ルイガノ旅日記

あちこち出かけた場所で目にとまったもの、
心惹かれたものを紹介しています。
よかったらおつきあい下さい。

マリンワールド 海の中道

2023年01月14日 | お出かけ
休暇村志賀島をチェックアウトし、マリンワールド海の中道へ。
入口で出迎えてくれるイルカは本物そっくり。躍動感あふれるモニュメントです。


私たちが福岡県民になってもうじき15年。近くの志賀島や海の中道海浜公園には、ネモフィラやコスモスの時期に何度も通ったのに、何故かこの水族館に来るのはこれが初めてでした(^^ゞ


椰子の木が並ぶプロムナードの先にあるのは、うみなかラインの渡船場。高速艇マリンライナーが、博多湾の向こう側、ももち浜や福岡タワーがあるシーサイドももち海浜公園からマリンワールドを片道20分で結んでいます。福岡市街と海の中道を船で往来するのも楽しそうですね。


それでは、水族館の中を見ていきましょう。


巣穴の小さなガラス瓶から大きな目を覗かせたスナダコ。ホタテガイの殻が蓋の代わりです。


見た目がシダ科の植物に似ているため「ウミシダ」と呼ばれますが、プランクトンなどを餌にする動物で、ヒトデの仲間です。真ん中にある足を動かして移動することもできるのだとか……。


エラが張ったひょうきんな顔、コチの仲間でしょうか。


頭の上にトサカのような突起があるギンポ。愛嬌のある表情でこちらを見つめていました。


ひらひらと舞うように水中を漂うミズクラゲ。


九州の西岸ではよく見られるアマクサクラゲ。毒性が強く他の種類のクラゲを捕らえて食べるのだそうです。


砂から首を伸ばしたり引っ込めたり、動きが珍妙なチンアナゴ。


サンゴに隠れているのは、色鮮やかなシャコの仲間です。


珊瑚の海。


産卵の機会を除いて、一生を海で過ごすウミガメ。(これはタイマイです)


大型の魚が悠々と泳ぐ外洋水槽。


サメ(シロワニ)の飼育数が多く、ゆっくりと自分に向かって泳いでくるように感じられました。


悠然と目の前を通り過ぎるマンタ。


通常は表層から降りてくることのないイワシの群れ。上層を泳ぐのはシュモクザメです。


しかし、餌やりタイムになると様相が一変。エサを求めてダイナミックに動き回ります。


その様子がこちらです。(音楽が流れます。ボリュームにご注意ください)

ペンギンやアザラシ、アシカを間近に見ることができる「かいじゅうアイランド」。


なかでもペンギンは人懐っこく、ごく近くまで寄ってきてくれます。


優しい表情のスナメリ。ボールで遊ぶ姿が可愛らしかったです。


マリンワールドでは、ラッコも間近で見られます。


エサのイカめがけてジャンプ!


最後に挨拶に来てくれました。


その様子を妻が撮っていました。こんなに近いんですよ~。


博多湾に面したイルカとアシカのショープール。


この日は、イルカ5頭、クジラ1頭(一番右)によるショーでした。


コミュニケーション能力に優れたイルカ。ジャンプのタイミングもぴったりです。


そろって観客に挨拶。


大きな体のクジラの一発勝負。迫力のジャンプを見せてくれました。


下関の海響館以来、久しぶりの水族館でした。様々な海の生物の展示はもちろんですが、イルカやアシカ、ラッコやペンギンなど、飼育員さんとの信頼関係や双方向のコミュニケーションが素晴らしくて魅了されました〜🐬
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ぐるっと瀬戸内 アートな旅~番外編②

2022年12月20日 | お出かけ
番外編①では、本場讃岐のうどんの名店を紹介しましたが、今回は備忘録を兼ねて、旅先ならではの食事をいくつか記録しておきたいと思います。(写真は、小豆島・エンジェルロードの展望台から見た日の出のシーンです)


