ルイガノ旅日記

あちこち出かけた場所で目にとまったもの、
心惹かれたものを紹介しています。
よかったらおつきあい下さい。

ぐるっと瀬戸内 アートな旅⑥~小豆島(寒霞渓とエンジェルロード)

2022年11月05日 | お出かけ
淡路島に次いで、瀬戸内海で2番目に大きな小豆島。さすがに、直島のように自転車でぐるり、という訳にはいきません。路線バスやタクシーもありますが、旅人の移動手段としてはやはりマイカーかレンタカーということになるでしょう。土庄港近辺には数社のレンタカー会社がありますが、この日はどこも車が出払っていたようです。早めに予約しておいて正解でした (^^♪
さて、小豆島散策の続きです。二十四の瞳 映画村の後は、来た道を引き返して島の南東部「醤(ひしお)の郷」に立ち寄りました。

【醤の郷】
小豆島は、千葉県(野田市・銚子市)、兵庫県(龍野市)と並ぶ醤油の三大名産地です。ここでは、400年以上の歴史を刻む伝統的な醤油づくりが今も健在。小豆島の穏やかな気候が、醤油づくりに欠かせない麹の発酵に適しているのだそうです。醤の郷一帯には20軒以上の醤油や佃煮の工場が軒を連ね、昔ながらの製法を守りながら醤油やもろみ、つくだ煮などを造っています。


古くからの醬油工場などが立ち並び、レトロな雰囲気を醸し出す醬の郷。香しい醤油の匂いに包まれながら、明治40年(1907)創業のマルキン醤油記念館を見学しました。


ここは、醤油づくりの歴史や製造方法を、古くから使われている道具やパネルを使って紹介する展示施設で、この建物自体が国の登録有形文化財に指定されています。


手前から左奥に伸びる太くて長い棒は、てこの原理を利用してもろみから醤油を絞り出す「棒締機(ぼうじめき)」。


中二階に置かれた直径2m以上もある大桶。約1年間もろみを寝かせて熟成させるための桶です。


古くからの醤油づくりについて知った後は、大人気の醤油ソフトを……。キャラメルのような香ばしい風味で美味しかったです。オリーブソフトに醤油ソフト、一日に2本も食べたのは初めてかもしれません (^-^)ゞ


【寒霞渓(かんかけい)】
続いて、山道を上って小豆島の中央部へ。訪ねたのは、群馬県妙義山、大分県耶馬渓と並んで、日本三大渓谷美のひとつに数えられる寒霞渓。四季折々の表情を見ることができる、小豆島を代表する景勝地です。
切り立つ岩壁に挟まれた谷間を、ロープウェイで一気に山頂まで上ります。


取り付く島もなさそうな断崖絶壁。


山頂駅でゴンドラを降り、山道を辿って鷹取展望台を目指しました。


鷹取展望所からの眺望。
後で気づいたのですが、ここは映画『八日目の蝉』のロケ地でもあります。希和子と薫がこの展望所に立ち寄り、美しい瀬戸内の島々を眺めるシーン……家に帰ってこの映画を観なおした時、「あ、ここ行ったとこだ~!」と夫婦で感動を新たにしました (^-^)ゞ


四望頂方向に少し歩いた斜面に、錆色に変化した金属製の球体が現れます(鷹取大展望所から3分、ロープウェイ山頂駅から10分程度)。瀬戸内国際芸術祭2022参加作品、青木野枝さんの『空の玉/寒霞渓』です。


球体の中から寒霞渓や瀬戸内の島々を見渡す、一風変わった展望所になっているんですね。


囲われた枠の中から景色を眺めるって、どこかワクワクする体験でした。


帰りのロープウェイからの眺め。


ロープウェイの駐車場を出たところで、野生の猿と遭遇。数頭の群れが、道路を横切って山を下りていきました。


【天使の散歩道=エンジェルロード】
潮が引いたときにだけ現れて沖合の島と島を結ぶ砂の道、「天使の散歩道(エンジェルロード)」。これは、弁天島~小余島~中余島~大余島の4つの島を結ぶ砂州で、潮の満ち引きによって一日に2回、これらの島々が繋がったり離れたりする人気の観光スポットです。
写真は、小豆島に到着した当日の様子。この日、日中の引き潮では、完全には繋がらなかったとホテルのフロントで聞きました。


