ノロウイルスが流行しています。
まあ、毎年忘年会シーズンになると流行するので、年中行事のようなものですが。
人と人の接触が濃厚な乳幼児の集団生活では、いくら感染対策をしても限界がありますね。
■ ノロウイルス患者数 13都県で警報レベルに
(2016年12月20日:NHK)
激しいおう吐や下痢を引き起こすノロウイルスなどによる感染性胃腸炎の患者数が、東京や埼玉など13の都県で警報レベルに達していて、国立感染症研究所は、忘年会など食事前の手洗いの徹底を呼びかけています。
国立感染症研究所によりますと、全国およそ3000の小児科の医療機関から報告されたノロウイルスなどによる感染性胃腸炎の患者は、今月11日までの1週間に6万1547人に上り、この時期としては過去10年間で3番目に多くなっています。
1医療機関当たりの患者数を都道府県別に見ますと、山形県が45.37人、宮城県が41.44人、埼玉県が30.89人、東京都が27.24人などとなっていて、13の都県で大きな流行が疑われる警報レベルの20人を超えています。
また、集団感染の発生場所を見ますと、保育所や幼稚園、小学校が全体の7割以上を占めていて、乳幼児や小学生を中心に感染が広がっているということです。
国立感染症研究所の木村博一室長は「今は子どもを中心に感染が広がっているが、今後、大人や高齢者に感染の広がりが移っていくことが懸念される。また食中毒の危険もあるので、忘年会のシーズンだが、しっかりと食品は加熱するとともに、食事前をはじめ手洗いを徹底してほしい」と話しています。
今年流行しているのはノロウイルスの中でも「GII. 2」というタイプだそうです。
■ ノロウイルス 遺伝子変異で感染リスク増大か
(2016年12月21日:NHK)
大きな流行になっているノロウイルスは、遺伝子に複数の変化がおきて、ヒトへの感染の危険性が高まっているおそれのあることが国立感染症研究所などの調査でわかりました。過去に感染し免疫を獲得した人でもかかりやすくなっている可能性があり、専門家は、子ども中心の流行が、今後、大人にも拡大し、食中毒の多発などにもつながるおそれがあると注意を呼びかけています。
ノロウイルスは、激しいおう吐や下痢などの胃腸炎を引き起こすウイルスです。感染力が強く、乳幼児や高齢者の場合、脱水症状などを起こして入院治療が必要になることもあります。
国立感染症研究所や北里大学などの研究グループが、今シーズン、全体の7割以上を占める「GII.2」というタイプのウイルスを詳しく調べたところ、遺伝子に変化がおきていることがわかりました。変化は、ヒトへの感染力に関わる部分でおきていて、グループによりますと、過去に感染し、免疫を獲得した人でも感染しやすくなっている可能性があるということです。 同様の変化は、10年前の平成18年にも確認され、感染者が3か月間で推計300万人以上にのぼる大流行がおきています。
国立感染症研究所の木村博一室長は「現状の子ども中心の感染が大人にも拡大し、調理などを通じて食中毒が多発することも考えられる。特別な治療薬はないので、まずは感染拡大を防ぐため、子どものおう吐物や便を適切に処理したり、手洗いを徹底したりするなどの対策を取ってほしい」と話しています。
◇ 遺伝子変異で過去にも大流行
ノロウイルスの遺伝子に複数の変化がおきて大きな流行につながったケースは過去にも起きています。
10年前の平成18年には、当時、流行していた「GII.4」というタイプのウイルスの遺伝子が変化し、ヒトが免疫を持たない新たなウイルスとなって感染を広げました。例年より1か月早い10月ごろから患者が急速に増えはじめ、国立感染症研究所によりますと、9月から12月上旬までの3か月余りで、子どもを中心に患者は推計300万人以上に上りました。
このうち、都内のホテルでは利用客など360人以上の集団感染が発生。ノロウイルスの感染経路は通常、ウイルスの付着した手を口元に持っていく経路がほとんどですが、このケースでは利用客のおう吐物を通じて床にじゅうたんにウイルスが付着し、消毒が十分でないまま、そのじゅうたんの上を人が歩くことなどしてウイルスが空中に舞い上がり、感染が広がった可能性が指摘されています。