【REGALO】(直島)
旅の初日は、直島の東海岸にあるホテルWRIGHT STYLEに併設された、島のレストラン TORATTORIA & GALLERY REGALOで。イタリアで修業を積んだシェフが作る料理が美味しく、ドリンクメニューも豊富。スタッフの方もフレンドリーかつ親切で、居心地よく楽しい時間を過ごせました。


まずは、香川県のクラフトビール「空海」と、瀬戸内はちみつレモンサイダーで乾杯。空海はさぬきビールが開発した、フルーティな香りただようホワイトビールです。


私は続いて、さぬきビールのケルシュを……。さっぱりと端麗な飲み口で、料理によく合うビールでした。


前菜は手前から左回りに、オリーブポークのテリーヌ・バジリコクリームソース、鯵のカルピオーネ、海老と野菜のマリネ。カルピオーネとは、魚をニンニク、タマネギ、ビネガー、スパイス、ハーブなどでマリネした料理で、イタリア風南蛮漬けのようなものだそうです。


料理が運ばれてからは、チリ産のスパークリングワインに変更しました。


焼きたてホカホカの自家製パン。


牡蠣とハマグリが載った瀬戸内パスタ、キノコのトマトソース。大きな牡蠣は食べ応えたっぷり。


白ワインはシャトー・デュ・コワンのシャルドネでした。


直島の塩を使った「直島 塩サイダー」


オリーブ和牛の赤ワイン煮。オリーブ和牛は、讃岐牛に小豆島特産のオリーブを与えて育てた香川県のブランド牛です。


ここで赤ワインを……。


イタリア産のピエモンテ・バルベラ。


再びさぬきビール、今度は濃厚な味わいのスーパーアルトを。これでこの店に置いてあった香川県のクラフトビールは全種類試したことになります。ヴァイツェン好きの私としては、①空海、②スーパーアルト、③ケルシュの順でしょうか。


テーブルに並んだ空ボトル(スタッフさんが並べてくれました~笑)


デザートは、かぼちゃのプリンやイチジクのタルトなど……。


【鍛治屋町 みや崎】(高松)
高松での初日は、中心街にある「鍛治屋町 みや崎」へ。瀬戸内海で獲れた旬の魚介や、香川県をはじめ四国の地酒を提供する店です。カウンターの奥には店主が造る様々な果実酒や、地元作家の器などが並んでいました。


ビールとウーロン茶で乾杯を。
サッポロラガービールの赤い星は北海道開拓使のシンボル、北極星。「赤星」の名で親しまれる伝統のラガービールです。(星はサッポロビールのトレードマークですが、一般的には金色で、このラガービールだけ赤い星が描かれています)


この日は、「手打十段 うどんバカ一代」の釜バターうどんを食べてあまり時間が経っていなかったので、一番軽めのコースを注文。


戻り鰹には高知の酒、西岡酒造の久礼を合わせました。


旬の甘えびに脂がのったブリ。


瀬戸内の鯛の煮つけ。


この後は、地元香川の地酒をいくつか……。どしっとした味わいの丸尾酒造、凱陣。


小ふぐの天ぷら。


綾菊酒造の国重は、すっきりした飲み口でした。好きなタイプです。


土鍋で炊いたきのこご飯と味噌汁、香の物で締めくくり。


デザートはシャーベットとカヌレ。手前の小さな玉のようなものは、「おいり」という香川県に伝わる伝統的な和菓子で、口に入れると軽くふわっと溶けていきました。


【ホテル・ドーミーイン】(高松)
高松2日目は、朝からうどん三昧が続いて空腹感もなかったので、コンビニでビールを買ってきて部屋で一杯。サッポロの「至福のコク」とエビスの「プレミアムメルツェン」、どちらも初めて飲むビールでしたがなかなか美味しかったです。


その後私だけ、ホテルの夜鳴きそばを食べに行きました (^-^)ゞ これって全国のドーミーイン共通のサービスなのですが、こんな日は特にありがたいですね。


【銀四郎】(小豆島)
オリーブの島と言われる小豆島でオリーブの栽培が始まったのは1907年のこと。長いようで、まだ100年を少し超える程度です。これに対し、素麵づくりが伝わったのは慶長3年(1598)と言われますから、優に400年を超える歴史があります。瀬戸内の気候風土が素麺づくりに適していたということに加え、塩やごま油が豊富で容易に手に入る環境だったということも重要な要素だったのでしょう。
私たちは、フェリーが発着する土庄港のすぐ傍にある「銀四郎」で生そうめんを初体験しました。


