原発の放射能問題を扱った『美味しんぼ』が、「風評被害を増長する」として批判されている。
この問題について、今回は<表現の自由>という点から見てみたい。
ダウンタウンの松本人志さんは、『美味しんぼ』バッシングについて、「最近、すぐみんな抗議する」と最近の風潮を語った後、次のようにコメントしている。(スポニチアネックス 5/11)
★「作品やから。みんなで作るもんじゃない。作者のものであって、周りが抗議したって…外部の人間がストーリーを変えろとかいうのは、ちゃんちゃらおかしい」
★「これに関しては漫画家さんが神、映画に関しては映画監督が神なんですよ。周りがごちょごちょ言って変えろとか言うのは神への冒とく」
コミックサイト<電脳マヴォ>を主宰している編集家・漫画家の竹熊健太郎さんは自身のツイッターで、
★「今回の『美味しんぼ』にもし反論するなら、『美味しんぼ』より『思想的に正しく面白い漫画』を描いて発表すればいいではありませんか。プルトニウムふりかけご飯を扱った放射能安全漫画を描けばいいではないですか。なぜみな、やらないのでしょう」
★「要するにですな、ある言論が問題なら言論で対抗するしかないんですよ。それを一足飛びに『風評被害が拡大するからお巡りさん捕まえて!』と単に圧力をかけることは反論ではないわけです」
★「間違ってるなら、そう主張すればいいではないですか。そうではなく『風評被害を煽るからけしからん』という理屈がわからないのです。なら、あれはデマだから気をつけましょう。低量放射線は危険ではない、とそれこそ『風評宣伝』すればいいのでは」
松本さんも竹熊さんも<表現者>の立場からの的確なコメントですね。
まずは語っているのは<表現者の自由と絶対性>。
それに加えて、彼らが危惧しているのは、<風評被害>の名のもとに自由な発言や創作が出来なくなること。
いつの間にか、政府や一部の人間に都合のいい、大本営発表しか国民に伝わらなくなること。
たとえば、言論プラットフォーム「アゴラ」などに寄稿しているジャーナリストの石井孝明氏はこんなことをツイッターで書いている。
★「美味しんぼの件は、見せしめにぴったり。(略)祭りは『血祭り』の方が興奮するし。嫌いな人民裁判に、私も乗ろう。風評被害撲滅の大義のため」
★「私は漫画という文化に敬意を持つが、社会に意味のない漫画なら見せしめのためにリンチをして、吊るし上げても、影響はないだろう。だから心置きなくリンチして木に貼付けにしてやりましょう」
実におそろしい。
仮にも石井氏がジャーナリストなら、竹熊氏が言うように『低量放射線は危険ではない』と、ご自身がしっかり調べて反論すればいいのです。
国民はバカではないから、その上で両者の意見を見比べて判断しますよ。
なのに<見せしめ><血祭り><リンチ><吊し上げ><木に貼り付け>とは!
この石井孝明氏の<血祭り発言>について、『バクネヤング』の漫画家の松永豊和氏はツイッターでこう反論している。
★「なんというバカ。なんという無知。作家というものは放っておけばなんでも書くキチガイであり、そこにこそ作家の価値がある。その倫理を見極め、世に送り出す判断を担うのは編集者だ。全責任は小学館にある」
<作家というものは放っておけばなんでも書くキチガイであり、そこにこそ作家の価値がある>というのは松本人志さんの<漫画家さんが神、映画に関しては映画監督が神>に通じるものがありますね。
いずれも的確な芸術論・作家論です。
世の中に物議をかもしだす作品こそすぐれた作品。
批判を怖れず自分の思うことを書くのが真の作家。
この点で、今回の『美味しんぼ』は読むに価する作品であり、原作者・雁屋哲さんは敬意を表されるべきだと思う。
言論・表現の自由は守らなくてはならない。
『美味しんぼ』問題、関連記事はこちら
この問題について、今回は<表現の自由>という点から見てみたい。
ダウンタウンの松本人志さんは、『美味しんぼ』バッシングについて、「最近、すぐみんな抗議する」と最近の風潮を語った後、次のようにコメントしている。(スポニチアネックス 5/11)
★「作品やから。みんなで作るもんじゃない。作者のものであって、周りが抗議したって…外部の人間がストーリーを変えろとかいうのは、ちゃんちゃらおかしい」
★「これに関しては漫画家さんが神、映画に関しては映画監督が神なんですよ。周りがごちょごちょ言って変えろとか言うのは神への冒とく」
コミックサイト<電脳マヴォ>を主宰している編集家・漫画家の竹熊健太郎さんは自身のツイッターで、
★「今回の『美味しんぼ』にもし反論するなら、『美味しんぼ』より『思想的に正しく面白い漫画』を描いて発表すればいいではありませんか。プルトニウムふりかけご飯を扱った放射能安全漫画を描けばいいではないですか。なぜみな、やらないのでしょう」
★「要するにですな、ある言論が問題なら言論で対抗するしかないんですよ。それを一足飛びに『風評被害が拡大するからお巡りさん捕まえて!』と単に圧力をかけることは反論ではないわけです」
★「間違ってるなら、そう主張すればいいではないですか。そうではなく『風評被害を煽るからけしからん』という理屈がわからないのです。なら、あれはデマだから気をつけましょう。低量放射線は危険ではない、とそれこそ『風評宣伝』すればいいのでは」
松本さんも竹熊さんも<表現者>の立場からの的確なコメントですね。
まずは語っているのは<表現者の自由と絶対性>。
それに加えて、彼らが危惧しているのは、<風評被害>の名のもとに自由な発言や創作が出来なくなること。
いつの間にか、政府や一部の人間に都合のいい、大本営発表しか国民に伝わらなくなること。
たとえば、言論プラットフォーム「アゴラ」などに寄稿しているジャーナリストの石井孝明氏はこんなことをツイッターで書いている。
★「美味しんぼの件は、見せしめにぴったり。(略)祭りは『血祭り』の方が興奮するし。嫌いな人民裁判に、私も乗ろう。風評被害撲滅の大義のため」
★「私は漫画という文化に敬意を持つが、社会に意味のない漫画なら見せしめのためにリンチをして、吊るし上げても、影響はないだろう。だから心置きなくリンチして木に貼付けにしてやりましょう」
実におそろしい。
仮にも石井氏がジャーナリストなら、竹熊氏が言うように『低量放射線は危険ではない』と、ご自身がしっかり調べて反論すればいいのです。
国民はバカではないから、その上で両者の意見を見比べて判断しますよ。
なのに<見せしめ><血祭り><リンチ><吊し上げ><木に貼り付け>とは!
この石井孝明氏の<血祭り発言>について、『バクネヤング』の漫画家の松永豊和氏はツイッターでこう反論している。
★「なんというバカ。なんという無知。作家というものは放っておけばなんでも書くキチガイであり、そこにこそ作家の価値がある。その倫理を見極め、世に送り出す判断を担うのは編集者だ。全責任は小学館にある」
<作家というものは放っておけばなんでも書くキチガイであり、そこにこそ作家の価値がある>というのは松本人志さんの<漫画家さんが神、映画に関しては映画監督が神>に通じるものがありますね。
いずれも的確な芸術論・作家論です。
世の中に物議をかもしだす作品こそすぐれた作品。
批判を怖れず自分の思うことを書くのが真の作家。
この点で、今回の『美味しんぼ』は読むに価する作品であり、原作者・雁屋哲さんは敬意を表されるべきだと思う。
言論・表現の自由は守らなくてはならない。
『美味しんぼ』問題、関連記事はこちら
