平均という名の幻想

　季節の変わり目だ。
　ウォーキング途上、前からは北風が吹きつけ身体の前面は肌寒い。
　一方、背中には10月の終わりとも思えない夏の名残りのような直射日光が当たり暑い。

　まるで北風と太陽に晒される旅人の気分だ。
　この寒さと暑さ、足して2で割ると、要は平均すると、身体の中心は快適ということになる。

　しかしそんなことはない。
　寒さに反応するのか、暑さに反応するのか、身体の感覚は戸惑っている。
　快適どころか不快な気分だ。
　平均というのはあり得ない。

　A君はミカンを10個持っています。B君は2個です。
　二人平均すると6個ずつ持っているということになります。

　んなアホな。
　依然としてA君は10個、B君は2個だ。
　平均の6個は幻想だ。

　この世に平均などあり得ない。
　数学者が頭の中で作った幻想に過ぎない。
　この世にあるのは、10個であり、2個であり、もっといえば個々の数だ。

　平均という名のまやかしにごまかされるな。
　

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