これがその生そうめん。麺にはもちっとした弾力があって、嚙むごとにぷちっぷちっと弾けるような歯ざわりが感じられました。風味も素晴らしく、のど越しもよかったです。


旬のオリーブの新漬けは、この時期ならではのサービス。


オリーブそうめんは、麺に小豆島産オリーブを練りこみ、オリーブオイルを塗って手延べしています。


もちもちでつるつる。ほんのりとしたオリーブの風味がたまりません。


半生そうめん(生そうめんは日保ちしませんが、半生そうめんなら大丈夫なのだそうです)と、オリーブそうめんをわが家のお土産に。家に帰ってから、あっという間に完食してしまいました(^^ゞ


直島からスタートして、高松とその周辺、小豆島、倉敷・岡山と続いた瀬戸内旅日記も、番外編を加えてようやく完結です。お付き合いくださってありがとうございました。
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ぐるっと瀬戸内 アートな旅~番外編①(さぬきうどん)

2022年12月15日 | お出かけ
旅行記をアップしてからずいぶん時間が経ってしまいましたが、「ぐるっと瀬戸内 アートな旅」の番外編です。今回は「うどん県」香川で食べ歩いたさぬきうどんを紹介したいと思います。少々長くなりますが、"香川うどんmap" にお付き合いいただければ幸いです(笑)

(写真は高松港。直島と高松を結ぶフェリーなおしまです)

【木の崎うどん】(直島)
私たちの瀬戸内の旅は、現代アートの聖地と呼ばれる直島からスタート。という訳で、さぬきうどん食べ歩きのトップバッターは、直島の玄関口 宮浦港に近い「木の崎うどん」です。直島パヴィリオンから、道路を挟んで向かい側にあります。小雨ぱらつく生憎の天候でしたが、店内はほぼ満席でした。


うどん屋さんにおでんって、九州では時々見かけますが香川にもあるんですね。


お盆を取って厨房で注文。出てくるのがとっても早かったです。


うどんを受け取ったら、好きな揚げ物を選んで会計に進みます。


私が頼んだのは、この店オリジナルの "アホ"うどん。「アホ」は、スペイン語でニンニクを意味する "ajo" 。スープは甘めで、その名のとおりしっかりニンニクが効いていました。うどんにニンニクは珍しいと思いますが、めちゃめちゃ好みの味。麺はコシがありながらも、もちもちした食感でした。


もう一杯は、釜玉ぶっかけに生姜とねぎをトッピング。アツアツの麺にダシと卵が絡んだうどんはもちろん、鯛のすり身(手前)も風味ゆたかで美味しかったです。記念すべき讃岐うどん一杯目、木の崎うどんにして、まずは大正解でした。


【手打十段 うどんバカ一代】(高松市)
翌日の午後は、直島から高松に移動。うどん店の多くは店じまいが早いので、ホテルにチェックイン後すぐさまタクシーを呼んでもらい、「手打十段 うどんバカ一代」に向かいました。道中、運転手さんに美味しい讃岐うどんの店を聞いてみたところ、この店でのお勧めはやはり釜バターうどん。その他のお店では「がもううどん」や「日の出製麺所」を勧められました。


壁という壁にマスコミ関係や芸能人の色紙がずらりと飾られた店内。この店の釜バターうどんを求めて、早朝から長蛇の列ができる人気店なんです。


これがお目当ての釜バターうどん。釜から上げたての麺に、ダシと卵、バターが絡んで美味しかったです。麺はつるつるでのど越し最高。たっぷりの黒胡椒とバターの相性も抜群で、別名カルボナーラうどんと呼ばれるのも納得の味でした。


