ハワイ島2日目の夕方から夜にかけて、ハワイ諸島最高峰のマウナケア(Mauna Kea)でのサンセット観賞と星空観測ツアーに参加しました。"Mauna" はハワイ語で「山」、"Kea" は「白い」という意味で、冬になると冠雪することから"Mauna Kea(白い山)" と名付けられたというのが定説です。
マウナケアの標高は4,205m。ただし、これは海面上(Sea Level)からの高さで、裾野にあたる太平洋の海底から測ると、エベレストよりも遥かに高い10,205mに達し、世界で最も高い山としてギネスに登録されています。
晴天率の高さ(年間300日)、大気中の水蒸気が少なく乾燥していること、太平洋上のほぼ中央に位置する孤島であること、夜間は光汚染が少なく漆黒に近い闇に包まれることなどから、空が澄みわたり地球上でもっとも天体観測に適した場所とされています。
午後3時ごろ、ツアーバスはクイーンズ・マーケットプレイスを出発。マウナケア方向に向かうワイコロア・ロードから、ハワイ島の最北端で最も古い火山帯、コハラ山地とコハラコーストが見えてきました。
少し左に視線を移すと、雲の合間に見え隠れする黒い影……ハワイ島から最も近いネイバーアイランド、マウイ島の最高峰ハレアカラです。
ワイコロア・ロードからダニエル・K・イノウエ Hwyを通ってマウナケアへ。ハワイ島を東西に横断する幹線道路で、北にマウナケア、南にマウナロアの雄大な山景を望む爽快なルートです。私たちがマウナケアを訪れた20年前は、悪路やアップダウンが多く「サドルロード(馬の鞍)」と呼ばれていましたが、故ダニエル・イノウエ上院議員の尽力もあって、きれいに整備され格段に走りやすくなっていました。
この交差点からマウナケア・アクセスロードに入り、まずはオニヅカ・センターに向かいます。
マウナケア山の中腹にあるオニヅカ・ビジターセンター(標高2,804m)に到着。
センターに名を冠するエリソン・オニヅカ氏は、ハワイ島コナ出身の日系二世。ハワイ州初かつ日系人初の宇宙飛行士で、1985年にスペースシャトル「ディスカバリー」で初飛行を果たした翌年、「チャレンジャー」に搭乗。不運にも発射73秒後の空中爆発によって命を落としました。彼の功績を称えるため、このセンターは「オニヅカ」と命名され、記念碑が建てられています。5月のハワイ滞在記で紹介した、オアフ島にある国立墓地パンチボウルにもオニヅカ飛行士の墓碑がありました。
駐車場に車を停めて少し上ります。気圧や低酸素に体を慣らし、高山病の発症を防止するため、山頂に向かう人は必ずここで30分以上の休憩をとることが義務づけられています。私たちも40分ほど、センターやこの周辺を散策して過ごしました。
この施設はマウナケアのインフォメーション・センターで、館内には数名のレンジャーが常駐。マウナケアや宇宙観測に関する教育施設ともなっています。
併設されたショップでは、宇宙関連グッズやオリジナルロゴ入りのパーカーやTシャツ、温かい飲み物などを販売。
時間をかけて体を高山に順応させるため、センター周辺にはテーブルとベンチが備え付けられています。山麓からは遠く上空に見えた雲海が、オニヅカ・センターを散策する私たちの眼下に広がっていました。
センターの少し山側に、景観とマッチした茶色い建物が見えました(写真中央)。後で調べてみたところ、天文台に携わる研究者や保守管理を行う人たちのための宿泊施設のようです。
通ってきた道がはるか下に……。遠くに見えるのはマウナロア山。雲間から山頂がわずかに顔を覗かせています。
オニヅカ・センターから山頂に向かう道路は、初めの8㎞は未舗装路(後半5㎞は、埃や粉じんが天体観測の支障となるため舗装されています)。片側は断崖でガードレールもなく、急勾配・急カーブが連続するので、慣れない人が運転するのはかなり危険です。この道を知り尽くしたツアーガイドのSHOYO(しょうよう)さんでさえ、と言うより知り尽くしているからこそ、非常に慎重に運転していました。20年前、私もセンターを出発してこの道にチャレンジしたことがあるのですが、砂利道が非常に滑りやすく、パラパラと雪まで舞い始めたため、早々に引き返した経験があります。今回のツアーで実際に走ってみて、あのとき断念してよかったとつくづく思いました。
途中、自転車で登頂を目指す人を何人も追い越しました。おそらく、2日後に迫ったトライアスロン世界選手権に出場する人たちでしょう。4,000mを超える山を、しかもこんな砂利道を自転車で走破するなんて、さすが鍛えあげたアイアンマンだと車内で驚嘆の声が上がりました。
かなり山頂に近づいた場所に置かれたパラボラアンテナ群。米国ハーバード・スミソニアン天体物理学センターと台湾の中央研究院天文及天文物理研究所が設置、運営するサブミリ波干渉計(Submillimeter Array, SMA)で、口径6mのアンテナ8台を統合して、ひとつの望遠鏡として使用する開口合成型電波望遠鏡です。