またこの年は、ノロウイルスが原因の食中毒も多発しました。厚生労働省によりますと、ノロウイルスが原因の食中毒は499件、例年より100件以上多く、患者は2万7616人に上りました。
ノロウイルスについて詳しい北里大学の片山和彦教授は食中毒が多発した理由について、遺伝子の変化によって免疫を持つ大人にも感染が広がったこと、症状が治まってもウイルスが1、2週間ほどは便から排出されることを知らない人が多いと思われること、手や腕の袖口などにウイルスが付着した状態で調理を行ったケースがあった事などを挙げています。
片山教授によりますと年明けの1月以降に食中毒の発生が多くなったケースもあり、自分が感染した場合だけでなく家族に感染者がいる場合も調理前に服を着替え、手洗いの徹底を行うことが重要だということです。
猛威をふるうノロウイルスに対して、日本人はとうとう白旗を揚げました;
■ ノロウイルス怖くて「餅つき中止」広がる...素手作業多く、感染が心配
(2016年12月21日 読売新聞)
ノロウイルスが全国的に猛威を振るう中、集団食中毒の恐れがあるとして、餅つき大会を中止する動きが広がっている。「やむを得ない」と理解を示す声がある一方で、「地域の伝統文化を守りたい」との考えから、ついた餅と違うものを提供するなど、工夫して伝統行事を続けるケースもある。
◇ 「やめた方が...」と保健所
国立感染症研究所が20日発表した定点調査の速報によると、ノロウイルスなどによる感染性胃腸炎の患者数は、直近1週間(5〜11日)で、1医療機関当たり19・45人。13都県で同20人を超える警報レベルに達した。近年では2006年、12年に次ぐ規模の流行という。
千葉県木更津市の郷土博物館は、23日に開催予定だった餅つきの開催を見送った。10年からほぼ毎年行っていたが、ノロウイルス対策を理由に中止するのは初めてだ。
地元の保健所から、「流行のピークなのでやめた方がよい」と助言されたという。同館は「昨年は子どもからお年寄りまで150人ほどが来場した。万一の時はたくさんの人が感染してしまう」と理解を求める。
岡山市の岡山 聖園みその 幼稚園も、年末恒例の餅つきを今年は中止した。「子どもが伝統文化に触れ食育にもなっていたが、子どもの健康が第一」と説明する。川崎市の武蔵小杉駅前の商店街や愛知県豊川市の豊川市民病院も、同様に取りやめた。
餅つきは手返しや切り分け、味付けなど、手で触れる工程が多く、手指についたノロウイルスから感染が広がりやすい。熊本県南小国町の保育園では、8日の餅つきが原因とみられる食中毒が発生し、園児や保護者など計52人が 嘔吐おうと や下痢を訴えた。
感染しても発症しない人もいる。気付かないまま、多くの参加者が集まる場で感染を拡大させることも想定され、餅つきの開催に慎重になっている。
◇ 「つく用」と「食べる用」分けて...工夫し決行も
一方、感染防止策に取り組み、例年通り開催するところもある。東京都世田谷区の上町児童館では18日、餅つきが行われた。調理スタッフは全員マスクと手袋を着用し、子どもたちには消毒を徹底した。親子で参加した近くの主婦、三浦明子さん(40)は「餅つきは家庭ではできない体験。実施できて良かった」と話す。
東京都町田市の小川自治会は昨年から、同市保健所の助言に従い、ついた餅をあんこ餅ときなこ餅に調理するのをやめた。白餅として販売し、自宅で煮たり焼いたりして食べてもらう。「ついた餅は飾り用の鏡餅にして食べないようにするか、雑煮や汁粉など火を通して提供すれば、感染リスクは減らせる」と同保健所。
滋賀県近江八幡市で17日に行われた餅つき大会でも、つきたての餅ではなく、餅つき機で作ったものを加熱し、ぜんざいとして参加者に振る舞った。十数年前から続く行事だが、餅を「つく用」と「食べる用」に分けたのは初めてという。
厚生労働省によると、餅つきに食品衛生法の規定はなく、主に自治体の保健所などの判断に委ねられる。そのため、各地で対応が異なっている。
日本の食文化に詳しい、熊倉功夫・国立民族学博物館名誉教授は「餅つきには共同体を結びつけてきた側面もあり、中止すると地域がますますバラバラになる。衛生面と両立する方法を模索してほしい」と話す。
<参考>
・「ノロウイルスに関するQ&A」(厚生労働省)