【ドーミーイン】(高松市)
高松で泊ったのはドーミーイン高松中央公園前。うどん県のホテルだけあって、朝食にもさぬきうどんが提供されます。まずは目の前でゆでてくれる「かけうどん」を注文し、えび天としめじ天を別皿に取りました。麺もスープも天ぷらも、ビジネスホテルの朝食とは思えないレベル。瀬戸内海はえびの産地だけあって、ふっくらプリッと揚がったえび天はことのほか美味しかったです。


そこでもう一杯、今度はぶっかけを……。朝からうどん2杯、軽く平らげてしまいました(^^ゞ


【がもううどん】(坂出市)
この日は、東山魁夷せとうち美術館や丸亀城、父母ヶ浜を目指して、レンタカーで一路、香川県西部へ。その途中、坂出市加茂町の老舗うどん店「がもううどん」に立ち寄りました。朝8時半でこの行列。でも回転が速いので、そんなに待つことはありません。


柔和で優しそうなご主人が、注文を聞きながら麺をゆで上げます。メニューはかけうどんのみ(温かいのと冷たいのがあります)。


揚げ物は自分で取って、ここで会計します。私たちは、一番人気の大きな油揚げをトッピングしました。


麺はつやつやで、のど越しなめらか。カツオと昆布がベースのスープは、心と体に沁みわたるような素朴でやさしい味。その美味しさに、思わず夫婦で顔を見合わせました (^^ゞ


店内にもテーブル席はありますが、多くの人は迷うことなく外に座って食べていました。狭いというだけではなく、次から次にお客さんが入ってくる店内よりも外の方が落ち着くということがあるようです。雨の日はどうするのか、ちょっと気になりました。
周囲には田んぼや畑が広がり、道も狭くて、お店があるとは思えないような立地ですが、50台分を越える広い駐車場を完備。この店の味を求めてくる人が後を絶たないんですね。


【日の出製麺所】(坂出市)
麺の製造・卸が本業のため、昼の11時半から12時半の1時間しか営業しない「日の出製麺所」。ここも、タクシーの運転手さんお勧めの店です。東山魁夷せとうち美術館と瀬戸大橋記念公園を見た後、ちょうどこの時間に間に合いそうだったので、急きょ訪ねることにしました。着いたのは開店15分前。並んでいる間に、お店の方が手際よく注文をとっていきます。12時半の時点で並んでいれば大丈夫だそうです。


店舗が二つあったので、行列の割には早く席に着けました。


ここでは、二人とも釜玉を注文しました。テーブルに置いてあるダシとねぎ、天かすなどをトッピング。会計はテーブルで、頼んだうどんを自己申告して支払います。


【山越うどん】(綾川町)
石垣の名城、丸亀城を見た後、30分以上かけて行った綾川町の「山越うどん」。ところが、駐車場に着いてびっくり。まさかの定休日でした。立ち寄るべきうどん店は、私担当でしっかり下調べして決めていたのに、思わぬ抜けがありました。


山越うどんは釜玉うどん発祥の店で、一番人気は、これに山芋をトッピングした「かまたまやま」。これを食べるのを楽しみにしていただけに残念でした~💦


【なかむら】(丸亀市)
気を取り直して再び丸亀に戻り、土器川の土手沿いにある「なかむら」へ。十数年前、あまりの人気に人手が足りず、客が畑からネギを取ってきて自分で刻んでいたことが話題になった店です。(ねぎは今、薬味コーナーに置いてあります)


今でも連休ともなると、2時間待ちの行列ができるそうです。(写真はなかむらうどん公式HPからお借りしました)


「かけ」を頼むと、丼にうどん玉を入れて渡してくれるので、隣にある釜で自分で湯がきます。


チャッチャッとお湯を切って丼へ。今回の旅で初めて体験したセルフスタイルのうどん店でした。


かけつゆを注いで薬味などを選びます。(かけつゆは、熱いのと冷たいのがあります)


かけうどんに、ねぎと生姜、天かすをトッピングしました。透明感のあるスープは、いま見ても美味しそうです♬


さぬきうどんにしては麺が細くやわらかめで、つるっと滑らかに喉を通り過ぎていきます。


こちらは、なかむらで人気の釜玉。釜玉の場合は流れが少し違って、どんぶりに卵を割って溶いておくと、店員さんが釜から上げたての麺を入れてくれます。卵が絡むと、尚いっそうつるつるののど越し。麺もダシも美味しかったです。