さて、翌朝5時半ごろのエンジェルロードです。この日の日の出は午前6時7分、干潮時刻は6時51分。小余島の方にも砂州ができていて、もうちょっとで繋がりそうですね。


弁天島の「約束の丘展望台」から見た日の出。
島影から太陽が顔を出し、天使の散歩道にも光が届き始めました。きれいな朝焼けです。


完全に繋がり、広い砂浜が現れたエンジェルロード。小余島の東壁が太陽を浴びて輝いています。写真ではわかりにくいですが、砂浜を歩く人の影が長く伸びていました。大切な人と手をつないで渡ると、二人の間に天使が舞い降りて願い事を叶えてくれるそうですよ~♪


この写真を見ると、一番手前の弁天島を含めて4つの島が、3つの砂州で結ばれているのがわかります。このくらいの細い砂州の方が「天使の散歩道」というイメージに近いですね(笑)


ホテルに戻って撮った写真。中余島と大余島とを結ぶ一番奥の砂州が、わずかに写っていました。


レンタカーであちこち巡った小豆島。名残りは尽きませんが、この日は香川県を離れフェリーで本州に渡ります。次の目的地は岡山県倉敷市。古い町並みが美しい美観地区や大原美術館を訪ねる予定です (^-^)ゞ
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ぐるっと瀬戸内 アートな旅⑤~小豆島(映画『二十四の瞳』ロケ地めぐり)

2022年11月03日 | お出かけ
小豆島オリーブ公園の後は、壺井栄原作、木下恵介監督・高峰秀子主演の『二十四の瞳』のロケ地めぐりです。小説はずいぶん昔に読んだものの映画は観ていなかったので、出かける前にAmazon Prime Videoでチェックしておきました (^-^)ゞ
最初に訪ねたのは「岬の分教場」(正式な名前は「苗羽小学校田浦分校」)。明治35年(1902)に田浦尋常小学校として建てられ、明治43年(1910)からは苗羽小学校田浦分校として使用された建物です。この映画で一躍有名になり多くの人が訪れるこの分教場は、今なお当時の面影をそのまま残しています。


木の温もりが感じられる廊下。
昭和3年の春、この分教場に大石先生という若い女性の先生が赴任するところから、物語は始まります。


溌剌と爽やかに、愛情をもって接する大石先生を、子どもたちは「おなご先生」と呼んで慕っていました。


当時は、女性が自転車に乗るのはかなり珍しかったのでしょう。島の人たちは当初、不思議なものを見るような目で眺めていました。そんな衆目に臆することなく、颯爽と通勤する大石先生の姿が印象的でした。


ある日、大石先生はいたずらっ子が掘った落とし穴にはまり、足を怪我してしまいます。これがきっかけで大石先生は分校を辞め、本校に転任することになってしまいました。


大石先生と12人の子供たち。


自分の後に続く先生たちに託す思いがぎっしり詰まったメッセージボード。この映画によって「教育の聖地」となった岬の分教場には、全国の教職員から、子どもたち、教師、将来教師を目指す人に向けたメッセージが続々と寄せられました。(こんなメッセージボードが、教室や廊下に何枚も掲示されています)


こちらは、「岬の分教場」の少し先にある「二十四の瞳 映画村」。(入場料は分教場とセットで買うと割引があります)




