「上総広常殿、参陣!」
「ようやった、小四郎!」
今回は上総広常(佐藤浩市)を口説く物語だった。
広常は損得で動く人物。
官職には興味を示したが、いくさで勝ち取った所領には「もう十分に持っている」と言って興味を示さなかった。
では主人公・義時(小栗旬)は広常に何を提示したか?
「われらについても得にならないかもしれません。
われらは板東武者のために立ち上がったのです。
われわれのための板東をつくるために力を貸してほしいのです」
何と目先の損得ではなく、壮大なロマンを提示した。
義時はさらに語る。
「こんな面白いことはないと思いませんか?
実に愉快ではありませんか?」
面白いから加勢してほしい。愉快なことをいっしょにやろう。
この誘いに現実主義者の広常は心を動かされたようだ。
おそらく広常は富も所領も得て、退屈していたんでしょうね。
現実的な利益など、お腹いっぱいになっていた。
そこへロマンを提示された。
もっとも現実主義者の広常はこれだけでは動かない。
頼朝(大泉洋)が託すに足る人物かを見定めようとしている。
だから義時が「佐殿は運が良く、天に守られている」と語ると、それを確認した。
頼朝に暗殺の手が及んでいることを知っていて、逃げのびられれば「天に守られている」と確信できる。
結果、頼朝は逃げのびた。
逃げのびたのは近くの漁師の妻・亀(江口のり子)に手をつけて、怒った夫が漁師を引き連れてやって来たからだった。笑
頼朝は逃げて隠れて暗殺の手を逃れた。笑
人間、なにが幸いするかわからない。
やはり頼朝は運がいい!
だが、広常はまだ動かなかった。
頼朝の頭領としての器を見たかったのだ。
広常は2万の兵を引き連れて、頼朝の陣にわざと遅参した。
これで頼朝がへりくだって自分を迎え入れれば、頭領の器ではないと考えていた。
これに対し、頼朝は──
「帰れ! 焦らしておのれの価値を高めようとしたか!?
遅参する者など役に立たない! 礼儀を知らぬ者とは共に戦えない!」
これに広常は感服し、頼朝を認めた。
巧みな作劇ですね。
参陣で広常が仲間になるかと思ったが、さらにもうひと山持ってきた。
表面では見えない頼朝と広常の心理戦。
これに気づかなかった義時はまだまだ若く未熟だ。
視聴者としても、あっと驚かされた。
ちなみにこれで思い出したが、
下関でおこなわれた安倍・プーチン会談。
プーチンは2時間も遅れてきたが、安倍は駆け寄って笑顔でプーチンを迎え入れた。
ここで頼朝のような対応をすれば、プーチンも安倍に一目置いたかもしれない。
……………………………
女性パートも進行中。
八重(新垣結衣)は千鶴丸が殺害されたことを確認すると、「もう、あなたを父とは呼びません」
政子(小池栄子)は頼朝の無事を知って、「髪をおろそうとしていたのに」と怒りながら喜んだ。
そして、頼朝の弟の僧・全成が現れて、政子たちを捕まえに来た僧兵に風を起こして対抗しようとしたが、「今日は難しいようだ」と失敗。笑
第三の女・漁師の妻・亀はどさくさにまぎれて「夫もついでに殺して下さい」笑
政子もそうだが、みんな高貴な人が好きなのか?
それぞれの人物がイキイキと描かれていますね。
すべての人物を視聴者はどんどん好きになっていく。
「ようやった、小四郎!」
今回は上総広常(佐藤浩市)を口説く物語だった。
広常は損得で動く人物。
官職には興味を示したが、いくさで勝ち取った所領には「もう十分に持っている」と言って興味を示さなかった。
では主人公・義時(小栗旬)は広常に何を提示したか?
「われらについても得にならないかもしれません。
われらは板東武者のために立ち上がったのです。
われわれのための板東をつくるために力を貸してほしいのです」
何と目先の損得ではなく、壮大なロマンを提示した。
義時はさらに語る。
「こんな面白いことはないと思いませんか?
