EM菌という微生物があります。といっても単体の微生物ではなくて、乳酸菌などたくさんの菌を混ぜあわせたものの総称として、付けられた名前です。今から四半世紀前に琉球大の先生が開発、当時は土壌改良材としてスタートしましたが、今や水質改善にも役立つとかで、利用が広がっている様子です。そのEM菌を、大阪市漁協の方々が道頓堀川や淀川へ大量にまいて、水質改善を目指しているそうです。ちなみに道頓堀川というのは、大阪市内のど真ん中を流れる川で、阪神タイガースが優勝したときに飛び込みが多数出ることで有名な川の事で、いつも濁ってにおいのする水が流れております。そんな川へ2003年からEM菌をまいているんだそうです。道頓堀側では厚さ1mにも達したヘドロが半減するなど水質に改善の傾向が見られ、コイやフナが増え、手長エビの姿も見られるようになってきたんだとか。また、淀川では七〇年代に漁獲量数トンまで激減し、絶滅寸前だったシジミが、昨年は四〇トン、今年は一〇〇トンに達する見込みといいます。私は大阪市に漁協がある、と言うことそれ自体にまず驚いたのですが、その次は、EM菌なるものが本当に効いているのかどうかが疑問に思えてきました。新聞記事には、一応「EM菌の効果は科学的には充分立証されていない」と断り書きがありますが、記事に出てくる漁協関係者の方々は、EM菌の効果を信じ切っている様子です。
確かに七〇年代はいわゆる公害があちこちで問題になっていた時代で、大阪市内の夏は「光化学スモッグ」注意報や警報が毎日のように出され、ヘドラなんていう怪獣まで登場したりして、それはもう「水銀コバルトカドミウム♪」なんていう時代だったわけです(何のことか判らない人は、ゴジラ対ヘドラをご覧下さい)。でも、幼少時の私は、そんな環境の中、私の遊び場である大阪城のお堀で、駄菓子屋で買ったイカの薫製を凧糸の先にくくりつけてエビ釣りを楽しんでおりました。手長エビも結構捕った覚えがあります。その記憶からすると、今また手長エビが捕れる、と言われても、それで水がきれいになった、と言う印象があまりわきません。それに、七〇年代以降公害対策が次々と打たれ、淀川水系の下水道整備なども進んでいますから、あの頃に比べれば水質は結構よくなってきているのではないか、と想像されます。道頓堀川も、水中にぶくぶくと泡を立てて空気を吹き込む装置が大分前に沈められて、その効き目が現れてきたのかも知れません。
私は漁協の皆さんの、大阪の川をきれいにしようと言う意欲や実際に行動されている御苦労については全く頭の下がる思いですのでEM菌の事を云々するつもりは毛頭ないのですが、本当にEM菌の効果が現れたのかどうかはちゃんと検証なさった方がいいのではないかと思います。実はそれよりも、これまでの一連の施策や大雨などでヘドロが流された、とか言うような事象があったとしたら、その影響の方が大きい可能性だってあります。それが、EM菌のおかげ、と思いこんでしまうと、それ以外の施策を軽視してしまう恐れがなきにしもあらずです。まずは客観的に何が効果があったのかを専門家を動員して調査すべきでしょう。何より大阪の川の事なのですから、一漁協に任せず、大阪市が責任を持って調べるべきではないのか、と私などは思います。その上でやはりEM菌が効果的であったというのなら、より効果を上げる方法だって検討が可能ですし、何より漁協の方々の今までの努力が報われると言うものです。何となく効いた気がする、というのは、健康食品の世界でもよくあること。マスコミも、EM菌について専門家がどのように考えているのか、賛否両論ちゃんと取材した上で、その有効性を判断できるような情報を出してもらいたいものです。
確かに七〇年代はいわゆる公害があちこちで問題になっていた時代で、大阪市内の夏は「光化学スモッグ」注意報や警報が毎日のように出され、ヘドラなんていう怪獣まで登場したりして、それはもう「水銀コバルトカドミウム♪」なんていう時代だったわけです(何のことか判らない人は、ゴジラ対ヘドラをご覧下さい)。でも、幼少時の私は、そんな環境の中、私の遊び場である大阪城のお堀で、駄菓子屋で買ったイカの薫製を凧糸の先にくくりつけてエビ釣りを楽しんでおりました。手長エビも結構捕った覚えがあります。その記憶からすると、今また手長エビが捕れる、と言われても、それで水がきれいになった、と言う印象があまりわきません。それに、七〇年代以降公害対策が次々と打たれ、淀川水系の下水道整備なども進んでいますから、あの頃に比べれば水質は結構よくなってきているのではないか、と想像されます。道頓堀川も、水中にぶくぶくと泡を立てて空気を吹き込む装置が大分前に沈められて、その効き目が現れてきたのかも知れません。
私は漁協の皆さんの、大阪の川をきれいにしようと言う意欲や実際に行動されている御苦労については全く頭の下がる思いですのでEM菌の事を云々するつもりは毛頭ないのですが、本当にEM菌の効果が現れたのかどうかはちゃんと検証なさった方がいいのではないかと思います。実はそれよりも、これまでの一連の施策や大雨などでヘドロが流された、とか言うような事象があったとしたら、その影響の方が大きい可能性だってあります。それが、EM菌のおかげ、と思いこんでしまうと、それ以外の施策を軽視してしまう恐れがなきにしもあらずです。まずは客観的に何が効果があったのかを専門家を動員して調査すべきでしょう。何より大阪の川の事なのですから、一漁協に任せず、大阪市が責任を持って調べるべきではないのか、と私などは思います。その上でやはりEM菌が効果的であったというのなら、より効果を上げる方法だって検討が可能ですし、何より漁協の方々の今までの努力が報われると言うものです。何となく効いた気がする、というのは、健康食品の世界でもよくあること。マスコミも、EM菌について専門家がどのように考えているのか、賛否両論ちゃんと取材した上で、その有効性を判断できるような情報を出してもらいたいものです。
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