ルイガノ旅日記

あちこち出かけた場所で目にとまったもの、
心惹かれたものを紹介しています。
よかったらおつきあい下さい。

黄葉の北海道~十勝地方

2020年11月04日 | お出かけ
北海道3日目の朝、温泉にゆっくり浸かっていたら、思いのほか出発まで余裕がなくなってアタフタ(笑)
それでも食事の後、短時間ですがホテルの裏庭から霧雨に煙る阿寒湖を眺めました。昨夜は、アイヌ民族の伝統行事を再現した「カムイへの祈り」もキャンセルとなったくらい雨脚が強まったので、天候は回復傾向にあるようです。


さて、この日の観光は阿寒摩周国立公園の最西端に位置するオンネトー散策から。着いたときには周囲は低い雲に覆われ、周囲の山々もほとんど見えませんでした。


アイヌ語で「年老いた湖」を意味するオンネトー。1周2.5㎞ほどの小さな湖ながら、いかにも神秘的な雰囲気を湛えていました。


季節や天候、風向きなどによって湖の色が変化することから、五色沼とも呼ばれるオンネトー。
湖の色の変化には、雌阿寒岳の火山活動と細菌類の複雑な働きなどが関係していると言われています。とは言えその昔、同じ湖の中でも場所によって色が違って見えることや、光と影が動き、微かに風が吹いただけで湖の色が変わるという自然の驚異を前に、アイヌの人々が抱いたであろう自然や神々への畏敬の念はいかばかりだったことでしょう。


次第に雲が切れて、日本百名山のひとつ雌阿寒岳(左)と阿寒富士(右)が、その美しく端正な姿を垣間見せてくれました。湖面にうっすらとシルエットが映り込んでいますね。


次第に天候が回復してくる中、十勝平野を抜けて上士幌町のナイタイ高原牧場を目指します。(「ナイタイ」はアイヌ語で「奥深い沢」)
牧草地なんでしょうか。見渡す限り広い草原が続いていました。


日射しがそそぐ白樺の森も……。


ナイタイ山の山麓に広がるナイタイ高原牧場には、上士幌町の内外から預かった牛が放牧されています。(この日は、その姿を見ることができませんでした)


見わたす限りすべてがナイタイ高原牧場。総面積約1,700ha(東京ドーム358個分)もある日本一広い公共牧場です。
鹿は頻繁に姿を見せますが、時にヒグマが現れることもあるそうです。なんとこの日は、「熊出没中」の標識が掲げられていました。「出没注意」ではなく「出没中」の場合は、本当に注意が必要だとのこと……(^^ゞ


ナイタイ山の山麓(標高800m)に昨年オープンしたナイタイテラスへ。

(今年の営業は11月1日で終了しました。来年は、4月21日からオープンする予定です)

全面ガラス張りの展望カフェ。目の前に十勝平野、帯広の街並みが広がっています。


カフェの名物は、バニラとショコラをミックスした「うしソフト」。思わずふふっと笑ってしまうネーミングですが、ほんとに美味しいです(^^♪
このほか、バーガーやサンドイッチなどの軽食もありました。


下から見上げたナイタイテラス。


暫しテラスの周囲を散策しました。


岩のモニュメントがいっぱい。


北海道の面積の1/10を占める十勝平野。その向こうは太平洋。遮るもののない大パノラマです。


振り返り見るナイタイ山の頂き(標高1332m)。


再び車窓の風景です。


まっすぐな道がどこまでも……。


広大な畑があちこちに……。十勝地方は、畑作や酪農の大規模経営が多く、その食料自給率は1,000%(100%じゃないですよ)を優に超える日本でも屈指の農業地帯です。


ひたすら道路を走るだけで、旅人が北海道に期待する雄大で牧歌的な風景が続きます。


日高地方と十勝地方を結ぶ標高1022mの日勝峠(にっしょうとうげ)。遠く十勝平野が広がっています。
私たちは立ち寄りませんでしたが、この近くに日勝峠第一展望台(標高740m)があり、そこから一望する十勝平野の眺めはナイタイ高原と並んで素晴らしいものだそうです。