九州のうどんに近い細めの麺、のど越しの良さが気に入って、お土産用のセットを買って帰りました。専用の醬油とダシが付いているので、お店で食べるのと遜色ない味。うどんバカ一代の釜バターうどんを真似て、バターと黒胡椒の釜玉も作って楽しみました (^^ゞ


どのうどん店もそうだったのですが、お土産を買っていく人が多いのにびっくりしました。うどん県香川には、買って帰って家で食べるという文化があるんですね。

【さか枝うどん本店】(高松市)
翌日は、ホテルの朝食はパスして、歩いて10分もかからない場所にある「さか枝うどん本店」へ。前日のさぬきうどん三昧で少々疲れ気味の妻をホテルに残し、私一人で出陣です。7時開店なのに15分前には既にオープン。ガイドブックでは「行列覚悟の超人気店」と紹介されていますが、幸いまったく待ち時間なしで入れました。


揚げものコーナーで好きなトッピングを選んだら会計という流れです。


さか枝本店も、なかむらと同じく自分で麺を温めて、蛇口からかけつゆを注ぐオールセルフタイプ。


いりこをベースに、5種類のカツオだしを使った自慢のかけつゆ。トッピングしたのはげその天ぷらです。


瀬戸内の旅のプランは、アートの部分は主として妻が、うどんパートは私が担当しました。うどん三昧を楽しむため、高松には2泊することに。その甲斐あってこの旅で食べたうどんは、ホテルの朝食を含めて計8杯。本場のさぬきうどんを満喫しました。「うどん発祥の地」たる福岡県民としての自負もありますが、香川のうどんも負けず劣らず美味しいと実感した "香川うどんmap" でしたヽ(^o^)丿
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ぐるっと瀬戸内 アートな旅⑧~岡山(後楽園と夢二郷土美術館)

2022年11月10日 | お出かけ
倉敷では、大原美術館や有隣荘で和洋の近代絵画に触れ、足の赴くまま美観地区や本町通り、アイビースクエアなどを散策。翌日はいよいよ旅の最終日、JR岡山駅から新幹線に乗り込む前に、後楽園と夢二郷土美術館に立ち寄りました。

岡山藩主 池田綱政が築庭した岡山後楽園は、元禄文化を体現した江戸時代を代表する大名庭園で、金沢の兼六園、水戸の偕楽園と並んで日本三大名園のひとつに数えられています。今回の後楽園で、私たちもこれら三名園をひと通り見ることができました (^-^)ゞ


岡山市内を南北に流れる旭川の中州に造営された園内には、藩主の居間「延養亭」や「能舞台」など歴史的な建物があり、「延養亭特別公開(年2回)」や、能舞台での公演、和文化体験等を通じて一般公開しています(通常は非公開)。


歴代藩主が後楽園を訪れた時に使用した延養亭。 園内外の景勝が一望できるように設計されています。左奥に見えるのは能舞台、栄唱の間。


園内で最大の沢の池。岸に近寄ると錦鯉が集まってきました。


綱政の時代は、延養亭や園内に点在する建物の座敷から眺望を楽しむという座観的要素の強い庭でしたが、跡を継いだ継政は、ほぼ中央に唯心山を築き、そのふもとに水路を巡らせ、沢の池と廉池軒の池を結ぶひょうたん池を掘らせるなど、園内を巡って楽しめるよう回遊性を高める改築を行いました。
写真左側の築山が唯心山。右側の茅葺屋根は廉池軒。中央奥に見えるのは零代藩主の居城、岡山城です。