映画で使用されたロケ用セットを改築したもので、木造校舎、男先生や漁師の家などが立ち並んでいます。


数多くの名シーンがここで撮影されました。


ロケのために建てられた岬の分教場。大石先生の自転車が入口に停めてありますね。左の壁に立てかけてあるのは竹馬。自由に使っていいそうです。


机やオルガン、柱時計や掲示物、フィルムカメラや照明設備などが、当時のまま残された教室。


こちらの教室には、映画のポスターや新聞記事などが掲示されていました。


教室の窓から見える瀬戸内海。この日も、くっきりと濃い青空が広がりました。


童心に戻って竹馬にチャレンジ。野や山を駆け回った、かつてのワンパク少年の面目躍如……とはいかず、前に進むのも思うにまかせませんでした (^-^)ゞ


こちらは、昭和の時代に思いを馳せる「キネマの庵(いおり)」。


古い映画ポスター。箱型のテレビやレトロな柱時計、どこの家にもありましたね~。


小林旭さんや石原裕次郎さん。この時代の映画ポスターって、どことなく共通点がありますね。


今はすっかり姿を消しましたが、ボンカレーやオロナミンCのCMによく使われていたホーロー看板。
大村崑さん、90歳となられた今も、筋力トレーニングに励むなど、ますますお元気のようですね。


「水爆大怪獣映画 ゴジラ 絶賛上映中」……昔なつかしいゴジラ映画の看板もありました。


角田光代さん原作の映画『八日目の蝉』小豆島展。(2010年放映のNHKドラマに続いて、翌2011年に公開された映画です)


登場人物の相関図。野々宮希和子(永作博美さん)と薫(渡邉このみちゃん)は、小豆島で最後の逃亡生活を送ったのでしたね。不倫相手の子を誘拐した犯罪者なのに、気持ちは希和子に寄り添って、終始ハラハラしながら観たことが思い出されます。


どのシーンにも見覚えが……。このコーナーを見ているうち感動がよみがえり、家に戻って映画をあらためて観なおしました (^-^)ゞ


小豆島でのロケ地をマップで示しています。今回、私たちが訪ねた場所もいくつかありました。


小豆島散策も終盤です。次は、引き潮になると姿を現す砂の道、「エンジェルロード(天使の散歩道)」を紹介します。
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ぐるっと瀬戸内 アートな旅④~小豆島(小豆島オリーブ公園)

2022年10月31日 | お出かけ
瀬戸内の旅、4日目の朝。高松港から、朝9時の小豆島行きのフェリーに乗船しました。私たちを運んでくれるのは、真っ白な船体のオリーブライン第一しょうどしま丸。高松から小豆島まで約1時間の船旅です。


定刻に小豆島・土庄(とのしょう)港に到着。オリーブの島で最初に迎えてくれるのは、金色のオリーブの葉で王冠を形づくった『太陽の贈り物』。韓国ソウル出身のアーティスト、チェ・ジョンファ氏の作品です。


オリーブの葉、一枚一枚に島の子供たちのメッセージが刻まれています。葉の陰にある実は、夜間はライトアップされるそうです。


予約していたレンタカーをピックアップし、島内散策に出発。最初は、山道を上って島の中央部にある中山千枚田を訪ねました。山あいの斜面におよそ800枚の棚田が広がっています。収穫前の稲穂が黄金色に輝く様子を期待していたのですが、残念ながら既に稲刈りは終了していました (^-^)ゞ


続いて、道の駅 小豆島オリーブ公園へ。山の斜面から海岸近くまでオリーブ畑が続いていて、小豆島はまさしくオリーブの島なんだなぁと実感しました。


小豆島の穏やかな気候風土の象徴でもあるオリーブの木。町の木、町の花として、島の人々に親しまれています。子どもの誕生や小学校入学などの節目にオリーブの苗木を贈る習慣があり、家々の庭にも普通に植えられているそうです。


オリーブ畑に囲まれたギリシャ風車。小豆島と姉妹関係にあるギリシャのミロス島との友好の証として、平成4年(1992)に建てられたものです。


オリーブ記念館からは、穏やかな瀬戸内海を一望できました。


幸せを運ぶオリーブ色のポスト。記念館で販売されているオリジナル絵葉書を、友人や家族、自分あてに送るのもいい記念になりそうですね。


道の駅限定のオリーブソフトでホッとひと息。ほんのりとオリーブの風味が感じられて美味しかったです。


映画『魔女の宅急便』のロケ地ともなった小豆島オリーブ公園。私もキキになった気分で、魔法のほうきに跨ってみました(笑) (可愛らしい魔法のほうきは、オリーブ記念館で無料で貸し出してくれます)