まあ、毎年忘年会シーズンになると流行するので、年中行事のようなものですが。
人と人の接触が濃厚な乳幼児の集団生活では、いくら感染対策をしても限界がありますね。
■ ノロウイルス患者数 13都県で警報レベルに
(2016年12月20日:NHK)
激しいおう吐や下痢を引き起こすノロウイルスなどによる感染性胃腸炎の患者数が、東京や埼玉など13の都県で警報レベルに達していて、国立感染症研究所は、忘年会など食事前の手洗いの徹底を呼びかけています。
国立感染症研究所によりますと、全国およそ3000の小児科の医療機関から報告されたノロウイルスなどによる感染性胃腸炎の患者は、今月11日までの1週間に6万1547人に上り、この時期としては過去10年間で3番目に多くなっています。
1医療機関当たりの患者数を都道府県別に見ますと、山形県が45.37人、宮城県が41.44人、埼玉県が30.89人、東京都が27.24人などとなっていて、13の都県で大きな流行が疑われる警報レベルの20人を超えています。
また、集団感染の発生場所を見ますと、保育所や幼稚園、小学校が全体の7割以上を占めていて、乳幼児や小学生を中心に感染が広がっているということです。
国立感染症研究所の木村博一室長は「今は子どもを中心に感染が広がっているが、今後、大人や高齢者に感染の広がりが移っていくことが懸念される。また食中毒の危険もあるので、忘年会のシーズンだが、しっかりと食品は加熱するとともに、食事前をはじめ手洗いを徹底してほしい」と話しています。
今年流行しているのはノロウイルスの中でも「GII. 2」というタイプだそうです。
■ ノロウイルス 遺伝子変異で感染リスク増大か
(2016年12月21日:NHK)
大きな流行になっているノロウイルスは、遺伝子に複数の変化がおきて、ヒトへの感染の危険性が高まっているおそれのあることが国立感染症研究所などの調査でわかりました。過去に感染し免疫を獲得した人でもかかりやすくなっている可能性があり、専門家は、子ども中心の流行が、今後、大人にも拡大し、食中毒の多発などにもつながるおそれがあると注意を呼びかけています。
ノロウイルスは、激しいおう吐や下痢などの胃腸炎を引き起こすウイルスです。感染力が強く、乳幼児や高齢者の場合、脱水症状などを起こして入院治療が必要になることもあります。
国立感染症研究所や北里大学などの研究グループが、今シーズン、全体の7割以上を占める「GII.2」というタイプのウイルスを詳しく調べたところ、遺伝子に変化がおきていることがわかりました。変化は、ヒトへの感染力に関わる部分でおきていて、グループによりますと、過去に感染し、免疫を獲得した人でも感染しやすくなっている可能性があるということです。 同様の変化は、10年前の平成18年にも確認され、感染者が3か月間で推計300万人以上にのぼる大流行がおきています。
国立感染症研究所の木村博一室長は「現状の子ども中心の感染が大人にも拡大し、調理などを通じて食中毒が多発することも考えられる。特別な治療薬はないので、まずは感染拡大を防ぐため、子どものおう吐物や便を適切に処理したり、手洗いを徹底したりするなどの対策を取ってほしい」と話しています。
◇ 遺伝子変異で過去にも大流行
ノロウイルスの遺伝子に複数の変化がおきて大きな流行につながったケースは過去にも起きています。
10年前の平成18年には、当時、流行していた「GII.4」というタイプのウイルスの遺伝子が変化し、ヒトが免疫を持たない新たなウイルスとなって感染を広げました。例年より1か月早い10月ごろから患者が急速に増えはじめ、国立感染症研究所によりますと、9月から12月上旬までの3か月余りで、子どもを中心に患者は推計300万人以上に上りました。
このうち、都内のホテルでは利用客など360人以上の集団感染が発生。ノロウイルスの感染経路は通常、ウイルスの付着した手を口元に持っていく経路がほとんどですが、このケースでは利用客のおう吐物を通じて床にじゅうたんにウイルスが付着し、消毒が十分でないまま、そのじゅうたんの上を人が歩くことなどしてウイルスが空中に舞い上がり、感染が広がった可能性が指摘されています。