日勝峠の十勝亭でランチ休憩を……。
せっかく十勝に来たんだからと頼んだ豚丼はボリューム満点。しっかりした味付けでご飯が進みました。


牛とろフレークを使って、程よく脂がのった牛とろ丼。どちらにも山わさびが添えられていて、これがなかなか美味しかったです。


旅先の食事には地元のビール。サッポロクラシックを瓶で……🍺


まだ明るいうちに、占冠村の星野リゾート トマムに到着。「トマム」とはアイヌ語で「湿地」という意味です。


手前の2棟がこの日の宿、リゾナーレトマム。遠くに見えているのはトマム ザ・タワー。星野リゾート トマム、全体の敷地がめちゃくちゃ広いので、ホテルのバスが周回しています。


部屋でひと休みしてから、農園で開かれたファームハロウィンに参加。温かいミルクや焼マシュマロのサービスがありましたよ~


フィナーレの花火は上手く撮れませんでした(^^ゞ


ファームハロウィンの後、北海道イタリアン、アルテッツァ・トマムで遅めの夕食を…。パスタ2品とワインのおつまみ2品を頼みました。
十勝ホエー豚ベーコンとエキストラチーズのアマトリチャーナ。目の前でチーズを削ってくれるので、好みの量で「ストップ」をかけるのですが、もう少しかけてもらった方がよかったかも…… (^^;;
十勝産のホエー豚は、チーズを作る過程でできるホエー(乳清)を飲んで育つため、やわらかい肉質と脂肪の甘みが特徴だそうです。


プロシュート(生ハム)とルッコラのペペロンチーニ。プロシュートとルッコラの絶妙な組み合わせを、ガーリックの香りが引き立てており、私の好みにピタッとハマるパスタでした。


骨つきラムチョップ、十勝ホエー豚ソーセージとラクレット。ラムチョップはテーブルで焼くため、生で運ばれてきます。
ワインは赤白とも十勝ワイン セイオロサムを注文。白はすっきり爽やか、赤は香り華やかでコクがありました。


ホエー豚のソーセージ、確かに甘みが感じられて美味しかったです。ラクレットチーズたっぷり……(^^♪


ラムもこんがりと焼けてきました。北海道に来たからには、やはりラムは食べておきたいですよね。


デザートに頼んだ花畑牧場のカタラーナは、香ばしいカリカリのキャラメルと、しっとり焼き上がったカスタードプリンの異なる感触。卵の風味が濃厚で美味しかったです。


リゾナーレ トマムは、完全にプライバシーを保った寝室やバスルームがそれぞれ二つ。ジャグジーやサウナまで付いて、私たち二人には広すぎるくらいのスイートルームでした。連泊した方が良さが生かせるかもしれませんね~


いよいよ翌日は北海道最終日。夜明け前にゴンドラに乗って雲海テラスに向かいます (^^)/~~~

アルテッツァ・トマムイタリアン / トマム駅
夜総合点★★★★ 4.0

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黄葉の北海道~旭川から道東へ

2020年11月01日 | お出かけ
北海道2日目は、旭川を出発してまずは層雲峡に向かいました。層雲峡は、北海道の母なる川、石狩川沿いに高さ200mの絶壁が続き、その断崖からいくつもの滝が落下する大峡谷です。


車窓から見る黄葉が見事でしたが、天候は今ひとつ。今にも雨が落ちてきそうな気配でした。


落差120mの銀河の滝。いく筋にも分かれて流れ落ちる繊細な景観から「雌滝」とも呼ばれています。


落差90mを一気に落下する流星の滝。迫力ある姿に因んで、こちらは「雄滝」。雌雄双瀑で、日本の滝百選に選ばれています。


遊歩道沿いの紅葉。


その後、霧雨が降ったりやんだりするなか、層雲峡から北見市、美幌町、女満別を抜けて、網走に向かいました。北海道らしい広大な畑の風景が車窓を通り過ぎます。育てられている野菜の種類もいろいろ聞いたのですが、忘れてしまいました (^-^)ゞ


網走の海岸を少し歩きました。ウミネコも私たちと並んで散歩中。


11月頃、オホーツク海の最北西部で生まれる流氷は、強い季節風と海流に乗ってゆっくりと南下し、1月下旬から2月初旬にかけてこの海岸に到達します。
遠くにうっすらと知床の山々が見えていますね。