道の駅でもらったポストカード。このほか、オリーブの葉の絵もありました。


こちらは、道の駅から車で5分くらいの小豆島オリーブ園。オリーブの栽培から採油まで行われる広大なオリーブ農園です。


ずらりと並んだオリーブオイルやオリーブ由来の品々。


オリーブの新実が生るこの時期限定のオリーブ新漬。ワインに合いそうなので買って帰りました。


写真が多くなってきましたので、小豆島編はここで一区切りとし、次回は「二十四の瞳 映画村」からスタートしたいと思います。

【追記】
数日前のことですが、SmartNewsトップ画面の「地域のニュース」に、「地球の歩き方 福岡特派員ブログ」に書いた『北九州市特産 若松トマトで作ったお酒~若松の赭(そほ)』が掲載されました。よろしければ、ご覧になってください。
"若松の赭"は、北九州市立大学の学生グループが試行錯誤を重ねながら開発した、言わばトマトのワインです。

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ぐるっと瀬戸内 アートな旅③~高松とその周辺

2022年10月29日 | お出かけ
2日目の午後、四国汽船のフェリーで直島を後にしました。直島・宮浦港から高松港まで、およそ1時間のオーシャンクルーズ(笑) 潮の流れの関係か、逆コースよりも10分ほど時間がかかります。出航して30分もしないうちに、高松の街並みが見えてきました。


フェリー桟橋に接岸。四国の海の玄関口だけあって、大小さまざまな客船が頻繁に行き来していました。


港のすぐ東に見える台地は、源平合戦の舞台となった屋島です。都を追われた平家が、再起を期すための拠点とした屋島は、当時、陸続きではなく完全な島だったそうです。


高松港は、瀬戸内国際芸術祭2022の会場のひとつとなっています。港に立つ2本のカラフルな柱は大巻伸嗣氏の作品『Liminal Air -core』。色とりどりのコマを積み重ねたような形状で、高さは約8m。一部は鏡面仕上げとなっていて、時間とともに移ろいゆく港の景色を映し出しています。桟橋に停泊しているのは、私たちを直島から高松に運んでくれたフェリーなおしまです。


港から"ことでん"(高松琴平電気鉄道)の高松築港駅に向かう途中、高松城の手前でこんなマンホール蓋を発見。平家物語「屋島の戦い」で、那須与一が扇の的を射抜くシーンです。


高松城周辺を整備した玉藻公園の一角にある、彫刻家 井上麦さんの『地表より-森』。


港から歩いて5分、高松築港駅に到着です。ことでんのホームから見える高松城のお堀。


ホームに電車が入ってきました。高松築港駅はことでん琴平線の終着駅なので、ここで折り返し運転になります。この電車で瓦町駅に向かい、まずはホテルにチェックイン。荷物を置いて、「手打十段 うどんバカ一代」の釜バターうどんを食べに行き、夜はホテルに近い「鍛冶屋町 みや﨑」で郷土料理に舌鼓を打ちました。食べ歩きについては、機会を改めてアップしたいと思います。


翌日は、レンタカーを借りて高松から東山魁夷せとうち美術館へ。途中、さぬきうどんの名店として名高い「がもううどん」に立ち寄ってから、美術館のある瀬戸大橋記念公園に向かいました。瀬戸大橋は、岡山県倉敷市から瀬戸内海の島々を経由して香川県坂出市に至る10本の橋の総称で、世界最長の道路・鉄道併設橋としてギネス世界記録に認定されています。


こちらは瀬戸大橋の袂に建つ東山魁夷せとうち美術館です。入口から美術館に向かう印象的なアプローチ。東山魁夷の代表作のひとつ、『道』を彷彿とさせますね。
東山魁夷せとうち美術館は、魁夷の祖父、東山新吉(魁夷と同じ名前です)が坂出市櫃石(ひついし)島の出身で香川県と縁が深いことから、東山家より版画作品を主体に約300点の寄贈を受けたことをきっかけとして2005年に開館しました。


この日は、秋の特別展「日本画の粋-新美美術館コレクション選」が行われており、東山魁夷だけではなく、平松礼二や鈴木竹柏などの作品を観ることができました。


平松礼二『秋の池・モネ』(『日本画の粋』リーフレットより)