今回のツアーで直接目にすることはありませんでしたが、パラボラアンテナと言えばマウナケアにはもうひとつ、口径25mという巨大な超長基線アレイ(Very Long Baseline Array, VLBA)を用いた電波望遠鏡があります。これは、ニューメキシコ州のオペレーションセンターから遠隔操作される、アメリカ全土に配置された10台のパラボラアンテナからなるシステムで、10基を統合してひとつの巨大な電波望遠鏡として運用するもの。アンテナ群の東端はカリブ海ヴァージン諸島、西の端は北米大陸を飛び越えてハワイ島マウナケア山に設置される、なんとも壮大なシステムです。
更に上ると、山頂付近に設置された各国の天文台群が見えてきました。マウナケアには、世界11か国の13天文台が設置されていますが、上の写真のサブミリ波干渉計といい、噴石丘の上に立ち並ぶこれらの天文台といい、地球外の惑星に足を踏み入れたような感覚に陥りそうな光景でした。ちなみに一番手前(左)は、口径 8.2 メートルの光学赤外線望遠鏡 "すばる" を運用する日本の国立天文台ハワイ観測所です。
17時10分過ぎ、私たちを乗せた四輪駆動車は、ジェミニ北天文台の横に駐車。この日、ハワイ島の日没は17時51分。この場所から、雲海の向こうに沈む遥かな夕日を眺めます。先ほどのパラボラアンテナ群がずいぶん下に見えました。
口径8.1mの光学赤外線望遠鏡2基で構成されるジェミニ天文台。2基と言っても二つともマウナケアにある訳ではなく、もう1基は南米チリのセロ・パチョン山頂に設置されています。なので、こちらは「ジェミニ北天文台」、チリの方は「ジェミニ南天文台」。観測・研究の対象が宇宙だけあって、スケールの大きな話ですね。
天文台の窓が開き、天体観測が始まったようだと、ガイドのSHOYOさんが教えてくれました。中の望遠鏡まで見えなかったのが残念 (^^ゞ
山頂付近には多数の噴石丘が形成され、その数は100個を超えると言われています。噴石丘とは、マウナケアなど巨大火山の活動が活発だった数千年から数万年前、本来の火口ではない場所で小さな噴火が発生し、その際に噴出された溶岩や火山灰が堆積してできた小高い丘のこと(Wikipediaより)。天文台群もそうした噴石丘の上に建てられています。
もうひとつ向こうの噴石丘に建つ天文台群。一番左は、カナダ、フランス、ハワイ大学が共同で運用するカナダ-フランス-ハワイ望遠鏡(Canada-France-Hawaii Telescope, CFHT)だと思います。
ハワイ先住民の聖地とされるマウナケア山頂が、次第に赤みを帯びてきました。口頭伝承によるとマウナケアは、母なる女神パパハーナウモクと創造と天空の神ワーケアの子で、その山頂は天と地が結びつく場所とされているそうです。(これが正真正銘のマウナケア山頂です)
ツアーの軽食として配られたBLTサンドイッチも、夕日を浴びてオレンジ色に染まっていました。
太平洋の最も高い場所で食べるサンドイッチは格別の味。なんとも美味しく感じられました。こんな高山での食事は、若いころ登った富士山山頂のインスタントラーメン以来(笑) あの時よりもずっと高い場所にいるのが何だか夢のようです。(富士登山の時は頭痛や吐き気など高山病を発症。症状は軽度ながら今回も、目眩や息苦しさを感じました💦 妻は平気で、何ともなかったそうです)
太陽が、はるか遠くの雲海を染めていきます。
夕陽を浴びて、何もかもがオレンジ色に……。サンセットを眺める人の影が長く伸びていますね。
心なしか、時間がゆっくり過ぎていくような気がしました。すばる望遠鏡の隣に並ぶのは、米国カリフォルニア天文学研究協会が運用する双子の望遠鏡、 W.M.ケック天文台(1号&2号)です。
太陽が雲海に消えつつある頃、群青色の空は次第にその深みを増し、マウナケアに夜の帳が下りようとしています。
山頂に到着して50分近く、沈みゆく太陽をじっと眺めていました。日の出も日没も、宇宙の悠久の営みからすれば一瞬のまたたきに過ぎないとしても、私にとっては目眩くようなサンセットでした。
天体観測の支障とならないよう、日没後30分以内に下山しなくてはならないため、日が沈んだ後はあまり時間はありません。最後にもう一度、すばる望遠鏡を目に焼きつけて山頂を後にしました。
山頂を少し離れたところに車を停めたら、次は星空観測(Stargazing)です。暗くなるのを待つ間、星や星座、彗星などについて、SHOYOさんから興味深くわかりやすい説明を受けました。夜になって一気に気温が下がったので、サービスされた熱くて甘いココアの美味しかったこと!