またこの年は、ノロウイルスが原因の食中毒も多発しました。厚生労働省によりますと、ノロウイルスが原因の食中毒は499件、例年より100件以上多く、患者は2万7616人に上りました。
ノロウイルスについて詳しい北里大学の片山和彦教授は食中毒が多発した理由について、遺伝子の変化によって免疫を持つ大人にも感染が広がったこと、症状が治まってもウイルスが1、2週間ほどは便から排出されることを知らない人が多いと思われること、手や腕の袖口などにウイルスが付着した状態で調理を行ったケースがあった事などを挙げています。
片山教授によりますと年明けの1月以降に食中毒の発生が多くなったケースもあり、自分が感染した場合だけでなく家族に感染者がいる場合も調理前に服を着替え、手洗いの徹底を行うことが重要だということです。
猛威をふるうノロウイルスに対して、日本人はとうとう白旗を揚げました;
■ ノロウイルス怖くて「餅つき中止」広がる...素手作業多く、感染が心配
(2016年12月21日 読売新聞)
ノロウイルスが全国的に猛威を振るう中、集団食中毒の恐れがあるとして、餅つき大会を中止する動きが広がっている。「やむを得ない」と理解を示す声がある一方で、「地域の伝統文化を守りたい」との考えから、ついた餅と違うものを提供するなど、工夫して伝統行事を続けるケースもある。
◇ 「やめた方が...」と保健所
国立感染症研究所が20日発表した定点調査の速報によると、ノロウイルスなどによる感染性胃腸炎の患者数は、直近1週間(5〜11日)で、1医療機関当たり19・45人。13都県で同20人を超える警報レベルに達した。近年では2006年、12年に次ぐ規模の流行という。
千葉県木更津市の郷土博物館は、23日に開催予定だった餅つきの開催を見送った。10年からほぼ毎年行っていたが、ノロウイルス対策を理由に中止するのは初めてだ。
地元の保健所から、「流行のピークなのでやめた方がよい」と助言されたという。同館は「昨年は子どもからお年寄りまで150人ほどが来場した。万一の時はたくさんの人が感染してしまう」と理解を求める。
岡山市の岡山 聖園みその 幼稚園も、年末恒例の餅つきを今年は中止した。「子どもが伝統文化に触れ食育にもなっていたが、子どもの健康が第一」と説明する。川崎市の武蔵小杉駅前の商店街や愛知県豊川市の豊川市民病院も、同様に取りやめた。
餅つきは手返しや切り分け、味付けなど、手で触れる工程が多く、手指についたノロウイルスから感染が広がりやすい。熊本県南小国町の保育園では、8日の餅つきが原因とみられる食中毒が発生し、園児や保護者など計52人が 嘔吐おうと や下痢を訴えた。
感染しても発症しない人もいる。気付かないまま、多くの参加者が集まる場で感染を拡大させることも想定され、餅つきの開催に慎重になっている。
◇ 「つく用」と「食べる用」分けて...工夫し決行も
一方、感染防止策に取り組み、例年通り開催するところもある。東京都世田谷区の上町児童館では18日、餅つきが行われた。調理スタッフは全員マスクと手袋を着用し、子どもたちには消毒を徹底した。親子で参加した近くの主婦、三浦明子さん(40)は「餅つきは家庭ではできない体験。実施できて良かった」と話す。
東京都町田市の小川自治会は昨年から、同市保健所の助言に従い、ついた餅をあんこ餅ときなこ餅に調理するのをやめた。白餅として販売し、自宅で煮たり焼いたりして食べてもらう。「ついた餅は飾り用の鏡餅にして食べないようにするか、雑煮や汁粉など火を通して提供すれば、感染リスクは減らせる」と同保健所。
滋賀県近江八幡市で17日に行われた餅つき大会でも、つきたての餅ではなく、餅つき機で作ったものを加熱し、ぜんざいとして参加者に振る舞った。十数年前から続く行事だが、餅を「つく用」と「食べる用」に分けたのは初めてという。
厚生労働省によると、餅つきに食品衛生法の規定はなく、主に自治体の保健所などの判断に委ねられる。そのため、各地で対応が異なっている。
日本の食文化に詳しい、熊倉功夫・国立民族学博物館名誉教授は「餅つきには共同体を結びつけてきた側面もあり、中止すると地域がますますバラバラになる。衛生面と両立する方法を模索してほしい」と話す。
<参考>
・「ノロウイルスに関するQ&A」(厚生労働省)