「貴兄ちゃんが亡くなった」
訃報はいつも突然だが、まだ40代ではないか・・・早すぎる。
貴兄ちゃんは、私より6つ上の親戚のお兄ちゃん。
子どもの頃、よく遊んでもらったという記憶が私の顔に刻まれている。
私を自転車にのせて楽しませようというお兄ちゃんの善意から事故は起こった。
左眉と同じようにあった私の右眉、眉尻の毛は二度と生えることなく、
上唇右手には縦に縫った傷跡が今も薄く残っている。
貴兄ちゃんは当然のことながら私より早く年頃になり、
女性の目を引くとても綺麗な顔をしていたため 昔からモテた。
彼女より貴兄ちゃんの方がいつも綺麗だった。(妬いているわけではない)
真面目で(子どもの頃は)優等生の道を歩む私に対し、
貴兄ちゃんはやんちゃなところがあり、
私の知らない世界で生きているようなところがあった。
貴兄ちゃんのお父さんは交通事故により早くに他界。
そして、貴兄ちゃんはひとり息子。
両脇を支えられながら会場に入ってきた来たお母さんが昔の面影なく、
びっくりするほど細く小さくなっていた。ふくよかな方だったのに・・・
あまりにも痛々しく、手に手を添えてお声をかけたが、
その手の冷たさに 貴兄ちゃんの早すぎる死を惜しむ。