(星空の写真は、すべてガイドのSHOYOさんが撮ってくれたものです。真っ暗闇の中で行う星空観測中はわずかな光も妨げとなるため、個人のカメラ撮影やスマホの使用は制限されていました)
私たちがハワイ島を訪れた10月は、2023年に発見された「紫金山・アトラス彗星」が観測可能な時期(写真中央で上に尾を引いている彗星)。肉眼で見るには少々遅すぎましたが、長く明瞭な尾を引く様子を望遠鏡で見せてくれました。
この日は午後1時33分に月が沈んだので、幸いなことに新月と同じ環境。星空観測を妨げるものが無かったこともあって、360度見渡す限り、満天の星を眺めることができました。もちろん、天の川もくっきり。紫金山・アトラス彗星だけでなく、流れ星もたくさん見つけることができましたし、ツアーを引率してくれたSHOYOさんのガイドぶりも素晴らしかった! 感動的な星空体験でした。
私たちが撮ってもらった記念写真にも、紫金山・アトラス彗星がしっかり写っていました。この彗星、8万年周期で太陽の周りを回っているそうなので、次の機会は8万年後。75年周期のハレー彗星どころじゃありません(笑) 今回見ることができてよかったですヽ(^o^)丿
(ダウンジャケットの貸し出しはツアーに含まれています)
ハワイ島で一番楽しみにしていた「マウナケア山頂サンセット&星空観測ツアー」、期待していたとおり素晴らしい体験ができました。国立天文台ハワイ観測所のすばる望遠鏡や観測成果などについては、こちらのHP「すばる望遠鏡」で詳しく解説されています。「すばるギャラリー」では、山頂から肉眼で捉えた紫金山・アトラス彗星の素晴らしい写真を見ることもできますよ。
マウナケアの標高は4,205m。ただし、これは海面上(Sea Level)からの高さで、裾野にあたる太平洋の海底から測ると、エベレストよりも遥かに高い10,205mに達し、世界で最も高い山としてギネスに登録されています。
晴天率の高さ(年間300日)、大気中の水蒸気が少なく乾燥していること、太平洋上のほぼ中央に位置する孤島であること、夜間は光汚染が少なく漆黒に近い闇に包まれることなどから、空が澄みわたり地球上でもっとも天体観測に適した場所とされています。
午後3時ごろ、ツアーバスはクイーンズ・マーケットプレイスを出発。マウナケア方向に向かうワイコロア・ロードから、ハワイ島の最北端で最も古い火山帯、コハラ山地とコハラコーストが見えてきました。
少し左に視線を移すと、雲の合間に見え隠れする黒い影……ハワイ島から最も近いネイバーアイランド、マウイ島の最高峰ハレアカラです。
ワイコロア・ロードからダニエル・K・イノウエ Hwyを通ってマウナケアへ。ハワイ島を東西に横断する幹線道路で、北にマウナケア、南にマウナロアの雄大な山景を望む爽快なルートです。私たちがマウナケアを訪れた20年前は、悪路やアップダウンが多く「サドルロード(馬の鞍)」と呼ばれていましたが、故ダニエル・イノウエ上院議員の尽力もあって、きれいに整備され格段に走りやすくなっていました。
この交差点からマウナケア・アクセスロードに入り、まずはオニヅカ・センターに向かいます。
マウナケア山の中腹にあるオニヅカ・ビジターセンター(標高2,804m)に到着。
センターに名を冠するエリソン・オニヅカ氏は、ハワイ島コナ出身の日系二世。ハワイ州初かつ日系人初の宇宙飛行士で、1985年にスペースシャトル「ディスカバリー」で初飛行を果たした翌年、「チャレンジャー」に搭乗。不運にも発射73秒後の空中爆発によって命を落としました。彼の功績を称えるため、このセンターは「オニヅカ」と命名され、記念碑が建てられています。5月のハワイ滞在記で紹介した、オアフ島にある国立墓地パンチボウルにもオニヅカ飛行士の墓碑がありました。
駐車場に車を停めて少し上ります。気圧や低酸素に体を慣らし、高山病の発症を防止するため、山頂に向かう人は必ずここで30分以上の休憩をとることが義務づけられています。私たちも40分ほど、センターやこの周辺を散策して過ごしました。
この施設はマウナケアのインフォメーション・センターで、館内には数名のレンジャーが常駐。マウナケアや宇宙観測に関する教育施設ともなっています。
