かっこうのつれづれ

麗夢同盟橿原支部の日記。日々の雑事や思いを並べる極私的テキスト

日本は何故有人ロケットを上げられないのでしょう?

2005-10-12 23:00:15 | Weblog
 中国の有人ロケット、神舟6号の打ち上げが成功したとの事、どこの国のことであれ、またその目論見が何であれ、取りあえずある種の科学技術が結晶して大きな成果を生み出すのを見るのは、血が騒ぎますし、うれしいものでもあります。「有人ロケット打ち上げるような国にいつまで経済援助しているんだ?」とかいう疑問も当然ながらあるんですけどね。なにせまともに有人ロケット上げられる国なんて、アメリカとロシアしか無かったんですから。
かえりみて我が国は、宇宙への旅はアメリカかロシア頼み。スペースシャトルに乗せてもらって喜んでいるレベルですから、かつてロケット実験のため無理矢理押し込められたカエルやサルと大きくは違わないと言えるかも知れません。ただ、アメリカにせよ中国にせよ、大きな国家的目的を持って、わざわざ大枚はたいて国力を注いで、宇宙を目指しているのでしょう。政治的なパフォーマンスな点や弾道弾などの兵器研究の側面もあるにはあるんでしょうけど、無重力空間で得られる様々な物理特性を生かした新技術開発や、バイオテクノロジーな研究など、将来の国力を担保するために、何年か先を見越した研究開発を行うという点も大きな理由なのではないかと思います。特に今回中国は植物育種などの実験に取り組むそうですが、やはり世界最大の人口を抱え、年々減少する国内の畑と増大する食料輸入という危険な実態を、彼の国の指導者は冷静に判断しているのでしょう。日本が非科学的で感情的な排斥運動をして止まない遺伝子組み替え作物を積極的に導入・推進し、その開発にも膨大な資金と優秀な人材を湯水のようにつぎ込む様子を見ていますと、このロケットもそう言った国家の生き残り戦略の一環なのだと考えられます。中国の革命は、三国志の冒頭を見ても判るように、時の王朝・政府が国民を食わせることが出来なくなるのがきっかけになるようです。今の中国は、まさにその危機の縁にあると言って差し支えない状況にあると見えます。幾ら政権が軍を掌握していても、10億を超える民が暴徒と化したらどうしようもないでしょう。しかも生活水準の向上と共に肉類の消費が増え、肉類は数倍の農業生産の上に成り立つ産業ですから、ますます農地が逼迫します。頼みの黄河は水量減少著しく、砂漠化が進んで畑がどんどん減っていく。その足りなくなった分は、米ならタイ、小麦、トウモロコシならアメリカ、カナダ、オーストラリアと言った国々に頼るしかなく、これらの国からそっぽを向かれたら、中国はたちまち今の繁栄を失って、内戦状態まで転落するかも知れないのです。中国としてもそんな他国に首根っこ押さえられるような状況は何としても回避したいことでしょう。そんな危機感が軍事力強化だけでなく、科学研究投資にも現れていると思うのです。
 対して日本は、そんな危機感を放棄して久しいぬるま湯国家です。宇宙開発にしても、何のためにそれが必要なのか、政治家も官僚も科学者も国民も、考えずに来たのではないでしょうか? 例えば、政治家、官僚、国民は、何のかんの言っても、所詮それらの研究開発は、「科学者の自己満足」に過ぎない、と思っているのではないか。科学者は科学者で、その必要性をもっとはっきり日本の将来に、みんなのためになることなのだと説明する努力を怠ってきたのではないか。もし本当に宇宙開発で中国に追い抜かれたことに危機感を抱いているなら、我々は何故宇宙を目指すのか、を、日本国の総意として今こそ盛り上げていかないと、誰もお金を出しませんし、種子島ではいつまでたっても理不尽な打ち上げ制限を科せられたままになるでしょう。エネルギーも食料も自立出来ない我が国には、色々な科学技術で世界をリードし、日本ブランドの価値を高める以外にないと思うのですが、財政赤字を理由に、遂に科学技術関連予算も削られるそうです。つくづく未来を語ることの出来ない国なんだな、と嘆かずにはいられません。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする