ルイガノ旅日記

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台湾縦断4日間⑥~故宮博物院

2023年05月19日 | 海外旅行
台湾の旅もいよいよ最終日。最後に宿泊した圓山大飯店、前夜とほぼ同じ場所から撮った写真です。
1階から2階にかけて2層になった金色の屋根が見えますね。ホテルのエントランスに続く車寄せなのですが、ここがめちゃめちゃ広いんです。圓山大飯店は、世界の要人を招き入れる台湾の迎賓館という位置づけがよくわかる造りでした。


ゲート越しに見える圓山大飯店。門もホテルも威風堂々たる建築です。


朝食後はホテルの中を暫し散策。広々としたロビーを階段上から撮りました。


レストラン金龍の前に展示されている、金色に輝く龍の像。圓山大飯店には、龍をモチーフにした彫刻や絵画、壁画などが22万点以上あることから、別名「龍宮城」とも呼ばれるそうです。


この日は、宋から元、明、清に至る歴代の中国王朝が集めた至宝、約70万点を収蔵する故宮博物院を訪ねました。(写真はWikimedia Commonsからお借りしました)


故宮博物院の歴史は、辛亥革命に端を発する清の滅亡に始まります。清朝最後の皇帝、溥儀を紫禁城から追放した中華民国政府は、1925年に紫禁城を故宮博物院として国民に開放しました。そんな歴史を背景に、故宮博物院入口地下1階ロビーには、台湾の「国父」と慕われる孫文の銅像が置かれています。「博愛」の文字は、孫文の直筆だそうです。(院内すべて、写真撮影OKでした)


広い階段を上って、3階の展示室に向かいました。


故宮博物院と言えば、パリのルーブル美術館やサンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館、ニューヨークのメトロポリタン美術館と並んで世界4大博物館(美術館)の一つに数えられていますね。とは言えこれには諸説あり、ルーブル・エルミタージュ・メトロポリタン+プラド(マドリード)の4美術館、これに大英博物館と故宮博物院を加えた6つのミュージアムからいずれかを選んで、3大美術館とか4大博物館と称するようです。


紀元前9世紀、西周時代の青銅器「毛公鼎(もうこうてい)」。鼎(てい)とは、なべ型の胴体に3本の足がついた中国古代の青銅器。内側に刻まれているのは、周王が毛公一族の功労を称えた32行500文字に及ぶ銘文で、 現存する青銅器では最も長く、歴史的価値があるとされ、国宝に指定されています。


当初は紫禁城にあった故宮博物院ですが、日本軍との衝突や国共内戦などによる戦火を避けるため、国民党政府は収蔵品を転々と移動させ、最終的には台湾に運び込みました。


それらの至宝は初め、台中県北溝の文物庫房で一般公開されましたが、その後1965年、台北市北部の士林地区に新たな故宮博物院を建築し、国を挙げてハードソフト両面での拡充を進めた結果、収蔵品の価値の高さもあいまって世界4大博物館と称されるまでに至ったのです。


そんな故宮博物院の二大名宝の一つとされるのが「肉形石」。清の時代に製作されたもので、層状になった天然石を彫って、豚の角煮を再現しています。とても石とは思えず、本物の角煮を見ているようでした。


こちらは同じ場所に展示してあるパネルです。細部に至るまで精緻に表現されているのがよくわかりますね。


二大名宝のもう一つ「翠玉白菜」は、8月半ばまで台湾南部の故宮博物院南院で展示中のため見ることができませんでした。緑と白の天然の翡翠を彫り上げた見事な白菜のオブジェで、緑の葉の部分には子孫繁栄の象徴とされるキリギリスとイナゴが彫り込まれています。南院への出張は残念でしたが、30年前に来たとき本物をしっかり見たのでよしとしましょう(笑)


翡翠の原石。


第14代中華民国行政院長(汪 兆銘)から昭和天皇に贈られ、戦後台湾に返還された「碧玉屏風」。屏風にあしらわれた48枚の翡翠は、両面に同じ彫刻が施された透かし彫りになっており、"表裏がない"ことから「誠実さ」を表現したものとされています。当初は「翡翠」と考えられていた素材は、その後の調査で「碧玉(ブルーサファイア)」と判明。作品名も、「翡翠屏風」から「碧玉屏風」に改められました。


高さ約40cmの大きな翡翠の器、「翡翠雕花鳥瓶」。こちらも汪兆銘から昭和天皇の后、香淳皇后様に贈られ、戦後返還されたものです。


幼児を模した「白磁嬰児枕」。北宋時代の作品で、2019年国宝に指定されました。


黒檀で作られた長椅子。ガイドさんによれば清の時代、この椅子に半分横になるようにして、アヘンを吸引したのだそうです。


大きな赤珊瑚の飾り物。


琺瑯器と呼ばれる釉薬を金属の素地に焼き付けた工芸品。


銅線で囲んだ部分に、各種釉薬を載せて繰り返し焼き付けた後、表面を磨き、鍍金を施して完成させるのだそうです。


上から下まで1本の象牙から掘り出した「鏤彫象牙雲龍紋套球」。


特に、真ん中の球体の内部には、精緻な飾り彫りがなされた21層の球体が封じ込められ、それぞれが自由に回転するという驚異の構造になっています。どんな技術を駆使したら、こんなに精緻な作品ができ上がるのか……現代の技術では作成は不可能と言われているそうです。


同じく、象牙から掘り出された多層塔。


「珊瑚魁星点斗盆景」。翡翠の魚の上に立つのは、北斗七星の第一星で人間界の試験や学問の運気を司る神、魁聖です。


「青銅鎏金坐佛三尊像」。


地下1階のミュージアムショップの隣にある郵便局では、郵便物の発送はもちろん、故宮博物院の記念切手が購入できるそうです。


故宮博物院のあとは、台湾での最後の食事。金品茶楼というレストランで、お茶と小籠包のランチです。


大量の湯気とともに、小籠包の蒸籠が運ばれてきました。


一つの蒸籠には小籠包が10個。結構食べ応えがあります。注文が入ってから蒸し上げられる小籠包は、店によって包み込むひだの数まで決まっているそうです。


レンゲに小籠包と針生姜を載せ、薄い皮をちょっと破ると、豚肉とキャベツの旨みたっぷりの肉汁が溢れだします。


キノコやタケノコなど具だくさんのスープ。


シンプルながら、味がしみこんで美味しかった卵炒飯。


ニンニクの風味がよかった青菜炒め。


空港に向かう車窓から見えた中正紀念堂。中華民国初代総統、蒋介石を顕彰する施設です。前回の台湾では、紀念堂内部を見学し、衛兵の交代式を見ることができました。


桃園国際空港に到着。台湾で一番強い酒「金門高梁酒」を受け取ったら、いよいよ台湾出国です。


長くなりましたが、4日間の台湾旅行記はこれで終わりです。福岡空港から台北・桃園空港で入国後、台中・台南まで足を延ばし、最後は台北近辺を巡るという台湾縦断の旅でした。全体としては充実した楽しい行程で、食事も美味しかったのですが、訪ねた先ではもう少し時間をかけて観て回ったり、屋台めぐりもしてみたかったという気もします。次に台湾に行く機会があれば、日程に余裕をもって個人旅行を計画したいと思いました。
コメント (4)
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