投げとかハンマー投げ向きの身体つきだった。げんに入部当初はキャプテン自ら、砲丸投げをやるようしつこく勧めたのだが、下川は断固として長距離をやりたいと言い張った。下川が長距離を選んだのは、走ることで少しでもスリムになり、女にモテる体型に変身しようと決めたからだそうである。
理由はどうであれ、若い時には、自分の身体をスポーツによって適度にいじめることが必要なのかも知れない。スポーツで性的フラストレーションは発散しろ、と体育の教師がよく言っていたものだが、当時の僕は忠実にそれを実践していたものだ。
何も考えずにただ走る。特に目標タイムを設定することもなく、苦しくなるまで徐々にペースを上げ、苦しくなったらペースダウンする。再びペースアップし、またペースダウンする。それの繰り返しである。
そうやって走っていると、ストイックな長距離も結構身体に馴染んで来るものである。高校に入って約4ヶ月の練習で、僕の身体からは余分な贅肉がかなり落ちたが、下川は相変わらずその肥満体を持て余していた。
彼は誰が見ても長距離をやる体型ではなかった。身長は170センチと普通だったが、体重が90キロもある肥満体で、どちらかといえば、長距離より砲丸投げとかハンマー投げ向きの身体つきだった。げんに入部当初はキャプテン自ら、砲丸投げをやるようしつこく勧めたのだが、下川は断固として長距離をやりたいと言い張った。下川が長距離を選んだのは、走ることで少しでもスリムになり、女にモテる体型に変身しようと決めたからだそうである。
理由はどうであれ、若い時には、自分の身体をスポーツによって適度にいじめることが必要なのかも知れない。スポーツで性的フラストレーションは発散しろ、と体育の教師がよく言っていたものだが、当時の僕は忠実にそれを実践していたものだ。
何も考えずにただ走る。特に目標タイムを設定することもなく、苦しくなるまで徐々にペースを上げ、苦しくなったらペースダウンする。再びペースアップし、またペースダウンする。それの繰り返しである。
そうやって走っていると、ストイックな長距離も結構身体に馴染んで来るものである。高校に入って約4ヶ月の練習で、僕の身体からは余分な贅肉がかなり落ちたが、下川は相変わらずその肥満体を持て余していた。