平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

乃木坂46~「ぐるぐるカーテン」の計算し尽くされたフォーメーション

2012年03月16日 | アイドル
 乃木坂46の『ぐるぐるカーテン』。
 このフォーメーションは実に巧みに計算されているように思う。

 まず前列。(今回は敬称略)
 センターポジションに、生駒里奈・生田絵梨香・星野みなみが並ぶ。
 いずれも15歳前後のメンバーだ。
 これで乃木坂が若いグループだとわかる。
 AKB48の主要メンバーは、たかみなやゆきりんを始めとして20歳ですからね、乃木坂はAKBより5歳若い。
 そして生駒里奈たち3人の左右に、橋本奈々未・松村沙友理、白石麻衣・高山一実が並ぶ。
 彼女たちは15歳グループよりは、少しお姉さんで乃木坂の中で存在感のあるメンバーだ。
 白石麻衣は正当派美少女だし、橋本奈々未はシャイ、松村沙友理と高山一実はトーク力がある。
 なので松村、高山を前列の左右に配置することで、トークを盛り上げることが出来る。
 隣にいる橋本、白石にツッ込んだりして、彼女たちの良さも引き出せる。

 続いて二列目。
 左右に川村真洋と市來玲奈がいる。
 この二列目左右というのは、カメラに抜かれることが多く、実はおいしいポジション。
 なので特徴のある顔立ちをした川村と市來が配置。
 <特徴がある顔立ち>というのは、一度見たら忘れないということ。
 好きな人はとことん好きになる顔立ち。(ちなみに僕は市來玲奈さんの顔立ち、すごく好きです)
 彼女たちにはフックの役割もある。
 市來さんたちを見たファンは、二列目には他にどんな子がいるんだろうと興味が湧く。
 そこで川村、市來の隣に能條愛未、中田花奈、その隣に西野七瀬、井上小百合。
 この4人は、それぞれタイプが違う美少女。
 男性が複数いたら「能條派」「中田派」「西野派」「井上派」と好みが分かれるはず。
 いわば男性が好む4タイプを揃えているという感じだ。
 そしてファンは次の関心に移る。
 この4人の奥にはどんな子がいるんだろうと興味を抱く。
 そこで齋藤飛鳥と斉藤優里。
 このふたりに関しては別の物語が生じる。
 ふたりの顔立ちは実によく似ている。
 同じさいとう姓なので「もしかして姉妹?」「でも齋藤と斉藤で、漢字は違うし」みたいな感想を抱く。
 ここでファンの関心を大きく逸らしている所が上手い。
 「他にどんな子がいるんだろう?」と思わせておいて、「もしかして姉妹?」と思わせる。
 もしかしたら斎藤ちはるさんも合わせて<チームさいとう>を作ろうとしているのかもしれない。あるいは<チームせいら>?
 そして二列目最後のメンバー・桜井玲香。
 桜井さんは確か乃木坂46のキャプテンでしたよね。
 だからこの位置。
 メンバーの中心の位置にいて、リーダーとして第一列にも第三列にも気を配り、みんなをまとめていく。

 というわけで、こんなふうにプロデューサー気分でメンバーの配置を分析してみるのも面白い。
 あくまで乃木坂46を見ていて感じた僕の独断と偏見なので、ご容赦を。
 三列目のメンバーに関してはまだ不勉強なのですが、「どんどん自己アピールをして這い上がってこい」「自分の場所を見つけろ」とスタッフさんが叱咤激励しているように思える。

 さて次回の『乃木坂って、どこ?』(テレビ東京・次回は日曜深夜0時30分より放送)では、セカンドシングルの選抜メンバーが発表される。
 どのようなドラマが生まれるか?

 ともかく現在は<乃木坂46>が面白い!


 
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ソウル1945~境遇の逆転を描いた壮大なドラマ!

2012年03月15日 | テレビドラマ(海外)
 韓流ドラマ『ソウル1945』は、日本の敗戦・朝鮮半島の独立・朝鮮戦争・南北分離までを描いたドラマである。
 この作品を見ると、戦中・戦後の朝鮮半島の歴史がよくわかる。
 名もなき民衆の息づかいや歴史に翻弄させる姿も。

 メインの登場人物は4人。
 侍女で後に半島ホテルのマネージャーになるヘギョン。
 故郷・咸興の秀才で、社会主義運動を行っていくウニョク。
 天才ピアニストでお嬢様のソッキョン。(ヘギョンは彼女の侍女だった)
 そして名門家一家の御曹司で、心優しいドンウ。