網走海岸を離れて摩周湖に向かいましたが、標高が上がるにつれてバスは濃い雲の中へ……💦


展望台に着いて、お土産物を見たりメロンを食べたりしながら暫く待ちましたが、その甲斐なく摩周湖は深い霧の中に沈んだままでした (^^ゞ
まぁ、メロンが美味しかったし、地元産のワイン(白・ロゼ)を買えたから良しとしましょう(笑)


「熊出没注意」のグッズは北海道みやげの定番。根強い人気がありますね。


摩周湖から車で1時間くらいで、この日の宿、阿寒湖畔の「遊久の里 鶴雅」に到着。阿寒湖を望む多彩な入浴施設が人気の温泉旅館です。


鶴雅から歩いて5分もかからないところに、36戸・約120人が暮らす阿寒湖アイヌコタン(集落)宿があり、民芸品の制作・販売が営まれています。


アイヌ民族に伝わる木彫り作品。驚くほど精緻な作品を見ることができます。


鹿の角を利用したペーパーナイフ。


ニタユンクルという木彫りの店で、気に入った可愛いフクロウの置物を買うと、その場で「2020.10.12 阿寒湖」と彫ってくれました。


こちらは現在制作中の作品です。


細部に至るまで精緻に彫られたフクロウ。まさに芸術品です。


路上にあったマンホール蓋。阿寒湖と毬藻、タンチョウヅルがモチーフになっていますね。


阿寒湖アイヌコタンの散策を終えて宿に戻って夕食です。


和食・イタリアン・中華の豪華なビュッフェ。


一応見て回りましたが、相当厳選しないと食べきれません (^-^)ゞ


私が選んだのは、どんぶりに好きな具材をトッピングする海鮮丼。マグロやサーモン、ホタテにイカ、イクラ……新鮮そのものの素材が並んでいます。




とりわけボタンエビと赤エビは超特大 & 超美味。もちろん載せ放題。次から次に補充されていました。


北海の海の幸を満喫した後は、部屋に戻って就寝前のビールを……。
サッポロクラシックはさすがに旨い! このほか、網走産の小麦で作ったホワイトエールと、流氷を仕込み水に使った流氷ドラフトを試してみました。


流氷ドラフトは、オホーツク海をイメージした神秘的なブルー。網走ビールではこれを「オホーツクブルー」と呼んでいます。
グラスに注いで、以前このビールを飲んだことがあるのを思い出しました (^-^)ゞ


2日目は、北海道の雄大な風景を見ながら旭川から網走、摩周湖、阿寒湖へ。摩周湖を見ることができなかったのは残念でしたが、霧の摩周湖と呼ばれるくらい霧が発生しやすい場所なので仕方ありませんね。
翌日は十勝経由でリゾナーレトマムがある占冠村に向かいます。
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黄葉の北海道~旭川

2020年10月29日 | お出かけ
今月中旬、Go To TRAVELを利用して北海道に行ってきました。コロナ自粛を始めてからというもの旅行は控えていましたが、福岡県の新規感染状況が落ち着きを見せ、県独自の福岡コロナ警報も解除となったことから、思い切って出かけることにしたんです (^-^)ゞ
飛行機に搭乗するのは昨年3月のロシア行き以来。やっぱり飛行機はいいなぁ……とニンマリしているうち、JAL3513便は滑走路に進入しました。この日の福岡空港は南風で、ランウェイ16からの離陸になります。低い雲にほぼ覆われていますね。南風が入ると、福岡空港は概して天候が良くないんです〜


離陸後しばらく南下すると、眼下に九州最大の筑紫平野が広がります。真ん中を流れるのは、阿蘇山に水源を発して有明海に注ぐ筑後川。


機首を北東に向けてレベルオフ。月と翼のツーショットですヽ(^o^)丿 (細く写っていますが、肉眼では半月より少し大きいくらいのふっくらとした月でした)


