平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

ゲゲゲの女房 やさしい世界

2010年07月24日 | ホームドラマ
 水木プロを設立した茂(向井理)。
 お祝いの宴会で盛り上がる中、戌井(梶原善)は外でひとり酒を飲む。
 そこへやって来る布美枝(松下奈緒)。
 木曜日のエピソード。
 「ゲゲゲの女房」の世界はやさしい。日に当たらない部分もしっかり描く。
 戌井は水木漫画を信じ、同じ夢を見、いっしょに苦労をした人間だった。
 茂の成功は心から嬉しいが、同時に遠い世界に行ってしまった様な寂しさもある。
 未だに日の当たらない世界を歩いている戌井には、豊川(眞島秀和)ら漫画界の一線を走っている人間の中にいるのは居心地悪い。
 そのせりふが「バナナなんか持ってきて気が利かないですね」という戌井のせりふに集約されている。
 上手い。

 やさしいと言えば、本日・土曜日の菅井(柄本佑)。←顔が似てるけど柄本明さんの息子さん?
 絵が下手くそな使い物にならない菅井について茂は言う。
 「根気の良さなら誰にも負けない。それに見とって面白い」
 どんな人間にも存在意味はあるんですね。
 誰もがみんな同じである必要はない。オンリーワンで自分らしくあればいい。
 この菅井について茂が言ったことは、まさに水木漫画そのもの。
 水木漫画は、たとえば妖怪の様な<差別された者><虐げられた者>に目を向ける。
 彼らこそがヒーローだと言う。
 水木漫画と「ゲゲゲの女房」、このやさしい世界に我々は心地よさを見出す。
 
 その他はエンタテインメント論。
 今週はこんなせりふがあった。
 「真実を見せられて誰が喜ぶんだ?」
 「抵抗が大きければ大きいほど当たれば大きい」
 エンタテインメントとは虚構で夢を見せるもの。夢の世界に浸った者がエネルギーをもらって現実世界に帰ってくるためのもの。
 そして、当たる作品とは特異なもの。「こんなもの誰も見ないよ」と評価されるもの。

 作劇では三人のアシスタントの登場の仕方が面白かった。
 お稲荷さんでヒゲぼうぼうの画家・小峰(斎藤工)に出会う。 
 一方、布美枝がゼタの事務所で出会った大阪の看板屋・倉田(窪田正孝)を連れてくる。
 すると玄関で茂が誰かと話している。
 視聴者は前シーンの経緯から茂が話しているのは、ヒゲぼうぼうの小峰だと予想する。
 ところが話しているのは菅井。
 見事な予想の裏切り方だ。視聴者はお稲荷さんの小峰はどうしたんだろうと思う。
 そして……布美枝が家に入ってくると仕事を手伝っている小峰がいる。
 人物の出入りこそがドラマの妙。
 視聴者の予想を見事に裏切ったこのシーンは実に上手い。



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