鈴木竹柏『明ける古都』(同上)


瀬戸内海や瀬戸大橋のパノラマが広がる1階ラウンジ。祖父新吉の出身地、櫃石島も見えます。


記念に買ったポストカード。左は東京国立近代美術館所蔵の『道』。青森県八戸市にある種差海岸に沿って伸びる青森県道1号八戸階上線 がモデルとなっています。右は長野県信濃美術館・東山魁夷館所蔵『緑響く』。「一頭の白い馬が緑の樹々に覆われた山裾の池畔に現れ、画面を右から左に歩いて消え去った」という画家のイマジネーションから生まれた作品です。この時、魁夷の胸の中には、モーツァルトのピアノ協奏曲第2楽章が響いていました(東山魁夷記念一般財団法人HPより)。


せっかくの機会なので、円盤型のドームが回転しながら上昇する瀬戸大橋タワーに乗ってみました(所要時間約10分)。


西方向には讃岐の山々や瀬戸内の島々。




瀬戸大橋に連なる与島、岩黒島、櫃石島などを経て、岡山県まで一望できました。


眼下に見えるのは瀬戸大橋記念館。


続いて訪ねたのは、石垣の名城と呼ばれる丸亀城。
藩主居館の表門だった「玄関先御門」を抜けて場内に入りました。「御殿表門」とも呼ばれるこの門は、城門としては珍しい薬医門形式で建てられています。私たちは駐車場から近かったこの門を通りましたが、城の北側には、もっと大きくて立派な「大手門」があります。


山上に向かう長い坂道。傾斜が急で、時々立ち止まって振り返りたくなることから、「見返り坂」と呼ばれます。


上の写真で女性がカメラを向けているのが、高さ20mを越える三の丸の高石垣。見上げるような高さの石垣です。


ここまでは序の口。天守へは、まだまだ長く急な坂道が続きます。


右の石垣の上は「月見櫓跡」。


月見櫓跡でひと休み。正面に見えるのは、讃岐富士とも呼ばれる飯尾山です。


標高約66mの亀山に築かれた丸亀城の天守閣。日本に現存する木造十二天守のひとつです。


丸亀市街と瀬戸内海。


丸亀城は、日本城郭協会が選んだ「日本100名城」のひとつ。城の北側、京極通りから全景を撮りました。


続いて、香川県の西端、三豊市にある父母ヶ浜(ちちぶがはま)へ。


南北およそ1㎞にわたって続く遠浅のビーチで、干潮時には広い潮だまりが残ります。


風がない穏やかな日は、鏡のような水面に空や雲、夕焼けなどが映りこむことから、SNSで「日本のウユニ塩湖」として評判が広まりました。


私たちも、父母ヶ浜の「おもてなしスタッフ」の方にレクチャーされ、言われるがままにいろんなポーズを……。人が集まり始めるには少し早い時間帯だったので、恥を忍んで夫婦二人で頑張りました (^-^)ゞ


この日は海に沈むきれいな夕日が期待できたのですが、それだけに父母ヶ浜も帰りの道路も混雑が予想され、レンタカーの返却時間も迫っていたので、夕焼けの撮影は諦めて高松に戻ることに……。


翌朝の高松港です。『Liminal Air -core』が朝日を浴びて輝いていました。


時間に追われず、行きたいところをのんびり回るのもいいものですね。さて、旅もいよいよ後半。2泊してうどん三昧を楽しんだ高松を後に、次の目的地小豆島に向かいます。
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ぐるっと瀬戸内 アートな旅②~直島(町歩き)

2022年10月25日 | お出かけ
瀬戸内のアートな島、直島散策2日目です。朝のうちは低い雲がやや多めながらも、その上には穏やかな秋の空が広がっていました。ゆっくりめの朝食のあと、ホテルからさほど離れていないつつじ荘周辺から、この日の散策をスタートです。

【琴弾の浜】
島の南端で弧を描く砂浜。グーグルマップには、「琴弾地(ごたんぢ)海水浴場」と記載されていました。写真中央の小高い丘の上の建物は、前日訪ねたベネッセハウスミュージアムです。