このまま自由にものが言えなくなっていくんだろうかとザワザワした気持ちでいました。
あまりにも批判的意見が多すぎるのも気になります。
政府がこれ幸いと乗っかってきている状況が不快です。もっと他に言及するべきことがあるだろうに
知ろうとしなければ分からない重要な事が沢山あるでしょう。
今後、秘密保護法が真価を発揮してくるのではとも思います。
ちょっと主旨からずれたかもしれません
失礼しました。
コメントありがとうございます。
「美味しんぼ」の内容って、作家がさまざまな人に取材して自分なりの結論を書いたものですよね。
これが否定されるなら、世の中のあらゆるノンフィクションや記事が難癖つけられて否定される可能性がある。
ところが、マスコミやジャーナリストは「明日は我が身」と考えるべきなのに政府の発言に大した批判をしていない。
おっしゃるとおり「特定秘密保護法」に通じる流れだと思います。
「秘密保護法」の場合は、「特定秘密」だから調べて書いたら罰する。
「美味しんぼ」の場合は、「風評被害を助長する」から書くな。
マスコミは権力批判の精神を忘れていますよね。
何でも自分の考えが正しい!そうじゃないものに徹底的に抗議する。それでいて、自分に抗議が来ると、馬鹿扱いする。
あれだけ、モンスターと抗議する人たちをバカにして自分は正しい抗議だと。某大阪市長にはあきれ返る。
表現媒体では、間違っていても表現するのは表現者の勝手。耳障りな音楽作ったものに、制裁加えろって、言ってるようだ。
明日ママの時も、とても腹が立ったけど、気に障るから許せないなんて、幼稚園児かって。
政治への批判と、同様に思っているところに、幼稚さを感じます。問題の次元が違う。政治では、間違っていると思えば、批判・抗議すべきもの。
芸術に、これは間違っている、これは正しいって、それはもう芸術じゃない。耳障りな音楽から新たな芸術も生まれるかもしれない。
メッセージ性の高い作品で、間違ったメッセージを出していれば、批判もありうるでしょう。
しかし、今回のケースで、完全に間違っているという証明も難しいケースで、どうして間違っていると断定できるのか、言っていて疑問に思わない、自分の立場を守りたいだけの感情に流されているとしか思えない。
地道な取材で得た事実を漫画で表現しているだけだとしか思えない。そんな事実があったとしても、知らない人にまで知らせてもらっては、都合が悪いではないかと、恥ずかしい批判をしているようにしか思えません。
まあ、小学館も、自主回収という事もしていないので、マスコミとして、引かない姿勢に拍手です。
コメントありがとうございます。
>今回のケースで、完全に間違っているという証明も難しいケースで、どうして間違っていると断定できるのか、言っていて疑問に思わない、自分の立場を守りたいだけの感情に流されているとしか思えない。
おっしゃるとおりですよね。
水俣病、サリドマイド……いずれも当初、政府や企業は因果関係を否定したんですよね。
ところが現実は……。
現在、政府や自治体がやることは、さらなる実態調査ですよね。
しかも自分たちに都合のいい発言をする学者や医者ではなく、さまざまな見地の学者を集めて検証すること。
もっともあそこに書かれていることが真実になれば、大パニックになりますから隠したいのはわかりますが。
>まあ、小学館も、自主回収という事もしていないので、マスコミとして、引かない姿勢に拍手です。
一方で、どこの誰かはわかりませんが、流通に圧力をかけて、今号のスピリッツを店頭に置かないようにしているというウワサもあります。
この件は引き続き追っていきます。
最後に星野みなみさん、選抜復帰おめでとうございます!
>最後に星野みなみさん、選抜復帰おめでとうございます!
ありがとうございます。
乃木どこを見れるようになります。
>一方で、どこの誰かはわかりませんが、流通に圧力をかけて、今号のスピリッツを店頭に置かないようにしているというウワサもあります。
うちの方では、店頭にあります。
やっぱり、某近畿地方でしょうか。
>言論・表現の自由は守らなくてはならない。
絶対守らないと、国が滅びます。
>うちの方では、店頭にあります。
ならばよかったです。
「美味しんぼ」は次々号から休載になるようですね。
小学館は事前から決まっていたことと説明しているようですが、自主規制でしょうか。
それにしても、こんなふうにすべてを疑ってかからなければならない世の中というのはイヤですね。
あと十年もすればこの世からいなくなってしまうじいさんたちが最後の妄執で偉そうに物事を語る世の中より、昨日の「乃木どこ」のここがよかったと話せる生活がベストですよね。