沢の池で最も大きな中の島。散策途中に立ち寄るための島茶屋が設けられています。


歩きながら移り変わる景色を眺めるよう工夫された後楽園。樹木も芝も池も、見事なまでに手入れが行き届いていました。


広い芝生が目につきがちですが、園内をめぐる「曲水」が池や滝になって、優れた水の風景を作り出しています。


歴代藩主は、参勤交代で岡山を留守にする間などは、日を決めて後楽園への領民の立ち入りを認めていたそうです。進取の家風というか、懐の広さが窺えるエピソードですね。


私たちが訪ねたのは10月中旬でしたが、一部では紅葉が始まっていました。


後楽園では現在、8羽の丹頂鶴を飼育しています。鶴舎だけではなく、秋から冬にかけては鶴を芝生に放つ園内散策が行われ、来園者も丹頂が優雅に歩いたり飛翔したりする姿を見ることができるそうです。(岡山観光WEBに日程が掲載されています)


続いて、旭川を挟んで後楽園の対岸にある「夢二郷土美術館(本館)」へ。こじんまりとしていますが、竹久夢二が活躍した時代、日本のベルエポックとも称される「大正浪漫」の風情を感じさせる建物です。瀬戸内市には、夢二の生家を改築した「夢二生家記念館・少年山荘」もありますが、今回は本館だけ観て回りました。


画家であり詩人、デザイナーでありグラフィックデザイナーでもあったマルチアーティスト、竹久夢二。明治から大正、昭和にかけて一世を風靡しました。夢二の生誕100年を記念して開館した夢二郷土美術館は、夢二の作品を専門に収集し、コレクションの規模は日本最大を誇る美術館です。


郷土美術館では年に4回行われる企画展を主体に、テーマに沿って100点以上の作品を幅広く展示しています。
左は前回の『竹久夢二×マツオヒロミ トキメキの大正浪漫』(7.6~9.25)、右はこの時行われていた『夢二と大正時代の文学』(9.27~12.4)のパンフレットです。


第6展示室は、展示室と「art cafe 夢二」とが一体となっていて、この部屋だけ撮影OKでした。
JR九州の「ななつ星」など多くの鉄道デザインを手がけた水戸岡鋭治氏が監修して、美術館全体をリニューアルした際、「夢二との時空を超えたコラボレーション展示空間」として、この部屋が新たに誕生したのだそうです。水戸岡さんも夢二と同じ岡山県出身ということで縁があったのですね。


私が頼んだ冷たいマスカット・フレーバーティー。瑞々しく爽やかで、気分をリフレッシュできました。


妻は、白桃ロールケーキセットを注文。紅茶は白桃ダージリンです。


お茶を飲みながら展示された絵を眺める、ゆったりした時間を過ごしました。

(復刻木版画『憩い(女)』)

水戸岡鋭治氏が制作したパネル、『夢二の猫』。


夢二の美人画をパネルした作品。同じく水戸岡鋭二作です。


窓辺でマンドリンを奏でる若き日の竹久夢二(明治43年撮影)。夢二26歳、最初の著作『夢二画集 春の巻』がベストセラーとなった翌年、夢二の抒情画が一躍人気を博した頃の写真です。


夢二郷土美術館を最後に、JR岡山駅から帰路につきました。岡山から北九州まで、新幹線でおよそ1時間半。北九州から博多まで車で行くのと変わりません。その気になれば近いものですね。


天保8年(1837)創業、大手饅頭伊部屋の大手まんぢゅう。後楽園のバス停で話しかけられ、ぜひ出来たての温かいうちに、と勧めていただいたのです。新幹線の中でさっそく試食。甘酒を使って発酵させた薄皮に、北海道産の漉し餡がたっぷり。甘さは控えめで、ほのかに甘酒の香りがします。辛党の私も満足の味。地元の方のお勧めには従うものですね~。


直島では地中美術館や李禹煥美術館、島内を彩る様々な現代アートに触れ、高松周辺では東山魁夷せとうち美術館や丸亀城、小豆島ではオリーブ公園や二十四の瞳 映画村、エンジェルロードなど、倉敷は大原美術館と美観地区、岡山では後楽園や夢二郷土美術館をめぐった「ぐるっと瀬戸内 アートな旅」も遂にフィナーレ。比較的狭い範囲にもかかわらず、5泊6日と時間をかけて回ったことも幸いして、記憶に残りそうな大満足のゆったり旅でした。いきおい、旅日記も長々と続いてしまいましたが、最後までお付き合いいただいてありがとうございました。
今後は、讃岐うどん三昧を含め旅行中の食べ歩きを、番外編としてランダムにアップしていきたいと思っています。
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ぐるっと瀬戸内 アートな旅⑦~倉敷美観地区と大原美術館

