第106話 共鳴の稽古

2005年12月30日 00時05分44秒 | Weblog

友人がサントリー1万人の第九に参加するという。
先輩がフロイデ合唱団「第九」に出演されるときく。
この偶然、今年、私は第九と出会う運命にあるようだ。

12/4、日曜日、1万人の第九をききに大阪城ホールに行く。
到着し会場を見渡すと、観客席を取り囲むように合唱団が着席している。
指揮者は佐渡裕。佐渡さんの汗が見える!こんなに近くで指揮者を見るのは初めて。素敵!
佐渡さんの背中を見つめながら、合唱団の方々は佐渡さんの指揮を前から見ることができるんだな
とうらやましがっている間にオーケストラの演奏が進み、
一斉に1万人の合唱団たちが起立する。伝わる1万人の気合い。
ついに1万人の合唱団たちが、歌い出す。1万人の歌声が体にぶつかって心にしみてゆく。
わけもなく、涙があふれてきた。

12/19、金曜日、フロイデ合唱団の第九をききにフェスティバルホールに向かう。
こちらの席は2階、オーケストラを上から見る形。
普段見ることがないオーケストラ要員の演奏と演奏の合間の様子を見てしまう。
面白がっている間にオーケストラの演奏は進み、
一斉にフロイデ合唱団たちが起立する。1万人の数には満たないが、張りつめる空気は同じ。
ついにフロイデ合唱団たちが、歌い出す。フロイデ合唱団のふくらむ思いが会場の空気に熱をあたえていく。

フェルメールの絵画に音楽の稽古がある。
絵の中に「音楽は喜びの同伴者、悲しみの薬」と記されているらしい。
個々の思いがひとつになるあたたかい空気の振動に心を動かされる。これが涙のわけなのかも。

公演後、友人に感想をきいた。「満足できない。悔しいからまた挑戦したい」と。
先輩にも感想をきいた。「苦しい作業でした。合唱だから個として出てはいけない」と。
私は合唱団ではないが、同じ思いを劇団を通じて経験し、共感できた。

私にはたまたま演劇だったが、誰かの気持ちを少しでも感じることができる体験を経ていたことが嬉しかった。
確か…
画家パウル・クレーの言葉に「人を感動させるには、まず自分が感動しなければならない」
(みたいな言葉)があった(と思う)
来年はそれぞれの何かで「自己満足」できればいいなと思う。


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