些事雑感

　今の会社に中途入社して34年、所属部署や建屋はいろいろ変わったが、転勤はなかったので、会社周辺は庭みたいなものだ。

　入社当初は点在する貸ビルのひとつに配属され、その後、会社が上場して自社ビルを建てると、そこへ入った。
　自社ビルは時期を跨いで、三棟建てられ、貸ビルに入っていた部署もほとんど自社ビルに入った。

　正月休みに人通りの絶えた周辺を歩き回ったが、昔の面影はほとんどない。
　入社当初に配属された先は貸ビルというか、2フロア借りていた古いマンションの1階部分で、そのマンションも取り壊され、今は豪華な高層マンションに生まれ変わっている。
　今いる建屋の近くなのに、そのマンションが取り壊されるのも、新しいマンションが建つのも見ていなかった。
　ある日突然、近くを通りかかって気づいたのだ。

　会社と家の往復だけで、周辺の変化など興味もなかったし、見ても心に留めることはなかったのかもしれない。
　そのマンションだけでなく、周辺の民家もほとんど高層マンションに変わってしまった。
　
　新しいマンションの前に立つと、昔のことが懐かしくフラッシュバックしてきた。
　来年の8月には定年退職で、それ以降は会社の周辺に来ることもなくなり、会社やまわりの景色も思い出と化していくのだろう。
　
　今週末に、入社当初、あの古いマンションの1階の、同じ部署で働いていた同僚が集まり、新年会を催すことになっている。
　総勢12名のアラ還世代が集まる。
　30数年前の昔話に花が咲くことだろう。