日本海から津軽海峡を越えて北海道へ……。左手に苫小牧港が見えてきました。
苫小牧港と言えば忘れられない思い出があります。12年前、青森の八戸港と苫小牧港間を結ぶフェリーを利用して、職場の同僚の結婚式に参列した時のエピソードです。
新郎新婦にはなむけの言葉を贈るという大役も済ませ、和やかな雰囲気のうちに披露宴を終えて、大雪の中なんとか千歳から苫小牧に向かうJRに乗り込みました。ところがその後、列車は雪に閉ざされて立往生。遂に、満員の車内で一晩を過ごすことになったんです。今思い出しても冷や汗もの。記憶に残る結婚式になりました(笑) (この時の経験は『暴風雪の週末~北海道往復 顛末記』に記載しています💦)


話が逸れましたが、JAL3513便は新千歳空港への着陸フェーズ。いよいよ4年ぶりの北海道上陸です。ファイナルアプローチの左にはシャムロックゴルフ倶楽部が……。きれいな芝生ですね。


私たちを福岡から北海道に運んでくれたB737-800……帰りもよろしくね~♪


到着後は、バスで一路 旭川へ。途中、砂川ハイウェイオアシスで休憩しました。
喉の渇きを癒したいろはすハスカップ……ほんとに美味しかった〜♪ 北海道限定なので、お土産に買って帰ることにしました (^-^)ゞ


初日の宿は、星野リゾートOMO7 旭川。


星野リゾート「OMO(おも)」は、ともすればビジネス一方に偏りがちな都市型ホテルを、街を楽しむという視点から「旅のテンションをあげる」をコンセプトに運営する都市観光ホテル(星野リゾートHPを要約)。
スタッフの皆さんの対応が素晴らしく快適に滞在できましたが、元々ビジネスホテルだった建物なので、部屋はきれいで清潔であるものの、やはり狭かったです~ (^^;;


ひと休みしてから、旭川市街にある「炉端のユーカラ」へ。先月、大雪登山のため旭川を訪れたGRIさんがブログで紹介していた店で、炭焼きのシマホッケが美味しそうだったのであらかじめ予約しておいたんです !(^^)!


大きな囲炉裏で北海道ならではの海の幸がどんどん焼かれていきます。見ているだけでお腹いっぱいに……って、そんな訳ありません~(笑)


北海道に来たからにはサッポロクラシック! この店ではクラシック生をジョッキで出してくれました🍺
妻はいつものウーロン茶で乾杯(笑)


これがユーカラ自慢の炙りシマホッケ。大きいですよ~!(^^)!


脂がのって身はほくほく。炭火でしっかり炙ってあるので、皮や骨まで残さず食べられました。


甘みがあって香ばしいホタテ。これ、比較するものがないからわかりませんが、かなり大きくて肉厚です。


クラシックの生を堪能した後は、北海道の地酒を飲み比べ。この中では「男山 特別純米ひやおろし」がキリッとして好みでした~♪


海水ウニと八角の刺身も注文しました。


海水ウニはねっとりとした感触で、濃厚な甘み。海水ウニとは、殻から取り出したウニをミョウバンなどを使わず海水に浸したものです。美味しいですよ~


八角は北海道や東北でもあまり獲れない稀少な高級魚で、断面が八角形であることからこの名で呼ばれます。
初体験の八角、顔は怖いですが身が締まって味は最高! 上品に脂がのって実に美味しい刺身でしたヽ(^o^)丿


茹でたタコのようなタマネギのまる揚げ。


ほくほくあまあま~♪


男山の特別純米酒 木綿屋。これも美味しいお酒でした。


北海道の美味珍味を堪能してホテルに戻ると、フロアでアルコールを含む各種ドリンクがサービスされていました。


街歩きを楽しんでホテルに帰ってくる人たちで賑やかな雰囲気。席を仕切るアクリル板や消毒液など、コロナ対策も徹底されていました。


私も、最後に赤ワインをいただいてから部屋に戻ることにしました。(なかなか上品な一杯でしょう?……実はこの後、2杯お替りしちゃいました)


心地よいほろ酔いで、ほんわかと更けていった北海道の夜。まだまだ続きますので、お付き合いくださいね~ヽ(^o^)丿

炉端のユーカラろばた焼き / 旭川駅

夜総合点★★★★ 4.0

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さくら日和

2020年04月03日 | お出かけ
きのうは、前日の雨が嘘のように、穏やかに晴れ上がりました。
ここ数日、ほぼ家で静かに過ごしていましたが、この日はちょっと気分転換。そろそろ見ごろを迎えた桜を見に行くことにしました。
(長門湯本温泉の記事の途中ですが、北九州の桜の写真を先にアップします)

