6月の一般質問で、物価高騰の社会情勢の影響を受けて、鈴鹿市の学校給食の対応がどうなるのかを取りあげました。幼保が入っていないのは、どちらも所管する地域福祉委員会の内容になるからです。質問と答弁の要旨を書いていきます。
物価高騰に関して、言われるようにウクライナへの侵略による小麦などの穀物市場への影響や、原油価格が高い水準になっていること、新型コロナウイルスの影響など、複雑で多様な要因でモノの値段が上がっていることだけでなく、円安により輸入物価を押し上げる影響があることは、短期的に収まるものではないと思います。そこに加えて、やはり気候変動の影響は無視できず、日本だけでなく世界的に農業生産に与える影響が出ることは、やはり想定として織り込んでおく必要があると思います。
そこでまず整理のために、ごはんやパンなどの主食、主菜関係、副菜関係、デザート関係、牛乳など乳製品、食用油脂などへの影響と、調理にかかる光熱水費、給食搬送にかかる燃料費などについて、どのような影響を想定しているのかといました。
答弁では、「主食などは小学校3~4年生サイズで、コッペパンは去年4月に41.73円だったものが今年4月は43.98円の5.4%上昇、牛乳200ミリリットルは48.7円が49.7円の2.1%上昇、揚げ油1キロは218円が295円で35.3%の上昇、玉ねぎ1キロは平均で138円が458円の231.9%上昇、キャベツは39.3%、ねぎは21.3%の上昇となった。一方で、米飯は54.73円が53.7円に、生うどんは同額、バターや豚肉などはほぼ変化なし、ニンジンは16.3%の低下、じゃがいもは8.3%の低下になっている。」ということと、「学校給食センターの配送に関する経費は、5年間の委託契約であり、燃料費の高騰を踏まえた変更予定はない。」と、「自校式の調理校のプロパンガスは、令和3年度前半に1立方メーターあたり216円が、令和4年度前半は270円で25%上昇。小学校給食センターと中学校給食センターで使用している都市ガス代は令和4年4月段階で前年比50%を超える大幅な上昇。」とありました。
すでに影響は出ているわけですね。それを踏まえながら、物価高騰に対する検討と、給食費の考えを問いました。
答弁では、「物価高騰なども想定したうえで、献立検討委員会や物資選定委員会などで検討している。」ことと、「今年度は、学校給食費の値上げを行わずに、献立の工夫や、食材調達の調整で対応する考えである。」と出てきました。
それに対して、子どもの食という観点からは、質と量を維持することが大切であり、その視点からの検討を求めると意見しました。
そして4月に内閣官房から出された「原油価格・物価高騰等の総合緊急対策」を取りあげ、その中で、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を、学校給食等の保護者負担の軽減促進を図るためにも使うことができると記述されているので、その活用を問いました。
答弁では、「光熱水費などの施設管理経費について、予算確保が必要となった場合は、補正予算での対応を視野に入れている。学校給食に関して、地方創生臨時交付金のコロナ禍における原油価格・物価高騰対応文を活用した支援策について現時点で予定はないが、全庁的な取組検討の中で協議検討する」とありました。
■内閣官房:コロナ禍における「原油価格・物価高騰等の総合緊急対策」
それに対しては、交付金活用を早期から検討しておくべきと意見しました。
そして、2016年に野菜の不作をきっかけとして、鈴鹿市では2日間給食が提供できなくなるかもしれないという騒動があり、気候変動の影響による物価高騰への備えを聞きました。
答弁では、「物価高騰を意識した献立検討を行っている。中長期的に食材高騰が続いた場合は、学校給食費の改定の検討を行う必要があると考えている。」とありました。
そのような考えを含め、給食費について方向性を検討する際は、ICTの活用でアンケートを行い、保護者や児童・生徒の意見を収集して、データをもとに検討することを提案しました。
答弁では、「学校給食の安定的な実施・充実のため、保護者や子どもたちの意向を把握する際には、ICTの活用についても検討していく」とありましたので、今後の市教育委員会の動きに期待しています。
そして、最後の論点として、市内の農業生産と学校給食の連携として、いまから野菜生産の検討を行い、短期的には今年度の秋・冬に向けて取り組むことと、中長期的には、市内学校給食の食材としての市内産野菜の比率を上げること、気象災害の少ない鈴鹿市で食材をできるだけ確保できる体制の構築を提案しました。その際、このような体制ができれば、給食だけでなく子ども食堂などへの食材支援や、フードパントリーなどを通じた生活困窮者対策にもつながるのではないかとそえました。
答弁で、教育委員会からは、「令和3年度の小学校給食センターでの市内産野菜の比率は16.2%、中学校給食センターでは38.7%になっている。今後も関係事業者との連携協議を図り、地産地消や国内産の食材をできる限り使用し、安全安心な給食を安定して提供できるように努める。」とありました。産業振興部からは、「農業生産と学校給食の連携を深めるためにも、市内で生産される農作物の種類、生産量や収穫時期などについて、教育委員会と情報共有し、学校給食の献立作りにつなげたい」とあり、今後の取り組みに期待するところです。
物価高騰はピンチですが、この機会に考えを転換して取り組むことでチャンスに転換できると考えます。給食センターでの市内産野菜の使用率を考えれば、十分に可能性はあります。新規就農者の支援も考えられますし、鈴鹿市が市内での農業生産と学校給食とをつなげ、子どもたちの食を守る取り組みを進めるよう、意見を出すことからですが働きかけたいと思います。
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