琴弾の浜に建つ恵美須神社の鳥居の前に、直島散策の心強いパートナーとなったレンタサイクルを置いて記念写真を……。この鳥居には、笠木の上に石を載せると願いごとが叶うという言い伝えがあるそうです。
(本来の駐輪場は、写真右手の奥に見える空き地。この後すぐにそちらに移動しました)


その言い伝えは後で知ったのですが、なぜか鳥居には石を置いてみたくなるもの(笑)
この鳥居は半分ほど砂に埋もれているので、石を放り投げることもなく笠木の上にじか置きできます。


この浜を西に進むと、小さな桟橋の先端に草間彌生さんの『黄かぼちゃ(作品名:南瓜)』が見えてきます。1994年に直島で開催された「Open Air '94 "Out of Bounds" ―海景の中の現代美術展―」で公開された作品で、宮浦港にある『赤かぼちゃ』と並んで、直島のシンボルといってもよい存在です。


ところが昨年8月、この黄かぼちゃは台風9号の強風にあおられ、波に飲まれて大きく破損してしまいました。管理するベネッセアートサイトにより回収され、修復が行われていましたが、なんと!私たちが直島を訪ねる直前の10月4日、修復を終えて再展示が始まったのです。この旅では見られないものと諦めていただけに、絶妙のタイミングでの復元に感謝しました


ジャンプして少しだけ上から撮ってみました。ヘタの先端まで、びっしり水玉模様が描かれているんですね~。このヘタは、私たちが次に訪れる高松市の方向を向いているそうです。
草間彌生さんの『南瓜』はいくつか制作されていますが(北九州市立美術館にもあるんですよ)、直島の黄色いかぼちゃは大きさも最大級で、海の蒼と空の青、木々の緑を背景に際立つ存在感を放っていました。


……松山や 松のうら風 吹きこして しのびて拾う 恋忘れ貝……
保元の乱に敗れて讃岐国に配流される前、直島にひととき滞在した崇徳上皇の歌碑です。栄華を極めながら都を追われた上皇は、京の都を偲びながら貝を拾うという傷心の日々を、ここ琴弾の浜で過ごされたのですね。
ちなみに「直島」という名は、島民の素直さに感動した崇徳上皇が名付けたと言い伝えられています。


【本村エリア】
続いて直島の町の中、まずは本村地区から散策します。
総ヒノキ葺きの大きな屋根が印象的な、三分一博志氏の設計による直島ホール。周囲は盛り土され、建物の半分はその中に埋まっているのも珍しい造りです。


こちらは、石井和紘氏設計の直島町役場。直島には、小学校や保育園など石井さん設計による建物が多いのだそうです。


南北に並んだ町役場と直島ホール。アートの島という名に恥じない存在感がありますね。


直島郵便局も、そこはかとなくアートな雰囲気 (^-^)ゞ


家プロジェクトの『南寺』。ベネッセアートサイトによると、「家プロジェクト」とは『点在していた空き家などを改修し、人が住んでいた頃の時間と記憶を織り込みながら、空間そのものをアーティストが作品化』したもの。この『南寺』は、ジェームズ・タレル(地中美術館に恒久展示されるアーティストの一人)の作品サイズにあわせ、安藤忠雄氏の設計で新たに作られた建物です。残念ながらこの日は休館日で内部の見学はできませんでした。


こちらは、かつて歯科医院兼住居であった建物を、アーティスト大竹伸朗氏が作品化した『はいしゃ』。


家プロジェクトでは現在、『角屋』『南寺』『きんざ』『護王神社』『石橋』『碁会所』『はいしゃ』の7軒が公開されています。
直島のほとんどの施設や商店などは、月曜日がお休み。月曜が祝日の場合は、翌日の火曜が休みとなります。この日は3連休明けの火曜日だったので、外から見るだけになりました。