 面白いのは彼ら4人の境遇が、歴史の変転によって、どんどん変わっていくことだ。
 日本が朝鮮半島を統治していた時は、日本の軍閥・政治家に寄り添っていたソッキョンやドンウの一家は隆盛を誇っている。
 ソッキョンは「お嬢様」と、ドンウは「お坊ちゃん」と呼ばれ、苦労知らず。
 ところが日本が負けて、朝鮮が解放されると、日本と歩みを共にすることで利益を得ていたソッキョンたちの家族は糾弾される。
 実際、ソッキョンの父親は、<売国奴>とののしられ、誇りを踏みにじられることを潔しとせず、切腹する。
 隆盛を誇っていた者が衰えて滅びるのは、歴史の必然だが、まさにそれがソッキョンたちの上にも襲いかかる。

 ところが今度は南北対立が起きる。
 すると南朝鮮では、保守派が台頭し、今まで忍従を強いられていたソッキョンやドンウの父親が再び勢いを取り戻していく。
 逆に解放された朝鮮の国家像を<社会主義国家>に置いて活動していたウニョクは<アカ>として逮捕・糾弾され、ウニョクと婚約していたヘギョンも巻き込まれ、死刑で銃殺されそうになる。

 ところがここで三たび境遇の逆転が起きる。
 朝鮮戦争が起こり、ソウルが北朝鮮によって占領されると、今度は<人民の敵>としてソッキョンやドンウの父親が逮捕・糾弾される。
 逆に社会主義運動を行っていたウニョクは政府の要職に抜擢され、ヘギョンは<人民の英雄>として賞賛される。

 すごいですね、この変転。
 激動の歴史に生きた人々ならではのドラマ。
 主人公のヘギョンなどは、別に<社会主義>や<共産主義>を思想として持っていたわけではない。
 ただの普通の庶民で、家族を大事にし、恋人ウニョクと幸せになりたいと願って生きてきただけ。
 なのに、ウニョクを守ったその行動から<人民の英雄>に祭り上げられてしまう。
 逆にソッキョンは<人民の敵>として糾弾され、<自我批判>を強いられる。
 「わたしは間違っていました。わたしは多くの人民を搾取して、苦しめてきました。わたしは思想を改めます」と<自我批判>するソッキョン。
 今までの豪華な服はブルジョワの服であるため、人民服も着る。
 彼女は別に思想を改めたわけではないが、死刑にならないためには表面上はそうするしかないのだ。

 しかし、ここで四たび境遇の変転が起きる。
 アメリカを中心とする国連軍が盛り返し、南朝鮮がソウルを奪回するのだ。
 するとウニョクは逆に追われる身になり、<人民の英雄>ヘギョンは逮捕される。

 このように『ソウル1945』は、歴史の流れの中で翻弄されながらも必死に生きる人々の姿を描いた秀作である。
 先程述べたように、主人公のヘギョンたちの行動は、ウニョクを除いて、<社会主義・共産主義の思想>から出たものではない。
 ただ、家族と愛する人と幸せに暮らしたかっただけ。
 なのにそれを許さない歴史という怪物。
 この作品を見ると、思想やイデオロギーとは何なのかと考えさせられますね。
 思想やイデオロギーがあるから争いが起きる。
 同じ朝鮮民族なのに、どうして北と南で憎み合い、殺し合わなくてはならないのか?
 これは現在の紛争やテロも同じで、過激な宗教思想が(宗教自体は人々に心の拠り所と安らぎを与えるもので悪くないのだが)争いの原因になっている。

 さてラスト。
 ネタバレになるので、これからご覧になる方はパスしてほしいのですが、五たび境遇の逆転が起きる。
 それは……





 死刑になりそうになるヘギョンを、ソッキョンが逃がすのだ。
 その時に彼女らはこんなことをする。
 ヘギョンが<雨月夕景>というお嬢様になり、ソッキョンが侍女になる。
 これは、ヘギョンを日本に逃がすための偽装なのだが、ここで<境遇の逆転>が起きている。
 ただし、これは歴史の流れの中で強制されたものでなく、彼女たち自らの意思で行った<境遇の逆転>。
 この違いは大きい。
 何しろ彼女たちは自らの意思で<境遇の逆転>をすることで、歴史の流れに抵抗したのだ。友を守ったのだ。

 『ソウル1945』は<境遇の逆転>のドラマである。
 その<境遇の逆転>というモチーフを、ラストで<ヘギョン救出>というドラマに結びつけた所が実にあざやか。


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恋と恋愛に関する名言集~この世で一番重い物体は、もう愛していない女の体である。/ボーブナグル

