小児アレルギー科医の視線

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代理母出産の今(2023年8月)

2023年08月12日 04時37分29秒 | 医療問題
代理母出産…日本ではあまり肯定的に語られませんが、
世界を見渡すとビジネスとして成り立っています。

実は知り合いの女性が、ウクライナで代理母出産を経験した話を聞きました。
ロシアによるウクライナ侵攻が始まる直前にウクライナ入りし、
赤ちゃんを受け取ったタイミングで侵攻が始まり、
命からがら逃げてきた、という驚くべきストーリーでした。

それ以来、
「代理母出産、日本の状況・世界の状況はどうなっているんだろう?」
という素朴な疑問を持ち続けてきました。

世界の現状を伝える記事が目に留まりましたので、紹介します。

<ポイント>
・代理母出産は急速に増えている。
・増加の背景には、非伝統的な家族形態に対する社会の見方の変化や医療技術の進歩がある。不妊症の広がりや子どもをもちたい同性カップルの増加し、それに加えて、著名人らの支持や専門病院の増加のおかげで生殖の選択肢としての認知度が高まってきたことが背景にある。
・代理母出産には2種類ある;
1.妊娠代理出産(ホストマザー)…体外受精した受精卵を代理母の子宮に移植して妊娠・出産する。
2.伝統的代理出産(サロゲートマザー)…代理母の子宮に人工授精で精子を注入して妊娠・出産する。
・費用は国により異なるが、500万円~1000万円(~2000万円)が多い。
・代理母出産の利用を公表した有名人;クリッシー・テイゲン(モデル)、のエリザベス・バンクス(女優)、アンダーソン・クーパー(ジャーナリスト)、パリス・ヒルトン、カーター・リウム、クリスティアーノ・ロナウド(サッカー選手)、キャメロン・ディアス(女優)
・世界各国の状況:
(アメリカ)1970年代からビジネスモデルが始まったが、代理出産産業は厳しく規制され、ネブラスカ州やルイジアナ州、ミシガン州など、代理出産を違法としている州もいくつかある。ニューヨーク州では2021年2月に発効した法律で合法化されたばかり。
(イギリス)代理母がボランティアの場合のみ代理出産が認められており、報酬をともなう代理出産は違法になる。
(カナダ)同上。
(ウクライナ)昨年2月にロシアの侵攻を受ける前まで、米国に次いで世界で2番目に大きい代理出産市場だった。侵攻以降は、ジョージア(グルジア)とキプロスが需要を吸収し、一部はメキシコを中心とした中南米が吸収している。
・代理母になりたい人と代理母を探している人の出会いを支援するオンラインサービスも登場している。

う~ん、もはやこの勢いは止められない感じですね。
倫理的な判断は保留のまま…。

▢ 代理出産が世界的ブームに セレブも続々利用、市場規模2032年に10倍へ
Mary Whitfill Roeloffs | Forbes Staff
2023.07.22:Forbes Japan)より抜粋;
商業的な代理出産が世界的なブームの様相を呈している。米調査会社グローバル・マーケット・インサイツによると、市場規模は2032年に1290億ドル(約18兆円)と2022年比で10倍近くに膨らむ見通しだ。不妊症の広がりや子どもをもちたい同性カップルの増加のほか、著名人らの支持や専門病院の増加のおかげで生殖の選択肢としての認知度が高まってきたことが背景にある
女性にお金を払って自分の子どもを産んでもらう代理出産をめぐっては、裕福な人らによる女性の搾取につながるという倫理的な懸念もある。
・・・
インドの調査会社IMARCは代理出産が広がっている理由として、医療技術の進歩や非伝統的な家族形態に対する社会の見方の変化を挙げている。
・・・
◆ 費用はいくらかかる?
代理出産には、体外受精した受精卵を代理母の子宮に移植して妊娠・出産する「妊娠代理出産(ホストマザー)」と、代理母の子宮に人工授精で精子を注入して妊娠・出産する「伝統的代理出産(サロゲートマザー)」の2種類がある。
ニューヨーク州保健局によると、米国でホストマザーを利用する場合、弁護士費用や医療費、仲介業者への手数料、代理母への報酬などを合わせて6万〜15万ドル(約840万〜2100万円)かかるという。CNBCによると、費用はジョージアでは4万〜5万ドル(約560万〜700万円)、メキシコでは6万〜7万ドル(約840万〜980万円)程度とされる。
・・・
◆ 各国の状況は?
米国では1976年に初めて合法的な代理出産契約が結ばれたとされ、1980年に合法的に報酬が支払われた初の代理出産が行われた。ワシントン・ポストによると、1983年時点で代理出産は儲かるビジネスになっており、国内に10の仲介業者が存在していた。費用は2万〜4万5000ドルほどだったという。
グローバル・マーケット・インサイツによると、不妊治療の進歩、子どもをもつ年齢の高齢化、非伝統的な家族の増加などを背景に代理出産産業は成長を続けている。
米国の代理出産産業は厳しく規制され、ネブラスカ州やルイジアナ州、ミシガン州など、代理出産を違法としている州もいくつかある。ニューヨーク州では2021年2月に発効した法律で合法化されたばかりだ。カナダと英国では代理母がボランティアの場合のみ代理出産が認められており、報酬をともなう代理出産は違法になる。
ウクライナは昨年2月にロシアの侵攻を受ける前まで、米国に次いで世界で2番目に大きい代理出産市場だった。ニューヨーク・タイムズは、ロシアの脅威が現実のものになるなか、妊婦たちが転居を余儀なくされたり、外国の夫婦が代理母と会って赤ちゃんの安全を確保するため、危険を冒して紛争地に入ったりしていると昨年5月の記事で伝えている。
CNBCによると、以降は主にジョージアとキプロスが需要を吸収しているという。一部の需要はメキシコをはじめとする中南米にも流れているとみられ、メキシコのリゾート地カンクンの業者は、ウクライナでの戦争の影響で昨年の代理出産契約数は前年比20〜30%増えたと話している。
代理母になりたい人と代理母を探している人の出会いを支援するオンラインサービスも登場している。昨年、不妊治療を専門とする医師のブライアン・レビンと元代理母のブリアンナ・バックが立ち上げたマッチングアプリ「Nodal」は、マッチングプロセスに代理母側がもっと主体的に関われるようにするもので、代理母を探している家族に代理母が直接連絡をとることができる。




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