宮浦港とは反対側、島の東岸にある本村港は、四国汽船の旅客船(岡山・宇野港~本村港)、豊島フェリーの高速船(香川・高松港~本村港)が発着する小さな港。湧き上がる入道雲のような『直島港ターミナル』は、格子状に組んだ木の柱梁の上に球体のFRPを積み上げた作品です。


民家の壁に描かれたバス停やドア。


ガイドブックによると、直島産の天日塩を使ったハマチのフライにタルタルソースをかけた直島バーガーの店、「maimai」。ハマチフライのバーガーを食べてみたかったのですが、こちらもお休みでした。


本村地区の狭い路地には、ユニークな絵や飾りがたくさん。自転車を置いて、徒歩で散策するのもお勧めです。


「お休み」の看板も見ていて楽しくなります。


家々の壁面や庭先にも……。




【宮ノ浦エリア】
高松行きのフェリーの時間が近づいてきたので、直島の玄関口、宮ノ浦地区に戻ってきました。
こちらは、家プロジェクト『はいしゃ』と同じく、大竹伸朗氏が手がけた『直島銭湯 I ♥ 湯』。外観・内装をはじめ、浴槽やタイル画、各種陶器まで、氏の世界観が反映された作品で、実際に入浴できる美術施設となっています。


直島銭湯「I ♥ 湯」のすぐ近くの古民家を改修し、アート作品を展示するギャラリー「NaoPAM」。


ガラス張りのフェリーターミナル、海の駅なおしま。アートの島のエントランスにふさわしい斬新なデザインです。広いスペースに、乗船チケット売り場や観光案内所、カフェや待合所などがあり、外側には、バスの発着所や車の待機スペース、イベント広場などが設けられています。


桟橋を海のほうに歩くと、草間彌生さんの『赤かぼちゃ』やSANAA(サナア)デザインの椅子が見えてきます。SANAAとは、妹島和世(せじまかずよ)さんと西沢立衛(にしざわりゅうえ)氏の建築家ユニットで、本村港で見た入道雲のような『直島港ターミナル』や、上の写真の『海の駅なおしま』もSANAAの作品です。


フェリーが直島に近づくと、遠くからでも真っ先に目に入る巨大な『赤かぼちゃ』。この作品については、「太陽の『赤い光』を宇宙の果てまで探してきて、それは直島の海の中で赤カボチャに変身してしまった」と、草間さんご自身が語っておられます。


内部は空洞で、床には水玉模様が描かれていました。窓から差し込む自然光が眩いほど。夜間はライトアップされるそうです。


窓の外に広がる瀬戸内の風景も、作品の一部でしょうか。


こちらは建築家藤本壮介氏のデザインで、浮島現象(海岸から遠くの島や岬を眺めたとき、海面との境界が切れて浮き上がって見える現象)をイメージした『直島パヴィリオン』。「直島諸島の28番目の島」というコンセプトで造られました。直島町は実は、27の島々から構成される直島諸島なんです。


三角形のステンレス製メッシュ約250枚を組み合わせた『直島パヴィリオン』。こちらも中に入ることができ、夜はライトアップされます。


フェリーターミナルの横に設置された観光案内板とウェルカムボード。直島の特徴を描いた絵とオブジェを組み合わせた看板で、ポルトガル人アーティスト、ジョゼ・デ・ギマランイス氏の作品です。青い地図に直島諸島が描かれていますね。


芝の緑に映える青いモニュメント『BUNRAKU PUPPET』。これもギマランイス氏が、島で継承される「直島女文楽」の人形の動きや着物の裾さばきにインスピレーションを得た作品です。夜間はライトアップされて、蛍光管のようなカラフルな光を放ちます。


2日間に亘って、楽しく得難い体験ができた直島のアート巡りもおしまい。直島と高松を結ぶフェリーに乗り込み、この日、島で何度かすれ違った高松の高校生たちと一緒に四国本土に渡ります。


直島は、国内外から多くのアートファンが訪れる"現代アートの聖地"として知られています。小さな離島ながらアクセスがいいので、朝早く自宅を出発すれば、午前中のうちに宮浦港に到着。島に宿をとれば一泊二日でも十分な日程が組めると実感できました。今回見逃した作品も多いので、機会があったらまた行ってみたいと思います。
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