併設されたショップでは、宇宙関連グッズやオリジナルロゴ入りのパーカーやTシャツ、温かい飲み物などを販売。
時間をかけて体を高山に順応させるため、センター周辺にはテーブルとベンチが備え付けられています。山麓からは遠く上空に見えた雲海が、オニヅカ・センターを散策する私たちの眼下に広がっていました。
センターの少し山側に、景観とマッチした茶色い建物が見えました(写真中央)。後で調べてみたところ、天文台に携わる研究者や保守管理を行う人たちのための宿泊施設のようです。
通ってきた道がはるか下に……。遠くに見えるのはマウナロア山。雲間から山頂がわずかに顔を覗かせています。
オニヅカ・センターから山頂に向かう道路は、初めの8㎞は未舗装路(後半5㎞は、埃や粉じんが天体観測の支障となるため舗装されています)。片側は断崖でガードレールもなく、急勾配・急カーブが連続するので、慣れない人が運転するのはかなり危険です。この道を知り尽くしたツアーガイドのSHOYO(しょうよう)さんでさえ、と言うより知り尽くしているからこそ、非常に慎重に運転していました。20年前、私もセンターを出発してこの道にチャレンジしたことがあるのですが、砂利道が非常に滑りやすく、パラパラと雪まで舞い始めたため、早々に引き返した経験があります。今回のツアーで実際に走ってみて、あのとき断念してよかったとつくづく思いました。
途中、自転車で登頂を目指す人を何人も追い越しました。おそらく、2日後に迫ったトライアスロン世界選手権に出場する人たちでしょう。4,000mを超える山を、しかもこんな砂利道を自転車で走破するなんて、さすが鍛えあげたアイアンマンだと車内で驚嘆の声が上がりました。
かなり山頂に近づいた場所に置かれたパラボラアンテナ群。米国ハーバード・スミソニアン天体物理学センターと台湾の中央研究院天文及天文物理研究所が設置、運営するサブミリ波干渉計(Submillimeter Array, SMA)で、口径6mのアンテナ8台を統合して、ひとつの望遠鏡として使用する開口合成型電波望遠鏡です。
今回のツアーで直接目にすることはありませんでしたが、パラボラアンテナと言えばマウナケアにはもうひとつ、口径25mという巨大な超長基線アレイ(Very Long Baseline Array, VLBA)を用いた電波望遠鏡があります。これは、ニューメキシコ州のオペレーションセンターから遠隔操作される、アメリカ全土に配置された10台のパラボラアンテナからなるシステムで、10基を統合してひとつの巨大な電波望遠鏡として運用するもの。アンテナ群の東端はカリブ海ヴァージン諸島、西の端は北米大陸を飛び越えてハワイ島マウナケア山に設置される、なんとも壮大なシステムです。
更に上ると、山頂付近に設置された各国の天文台群が見えてきました。マウナケアには、世界11か国の13天文台が設置されていますが、上の写真のサブミリ波干渉計といい、噴石丘の上に立ち並ぶこれらの天文台といい、地球外の惑星に足を踏み入れたような感覚に陥りそうな光景でした。ちなみに一番手前(左)は、口径 8.2 メートルの光学赤外線望遠鏡 "すばる" を運用する日本の国立天文台ハワイ観測所です。
17時10分過ぎ、私たちを乗せた四輪駆動車は、ジェミニ北天文台の横に駐車。この日、ハワイ島の日没は17時51分。この場所から、雲海の向こうに沈む遥かな夕日を眺めます。先ほどのパラボラアンテナ群がずいぶん下に見えました。
口径8.1mの光学赤外線望遠鏡2基で構成されるジェミニ天文台。2基と言っても二つともマウナケアにある訳ではなく、もう1基は南米チリのセロ・パチョン山頂に設置されています。なので、こちらは「ジェミニ北天文台」、チリの方は「ジェミニ南天文台」。観測・研究の対象が宇宙だけあって、スケールの大きな話ですね。
天文台の窓が開き、天体観測が始まったようだと、ガイドのSHOYOさんが教えてくれました。中の望遠鏡まで見えなかったのが残念 (^^ゞ
山頂付近には多数の噴石丘が形成され、その数は100個を超えると言われています。噴石丘とは、マウナケアなど巨大火山の活動が活発だった数千年から数万年前、本来の火口ではない場所で小さな噴火が発生し、その際に噴出された溶岩や火山灰が堆積してできた小高い丘のこと(Wikipediaより)。天文台群もそうした噴石丘の上に建てられています。