まず最初は、わが家の標本木がある八剱神社へ。
遠目には満開に見えたのですが、近寄ってみると早くも散り始めていました。一昨日の雨が、花散らしの雨となったようです。


とは言え、蕾もたくさん残っていましたから、まだ暫くは大丈夫だと思います。


続いて訪ねたのは本城公園。陸上競技場のナイター照明が青空に映えていました。


スタジアムを桜並木が囲んでいます。遊歩道には、ウォーキングやジョギングで汗を流す人、桜を見ながらのんびりと歩くご夫婦、犬の散歩をする人などがチラホラ。思い思いの春を過ごしていました。


ソメイヨシノはまだ七分咲きくらい。今週末には、かなり満開に近づくでしょう。




八重桜が多いのが本城公園の特徴。ミニトラック沿いと国道199号線沿いはほとんどが八重桜です。


八重桜は個体差が大きく、ごく淡いものから濃いピンクまで様々な色あいの花を咲かせます。咲き方も、見ごろを迎える時期も様々。これが幸いして、本城陸上競技場では長く桜を楽しめるんです。ちなみに、桜シーズンのフィナーレを飾るのは御衣黄(ぎょいこう)。みごとな萌黄色の花を咲かせてくれますよ〜 (スタジアムと野球場の間にあります)


誰でも自由に使えるミニトラック。春の光を浴びて、芝の緑が目に鮮やかでした。


この日は、初めて畑貯水池まで足を延ばし、まずは貯水池をぐるっとドライブ。


貯水池一帯の桜は、早くもほぼ満開でした。


白川橋駐車場に車を止めて辺りを散策。


深い緑に囲まれた一本桜。光を浴びて輝いていました。




パソコンに向かう時間が長いし、スポーツクラブも自粛しているので、運動不足が心配ですよね。そんな時期、桜を見ながら散歩するのは、いいリフレッシュになりました。

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九州国立博物館特別展『フランス絵画の精華』

2020年03月07日 | お出かけ
【追記】
新型コロナウイルス感染防止対策のため、九州国立博物館の臨時休館が延長されました。現時点では、延長期間は未定とされています。このため、特別展『フランス絵画の精華』は終了となりました。


緩やかな曲線を描く屋根と周囲の風景を映し出すグラスウォールが印象的な九州国立博物館。晴れた日には、深い藍色のグラスウォールに青い空と白い雲が映り込んで、尚いっそう綺麗です。下からではわかりませんが、大きな屋根は一面、鮮やかなブルーなのだそうです。木々の緑に囲まれて、ひと際映えるチタンブルー。一度見てみたいものです。

《九州国立博物館は、新型コロナウイルス感染症対策のため、2月27日(木)から3月16日(月)は臨時休館となっています》

この日観に行ったのは、17世紀から19世紀までのフランス美術の傑作、油彩画69点・デッサン17点を集めた特別展「フランス絵画の精華」。古代文学や神話をテーマとする歴史画を至上とする古典主義的なバロック美術が確立された17世紀。装飾的で優雅な肖像画、風俗画や風景画などを特徴とするロココ美術が人気を博した18世紀。規範的な古典主義を受け継ぎ発展させた新古典主義と、それとは逆に、個性を尊重し感情を重視し自由な表現を取り入れたロマン主義が時代の潮流となった19世紀…………3世紀にわたるフランス美術の流れを俯瞰する展覧会です。
政治・社会的にはこの間、太陽王ルイ14世に象徴される絶対王政、王政の衰退とフランス革命、皇帝ナポレオンの誕生と失脚、王政復古や共和制・帝政の変遷など、近代の国民国家フランス誕生に至る大きな変革の時代でした。


