2回に渡って内容とはちょっと関係ない技術的な話に終始してしまいましたので、今度こそまともに感想を記していこうと思います。
まずは当然ながら第1巻の無印「マリみて」。
この長い長いお話にはまるきっかけとなった最初の一冊だけに、それは本当に思い入れ深いお話ではありました。カトリック系女学園という閉じられた特殊な世界。そこし、主人公の祐巳も、本人の独白はともかく、挿し絵などを見る限り充分美少女で通用する可愛らしい容姿。およそ美しくないものが存在しないまさに夢物語と呼ぶに相応しい世界で、ロザリオの授受を巡り繰り広げられる波瀾万丈のドラマ。ここまである意味非現実的な舞台なのに、描かれている人々の魅力溢れる姿や行動が妙にリアルで、ついつい物語世界に引き込まれてしまいます。
全てに平均点で目立つところがなく、平々凡々とした一人の少女、祐巳が、あらゆる意味でトップクラスの女性、祥子に特別な関係を迫られてパニックになる前半と、終始翻弄されっぱなしだった祐巳が、無理して虚勢を張り続けていた、祥子のありのままの姿を受け容れるを力を持つ天性の資質を持つことが証明される後半。ラストの美しい儀式。この見事な展開は、本当に何度読んでも気持ちのいいものです。また、随所に絡んでくる人々がまた実に素晴らしい。同級生で写真家の蔦子さん、同じく同級生で山百合会幹部の志摩子さん、山百合会3人の薔薇様達に令様などなど、それぞれ強烈な個性で主人公とストーリーを紡ぎ上げ、この世界独特の空気を醸し出してくれるのです。
ただ、何度か読み返して、若干不満があるとすれば由乃ちゃんのセリフが、初めの方の祐巳にお茶を勧めるシーンと劇の最後の練習の時の一言とわずかしかなく、その存在感が実に希薄なこと。2巻で堂々の主役を張るとはいえ、祐巳と同じ1年生の志摩子さんの存在感と比べると、あまりに薄い。祐巳視点からもほとんど言及がなく、メインキャラらしく見えないところがちょっと残念でした。だからこそ2巻以降の強烈な個性が目立つのかも、と思わないでもないですが、やはり物静かで控えめというところをはっきり強調しておいてもらいたかったと欲張りな気持ちも拭えません。
それはともかく、肩肘張らず、気楽につきあえる面白い本と出会えて、本当に良かったです。
次は7月刊行の予定だそうなので、それまでじっくり読み返し、この感想も綴り続けていこうと思います。
今日はこれまで。
まずは当然ながら第1巻の無印「マリみて」。
この長い長いお話にはまるきっかけとなった最初の一冊だけに、それは本当に思い入れ深いお話ではありました。カトリック系女学園という閉じられた特殊な世界。そこし、主人公の祐巳も、本人の独白はともかく、挿し絵などを見る限り充分美少女で通用する可愛らしい容姿。およそ美しくないものが存在しないまさに夢物語と呼ぶに相応しい世界で、ロザリオの授受を巡り繰り広げられる波瀾万丈のドラマ。ここまである意味非現実的な舞台なのに、描かれている人々の魅力溢れる姿や行動が妙にリアルで、ついつい物語世界に引き込まれてしまいます。
全てに平均点で目立つところがなく、平々凡々とした一人の少女、祐巳が、あらゆる意味でトップクラスの女性、祥子に特別な関係を迫られてパニックになる前半と、終始翻弄されっぱなしだった祐巳が、無理して虚勢を張り続けていた、祥子のありのままの姿を受け容れるを力を持つ天性の資質を持つことが証明される後半。ラストの美しい儀式。この見事な展開は、本当に何度読んでも気持ちのいいものです。また、随所に絡んでくる人々がまた実に素晴らしい。同級生で写真家の蔦子さん、同じく同級生で山百合会幹部の志摩子さん、山百合会3人の薔薇様達に令様などなど、それぞれ強烈な個性で主人公とストーリーを紡ぎ上げ、この世界独特の空気を醸し出してくれるのです。
ただ、何度か読み返して、若干不満があるとすれば由乃ちゃんのセリフが、初めの方の祐巳にお茶を勧めるシーンと劇の最後の練習の時の一言とわずかしかなく、その存在感が実に希薄なこと。2巻で堂々の主役を張るとはいえ、祐巳と同じ1年生の志摩子さんの存在感と比べると、あまりに薄い。祐巳視点からもほとんど言及がなく、メインキャラらしく見えないところがちょっと残念でした。だからこそ2巻以降の強烈な個性が目立つのかも、と思わないでもないですが、やはり物静かで控えめというところをはっきり強調しておいてもらいたかったと欲張りな気持ちも拭えません。
それはともかく、肩肘張らず、気楽につきあえる面白い本と出会えて、本当に良かったです。
次は7月刊行の予定だそうなので、それまでじっくり読み返し、この感想も綴り続けていこうと思います。
今日はこれまで。