もうひとつ向こうの噴石丘に建つ天文台群。一番左は、カナダ、フランス、ハワイ大学が共同で運用するカナダ-フランス-ハワイ望遠鏡(Canada-France-Hawaii Telescope, CFHT)だと思います。
ハワイ先住民の聖地とされるマウナケア山頂が、次第に赤みを帯びてきました。口頭伝承によるとマウナケアは、母なる女神パパハーナウモクと創造と天空の神ワーケアの子で、その山頂は天と地が結びつく場所とされているそうです。(これが正真正銘のマウナケア山頂です)
ツアーの軽食として配られたBLTサンドイッチも、夕日を浴びてオレンジ色に染まっていました。
太平洋の最も高い場所で食べるサンドイッチは格別の味。なんとも美味しく感じられました。こんな高山での食事は、若いころ登った富士山山頂のインスタントラーメン以来(笑) あの時よりもずっと高い場所にいるのが何だか夢のようです。(富士登山の時は頭痛や吐き気など高山病を発症。症状は軽度ながら今回も、目眩や息苦しさを感じました💦 妻は平気で、何ともなかったそうです)
太陽が、はるか遠くの雲海を染めていきます。
夕陽を浴びて、何もかもがオレンジ色に……。サンセットを眺める人の影が長く伸びていますね。
心なしか、時間がゆっくり過ぎていくような気がしました。すばる望遠鏡の隣に並ぶのは、米国カリフォルニア天文学研究協会が運用する双子の望遠鏡、 W.M.ケック天文台(1号&2号)です。
太陽が雲海に消えつつある頃、群青色の空は次第にその深みを増し、マウナケアに夜の帳が下りようとしています。
山頂に到着して50分近く、沈みゆく太陽をじっと眺めていました。日の出も日没も、宇宙の悠久の営みからすれば一瞬のまたたきに過ぎないとしても、私にとっては目眩くようなサンセットでした。
天体観測の支障とならないよう、日没後30分以内に下山しなくてはならないため、日が沈んだ後はあまり時間はありません。最後にもう一度、すばる望遠鏡を目に焼きつけて山頂を後にしました。
山頂を少し離れたところに車を停めたら、次は星空観測(Stargazing)です。暗くなるのを待つ間、星や星座、彗星などについて、SHOYOさんから興味深くわかりやすい説明を受けました。夜になって一気に気温が下がったので、サービスされた熱くて甘いココアの美味しかったこと!
(星空の写真は、すべてガイドのSHOYOさんが撮ってくれたものです。真っ暗闇の中で行う星空観測中はわずかな光も妨げとなるため、個人のカメラ撮影やスマホの使用は制限されていました)
私たちがハワイ島を訪れた10月は、2023年に発見された「紫金山・アトラス彗星」が観測可能な時期(写真中央で上に尾を引いている彗星)。肉眼で見るには少々遅すぎましたが、長く明瞭な尾を引く様子を望遠鏡で見せてくれました。
この日は午後1時33分に月が沈んだので、幸いなことに新月と同じ環境。星空観測を妨げるものが無かったこともあって、360度見渡す限り、満天の星を眺めることができました。もちろん、天の川もくっきり。紫金山・アトラス彗星だけでなく、流れ星もたくさん見つけることができましたし、ツアーを引率してくれたSHOYOさんのガイドぶりも素晴らしかった! 感動的な星空体験でした。
私たちが撮ってもらった記念写真にも、紫金山・アトラス彗星がしっかり写っていました。この彗星、8万年周期で太陽の周りを回っているそうなので、次の機会は8万年後。75年周期のハレー彗星どころじゃありません(笑) 今回見ることができてよかったですヽ(^o^)丿
(ダウンジャケットの貸し出しはツアーに含まれています)
ハワイ島で一番楽しみにしていた「マウナケア山頂サンセット&星空観測ツアー」、期待していたとおり素晴らしい体験ができました。国立天文台ハワイ観測所のすばる望遠鏡や観測成果などについては、こちらのHP「すばる望遠鏡」で詳しく解説されています。「すばるギャラリー」では、山頂から肉眼で捉えた紫金山・アトラス彗星の素晴らしい写真を見ることもできますよ。