2022年11月08日 | お出かけ
直島から始まり、高松、小豆島と続いた、瀬戸内アートをめぐる旅もいよいよ終盤。4日ぶりに香川県を離れて、岡山県倉敷市に向かいました。右舷を航行するのは、ほぼ同時刻に小豆島の土庄港を出港した高松行きの第2しょうどしま丸。名残りを惜しむように、しばし並走しました (^-^)ゞ
小豆島から岡山(新岡山港)へは、およそ1時間10分の船の旅。新岡山港からJR岡山駅へは、10分の連絡で岡電バスが運行しています(所要時間40分)。


倉敷に到着し、まずはこの日の宿、KURASHIKI IVY SQUARE(倉敷アイビースクエア)へ。ここは、明治時代の倉敷紡績所(現クラボウ)の外観や立木を再利用して生まれた、ホテル・文化施設を併せ持った複合施設です。威風堂々たる赤煉瓦の門や蔦の絡まる外壁が、往時の雰囲気を伝えていますね。


当時のまま残された広い中庭広場。
"倉敷 IVY SQUARE" という名は、この施設の二つのシンボリックな存在、蔦(Ivy)と広場(Square )を合わせたものです。


レストラン蔦(アイビー)の前に飾られていた備前焼とブリキのチェロ。


バイオリンとチェロ、サックスのアンサンブル。リビングに飾りたくなるような置き物でした~♫♫♩


昭和32年(1957)、苗木で植えられたメタセコイアがこんな大木に……。


その傍に建つアーリーアメリカン風の建物は、カフェを兼ねたオルゴールの博物館、オルゴールミュゼ・メタセコイア。


美観地区に接する西門のカイヅカイブキは、手入れが行き届いた圧倒的なボリューム感で来館者を出迎えます。


倉敷と言えば国産デニム発祥の地。国産デニム生地やジーンズのほとんどがこの地域で生産されています。
この日、アイビースクエアのホールでは、”DENIM on LIFE" という展示販売イベントが行われており、デニムを使用した様々な製品が展示されていました。


可愛いミニGジャン。ほんの手のひらほどの大きさですが、驚くほど精巧に作られていました。


実は倉敷に着いたこの日、使い古したGパンが擦り切れて、膝の上が遂に破れてしまったんです💦 偶然とはいえ、倉敷で掃きつぶすことになったのも何かの縁かもしれないからと、妻はオーダージーンズを勧めてくれたのですが、値段と相談して思いとどまりました(笑)


妻は、代わりにこんなコースターをお土産に買っていました。


創業当時から使用されていた原綿倉庫を改装し、倉敷紡績所の歴史を年代別に展示する倉紡記念館。


初期の手織機。このほか、貴重な機械・文書・写真・映像・模型など約500点を展示しています。倉敷紡績所は1972年、国産初の本格的デニム生地「KD-8」を完成させ、それまで米国からの輸入に頼っていたデニム生地の国産化の道を開きました。


ここがアイビースクエアの西門。美観地区からのエントランスになります。


西門を抜けて、倉敷川沿いに昔ながらの町並みが残る美観地区へ。


上流から川舟流しが近づいてきました。福岡県柳川の川下りに似た雰囲気です。


瓦や白壁が水面に映りこむ、風情ある佇まいが続きます。


倉敷を代表する実業家、大原孫三郎が昭和5年(1930年)に私財を投じて設立した大原美術館。日本初の西洋絵画を主体とする私立美術館でした。今回の旅に倉敷を加えたのは、この大原美術館を訪ねてみたかったからなんです。


