平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

ミスト

2009年11月29日 | 洋画
 昨日に引き続きスティーヴン・キング。
 この作品は<霧>という道具立てを持ってきた所がスゴイ!

 あたり一面に広がる濃霧。
 何も見えない視界ゼロ。
 主人公たちはスーパーマーケットに避難しているが、そこから出て行った者たちはみんな死んでいく。
 主人公は霧の中から出て来て人間を捕らえる奇怪な触手を目撃する。
 霧の中に何かがいる!!
 霧の中にいる物は何か!?

 この作品の怖さというのは、敵の姿が見えないこと、敵が何物かわからないこと。
 これは人間の原初的な不安・恐怖に根ざしている。
 たとえば山で視界ゼロの濃霧に遭遇した時、人は不安・恐怖を感じる。
 あるいは時をはるかにさかのぼって原始時代。灯りのなかった時代の夜の暗闇の不安・恐怖!
 スティーヴン・キングはこれら人間のDNAの中に刻まれている普遍的な怖さに着目し、エンタテインメントにしているのだ。

 しかし、こうした怖さも敵の実体がわかってしまうと怖さは半減する。
 敵は軍の実験がもたらした異次元の怪物たち。
 銃で倒せるし、火で燃やせることがわかると主人公達は事態打開に向けて戦い始める。
 これで物語は敵を倒して終わり?
 だが、キングは次なる恐怖を用意する。
 それは<人間>。
 避難したスーパーマーケットには宗教の狂信者がいて、「これらの災厄は神の裁き。神の怒りを鎮めるために生け贄を捧げよ」と言い出すのだ。
 そして通常ならそんな言葉に従わないまわりの人間達も恐怖から狂信者の言うことを信じるようになる。
 主人公達を生け贄にしようとする。
 この<人間>の怖さ!!

 こうしたふたつの恐怖を用意している点で、さすがスティーヴン・キング!!
 映画版「ミスト」のラストは、スティーヴン・キングが絶賛したという原作とは違う内容。
 ネタバレになるので書かないが、「あの時、銃を取らなければ」「あと5分思い留まっていれば」という人生のifを感じさせる。
 一瞬の判断ミスが人生を狂わせるという<恐怖>を描いているのかもしれない。


コメント
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