goo

山田詠美・著“無銭優雅”を読んで

今回は少々ガラッと目先を変更、精神の潤いを求めて、ネットで知った恋愛小説。山田詠美・著“無銭優雅”の紹介。 文庫本の紹介文は次のようだ。“友人と花屋を経営する斎藤慈雨と、古い日本家屋にひとり棲みの予備校講師・北村栄。お金をかけなくとも、二人で共有する時間は、“世にも簡素な天国”になる。・・・” この小説には、“本歌取り”をはじめとした大小様々の仕掛けがある。浅学の私も気付くような隠れたアフォリズムも随所にある。文庫本の最後の解説でも“古びた日本家屋である北村家のディテールや、四季の花や食べ物、それから慈雨の繰り出すアフォリズムと、味わってほしいものは作中に山ほどある。―「気の利いたアフォリズムのない恋愛小説なんてつまらない」と山田詠美さんは刊行時インタビューで語っていた。”と指摘している。 非常に良く計算された、仕掛けが随所に緻密に配置されているが、普通の恋愛小説を装っている。何も知らなければ、普通に読んで感動して済ませることも読者の勝手だ。その点では、宮崎駿のアニメ“風立ちぬ”の上を行くように思う。作家の頭の良さと、深い教養に感嘆するばかりだ。どうしてこのような良質の小説が市中在庫からフェードアウトしようとしているのだろうか。私の心を潤す一滴の良質の清涼剤にはなったような気がする。山田氏の小説をもっと読んでみたい。その多面性にも興味がある。 . . . 本文を読む
コメント ( 0 ) | Trackback ( )