『ヴェネチアの宴』(ジャン=アントワーヌ・ヴァトー)、『羊飼いのイセに神の姿をみせるアポロン』(フランソワ・ブーシェ)、『海、日没』(クロード=ジョゼフ・ヴェルネ)、『ポリニャック公爵夫人』(エリザベト=ルイーズ・ヴィジェ・ルブラン)、『オルレアン公フェルディナン=フィリップ』(ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル)、『ウェヌスの化粧』(ポール・ボドリー)、『散歩』(エドゥアール・マネ)などが印象に残っていますが、展示作品のうち代表的な2枚が一室にまとめられ、この部屋だけが撮影を許可されていました。


こちらは、アントワーヌ・ヴァトーの『ヴェネチアの宴』(スコットランド・ナショナルギャラリー)。中央の女性のモデルは当時の人気女優シャーロット・デマレス、右隅の楽器を持つ男はヴァトー自身だと言われています。


衣装のひだや光沢まで見事に表現されています。


もう一枚は、エリザベト=ルイーズ・ヴィジェ・ルブランの『ポリニャック公爵夫人、ガブリエル・ヨランド・クロード・マルチーヌ・ド・ポラストロン』(ヴェルサイユ宮殿美術館)。ヴィジェ・ルブランは、同い年だった王妃マリー・アントワネットお気に入りの女性画家で、気品に溢れ洗練された肖像画を多く残しました。18世紀でもっとも重要な女性芸術家とも評されています。


ポリニャック公爵夫人は7歳年下の王妃に取り入り、女官長や国王子女の養育係を務めて伯爵から公爵に陞爵(しょうしゃく:爵位が上がること)しました。アントワネットが愛したプチ・トリアノン宮殿の常連だった彼女は、この一枚だけではなく何度もヴィジェ・ルブランのモデルとなったそうです。ポリニャック公爵夫妻は、国王夫妻の友人として権勢をほしいままにしたことや、フランス革命が勃発すると寵愛を受けた国王夫妻を見捨てて真っ先にオーストリアに亡命したことなどから、悪女と評されることが多いようです。ゆったりとした気品を感じさせる表情からは想像できませんね。


会場出口には、宝塚歌劇花組公演『ベルサイユのばら-フェルゼンとマリー・アントワネット編』で使用された衣装が展示されていました(後ろの写真はヴェルサイユ宮殿 鏡の間)。ちなみに、漫画の『ベルサイユのばら』(池田理代子原作)には、ポリニャック公爵夫人(陞爵する前の伯爵夫人として)と、画家のヴィジェ・ルブランが登場しているそうです。


ミュージアムショップの複製画コーナー。左の2枚はジョゼフ・ヴェルネの『海、日没』です。買おうかどうか、ちょっと迷った真ん中の『ポリニャック公爵夫人』のレプリカは6万円でした。


同じ4階の文化交流展示室で、『刀剣ことはじめ』が行われていましたので、そちらも観てきました。


13世紀の鎌倉時代、備前で作られた『太刀 銘一』(刀剣ワールド財団)。日本刀は日本各地で作られていましたが、主要な産地は大和(奈良)、山城(京都)、備前(岡山)、相模(神奈川)美濃(岐阜)の五カ国だそうです。


同じく13世紀、備前で作られた『刀 無銘則房』(九州国立博物館)。九博が所蔵する国宝のひとつです。
磨き上げられて輝く刃先は、吸い込まれるような美しさでした。


14世紀鎌倉時代の『短刀 銘来国光(名物塩河来国光』(刀剣ワールド財団)。こちらは、国の重要文化財に指定されています。


日本で作られた刀剣(日本刀)は、武器であると同時に鍛えられ磨き上げられた美しさから、芸術品としても高く評価されています。意外ながら女性にも人気で、刀剣鑑賞を目的に全国の美術館や博物館をめぐる「刀剣女子」も多いそうです。


レプリカには手が出ませんでしたが、ポリニャック公爵夫人のポストカードを買って帰りました (^-^)ゞ


新型コロナウイルスの影響がなかなか収束の気配を見せませんね。ダイヤモンドプリンセス号が横浜港に接岸した頃、今のような状況になるとは思ってもいませんでした。その頃、中国人観光客がドラッグストアで大量のマスクを買い集める様子が頻繁に報道されていましたが、どこか対岸の火事のように眺めていたような気がします。
私自身にできることをきちんとやって、感染拡大防止のために頑張っておられる多くの方々の努力を無にしないように過ごしていきたいものです。

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