ギリシャ神殿を彷彿とさせる大原美術館本館。階段両側にはロダンの彫刻が置かれています(左手は『洗礼者ヨハネ』、右は『カレーの市民-ジャン・デール』)。館内では、モネ、ルノワール、ゴーギャン、ピカソ、モディリアーニ、エル・グレコなどの作品を観ましたが、撮影はできませんでした。


工芸・東洋館入口。


中庭を挟んで反対側。中央の壁面が赤い建物は芹沢銈介、その左側は棟方志功の部屋になっています。


ミュージアムショップではポストカードを2枚購入。モネの『睡蓮』とモディリアーニの『ジャンヌ・エビュテルヌの肖像』です。
この『睡蓮』は1906年頃の作品で、睡蓮シリーズの中では比較的早い時期に制作されたもの。描かれた時期によって印象の異なる『睡蓮』ですが、これは晩年の作品に比べると写実性が高く、色調も明るいところに惹かれました。


孫三郎が、病弱な妻 寿恵子を気遣って建てた別邸、有隣荘。完成は昭和3年(11928)だそうですから、大原美術館の開館前のことですね。
緑や橙色に輝く艶やかな屋根瓦や塀の土壁は、黒瓦に白壁が続く周囲の町並みにあって際立つ存在。建物の保護のため通常は公開していませんが、大原美術館が年に2回、特別公開を兼ねて有隣荘を会場とした特別展を開催しています。


10月7日から10月23日にかけて行われた、秋の有隣荘特別公開『マティス -光と色と-』。会期中に訪ねることができてよかったです。


『エトルタ-海の断崖』や『画家の娘 マティス嬢の肖像』などの油彩画や、鉛筆や木炭によるデッサン、色あざやかな紙を切り抜いて組み合わせた切り紙絵『ジャズ』など見ごたえのある展示でした。


唯一写真が撮れたのは、大原美術館 新児島館(仮称)の暫定特別展示。ヤノベケンジさん作『サン・シスター(リバース)』です。「百年愛された銀行建築(旧第一合同銀行倉敷支店)を児島虎次郎館に再生するプロジェクト」の一環として制作されました。建物の「転生」と倉敷の「再生」を願って、女の子が瞑想する大きな作品です。


同じくヤノベケンジ作『赤漆舟守縁起猫』。


こちらは、倉敷川沿いの美観地区の少し北に位置する本町通り。


古い町家が立ち並ぶ通りは、江戸時代の面影を留めています。


そんな町屋造りのひとつ、カフェ有鄰庵で遅めのランチにしました。


有鄰庵では岡山産の食材にこだわった、たまごかけご飯たまなどの軽食や、プリンやパンナコッタといったデザートメニューを提供しています。


中に入ると、手前の土間にテーブル席、奥は座敷になっています。


おひつに入ったご飯と新鮮な卵、天かすとふりかけ。このほか、オリジナルの黄ニラ醤油と別注文の味噌汁が一緒に運ばれました。


卵と黄ニラ醤油は抜群の相性。天かすの食感もよかったです。卵とごはんはお替り自由でしたヽ(^o^)丿


有鄰庵の一番人気のしあわせプリン。桃ジュースのグラスは、岡山県の女性ガラス作家さんが手づくりした「ももじりグラス」です。


同じ本町通りの三宅商店。こちらも、江戸時代後期に建てられた町家で、もともとは日用雑貨や荒物を扱う商店をカフェに改造したお店です。


有鄰庵と同じように、手前が土間で奥は座敷(板張り)ですが、土間はずっと中まで続いていて、奥の蔵に繋がっています。


ほぼ一日、美術館めぐりや町歩きを楽しんだので、通りを眺めながらホッと一息つきました。


妻は和栗のパフェを注文。このお店のパフェは季節限定で、この少し前まではぶどう、今はりんごのパフェに変わっているようです。


私はエビスビールでほろ酔い気分に……🍺


大原美術館や倉敷美観地区、本町通りは比較的コンパクトな範囲に集中していて、歩いて散策するのにちょうど良い広さ。大原美術館や有隣荘などもゆっくり見て回ることができました。翌日は旅の最終日。岡山の後楽園や竹久夢二の美術館などを見てから帰路につく予定です。
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