実に愉快ではありませんか?」
面白いから加勢してほしい。愉快なことをいっしょにやろう。
この誘いに現実主義者の広常は心を動かされたようだ。
おそらく広常は富も所領も得て、退屈していたんでしょうね。
現実的な利益など、お腹いっぱいになっていた。
そこへロマンを提示された。
もっとも現実主義者の広常はこれだけでは動かない。
頼朝(大泉洋)が託すに足る人物かを見定めようとしている。
だから義時が「佐殿は運が良く、天に守られている」と語ると、それを確認した。
頼朝に暗殺の手が及んでいることを知っていて、逃げのびられれば「天に守られている」と確信できる。
結果、頼朝は逃げのびた。
逃げのびたのは近くの漁師の妻・亀(江口のり子)に手をつけて、怒った夫が漁師を引き連れてやって来たからだった。笑
頼朝は逃げて隠れて暗殺の手を逃れた。笑
人間、なにが幸いするかわからない。
やはり頼朝は運がいい!
だが、広常はまだ動かなかった。
頼朝の頭領としての器を見たかったのだ。
広常は2万の兵を引き連れて、頼朝の陣にわざと遅参した。
これで頼朝がへりくだって自分を迎え入れれば、頭領の器ではないと考えていた。
これに対し、頼朝は──
「帰れ! 焦らしておのれの価値を高めようとしたか!?
遅参する者など役に立たない! 礼儀を知らぬ者とは共に戦えない!」
これに広常は感服し、頼朝を認めた。
巧みな作劇ですね。
参陣で広常が仲間になるかと思ったが、さらにもうひと山持ってきた。
表面では見えない頼朝と広常の心理戦。
これに気づかなかった義時はまだまだ若く未熟だ。
視聴者としても、あっと驚かされた。
ちなみにこれで思い出したが、
下関でおこなわれた安倍・プーチン会談。
プーチンは2時間も遅れてきたが、安倍は駆け寄って笑顔でプーチンを迎え入れた。
ここで頼朝のような対応をすれば、プーチンも安倍に一目置いたかもしれない。
……………………………
女性パートも進行中。
八重(新垣結衣)は千鶴丸が殺害されたことを確認すると、「もう、あなたを父とは呼びません」
政子(小池栄子)は頼朝の無事を知って、「髪をおろそうとしていたのに」と怒りながら喜んだ。
そして、頼朝の弟の僧・全成が現れて、政子たちを捕まえに来た僧兵に風を起こして対抗しようとしたが、「今日は難しいようだ」と失敗。笑
第三の女・漁師の妻・亀はどさくさにまぎれて「夫もついでに殺して下さい」笑
政子もそうだが、みんな高貴な人が好きなのか?
それぞれの人物がイキイキと描かれていますね。
すべての人物を視聴者はどんどん好きになっていく。
このエピソードは「上総広常」についてのWikiレベルの史実情報にもありました。
中世の主従関係はまさに一種の契約関係。
従う方も、相手が主君とするに足りるか、厳しくその将器を評価するわけです。
忠義一辺倒の「武士道」概念などは近世(江戸時代)の産物。
そう言えば、「赤穂浪士物」(「忠臣蔵」)は、一時期少しでも時代に合わせようとした変形バージョンもありましたが、結局大河から姿を消して久しいですね。
>第三の女・漁師の妻・亀はどさくさにまぎれて「夫もついでに殺して下さい」笑
Wiki情報によれば、「亀の前」は「漁師の妻」というほど身分が低かったわけでもなさそうですが、政子との関係からして当然波乱の芽となる人物でしょうから、「したたかさ」を強調したのでしょうね。
いつもありがとうございます。
>忠義一辺倒の「武士道」概念などは近世(江戸時代)の産物。
そうなんでしょうね。
「武士道」は権力や秩序を維持するために上の人間が作りだした概念。
戦国時代のように機会があれば主君に代わってのし上がるみたいな下克上が当たり前になれば、上にいる者は枕を高くして眠れませんでしょうしね。
明治時代の「教育勅語」も秩序維持の概念ですよね。
亀さんは実在の人物なんですね。
しかもそれなりの身分の出身。
今作は鎌倉時代の詳細を教えてくれるので、楽しいです。
戦国時代は掘っても新しいものが出て来なくなりましたね。