2012年03月14日 | 名セリフ・名言集
 gooランキングで紹介していた「ちょっと辛口な恋の名言」。
 前回は<結婚>でしたが、今回は<恋>に関する名言。

 恋は盲目で熱病のようなものだと言われるが、文学者・哲学者もこのことをさまざまな形で述べている。

★恋愛とは二人で愚かになることだ。/ポール・ヴァレリー
★友情は多くは見せかけであり、恋は多くの愚かさにすぎない。/シェイクスピア
★頭のいい人は恋が出来ない。恋は盲目だから。/寺田寅彦

 同じ意味のことをこんな形でも。

★恋は空腹で生き、満腹になって死ぬ。/ミュッセ
★恋愛とはなにか。私は言う。それは非常に恥ずかしいものである。 /太宰治

 そうですよね、恋の熱病から覚めて見ると「何であんなことを!?」と恥ずかしくなりますからね。
 このあたりはいかにも太宰治らしい。

★どんなに愛しているかを話すことができるのは少しも愛してないからである。 /ペトラルカ

 どんなに愛しているかを話せるということは、恋が覚めて客観的になってしまったからだということをペトラルカは言っているのだろう。
 そう言えば、『冬のソナタ』でもミニョンは、サンヒョクを好きな理由をあげるユジンにこう言っていた。
 「ずいぶん愛する理由が多いんですね。では僕を好きな理由は?」
 「えっ?」
 「答えられないでしょう? 本当に好きな時は理由など答えられないものなんですよ」

 そして恋が冷めた時の言葉はこんな感じ。

★この世で一番重い物体は、もう愛していない女の体である。/ボーブナグル

 女性のひんしゅくを買いそう。
 次の名言は<結婚の名言>だが、<恋愛>にも当てはまる?

★結婚とは、熱病とは逆に、発熱で始まり悪寒で終わる。/リヒテンベルグ

 嫉妬についてはこんな名言。

★嫉妬は恋の姉妹である。悪魔が天使の兄弟であるように。/ブーフレール
★嫉妬は常に恋と共に生まれる。だが必ずしも恋と共に死なない。/ラ・ロシュフーコー

 以下の恋の名言は実にクール。

★男の顔は履歴書、女の顔は請求書だ。/藤本義一
★男は自分が幸福にしてやれる女しか愛さない。/アシャール

 こんなふうに表現されると、男性も女性も恋愛したくなくなりますよね。
 さて、恋愛というのはその経験によって個人差、レベルがあるようで、レベルの低い私には以下の名言はちょっとピンと来ない。

★恋というのは一つの芝居なんだから、筋を考えなきゃだめだよ。/谷崎潤一郎
★短く笑って、長く泣く。それが恋の習いだ。/ガイベル
★愛することにかけては、女性こそ専門家で、男性は永遠に素人である。/三島由紀夫
★愛の表現は惜しみなく与えるだろう。 しかし、愛の本体は惜しみなく奪うものだ。/有島武郎
★美女ははるか昔から、少し愚かでもよいという特権を持っている。/ハーン夫人

 最後のハーン夫人の言葉は最近何となくわかるようになったが、他はどういうことだろう。ぼんやりとしている。
 まだまだ修行が足りない。
 さて、最後はこんな言葉。

★恋愛論を得意気に語る奴には、恋人がいない。/マーフィーの法則


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笑っていいとも! の西村賢太氏~問われる作家の品格

2012年03月13日 | 監督・俳優・歌手・芸人
 現在、ちょっと話題の芥川賞作家・西村賢太氏。
 私も先週、西村氏が出ている「笑っていいとも!」を偶然見ましたが、あれは下品ですね。
 芥川賞作家の肩書きがなければ、ただの中年オヤジがエロ話をしているだけの内容。
 事の次第はこんな感じ。

<放送事故寸前!?>(日刊ゲンダイ2012年3月8日掲載)

 芥川賞作家の西村賢太(44)の“テレビ人気”が急上昇している。
 西村は今月5日にタモリが司会の「笑っていいとも!」(フジテレビ)にゲスト出演。人生の修羅場をくぐり抜けてきた俳優や作家をゲストに迎える「ちょっと怪しい課外授業」というコーナーの“非常勤講師”として、SMAPの香取慎吾やロンブーの淳らを相手に自説を開陳した。
 この中で、西村は生放送にもかかわらず「若いコと肉体関係を持ちたい」「若い女性のぬくもりを大事にしたい。(ぬくもりを得られない時は)外に買いに行きます。僕の場合はデリヘルです」と、お昼の番組とは思えない下ネタを連発。続けて、デリヘル嬢とのプレー内容まであけすけに語ったのだ。
 生報道だけにピー音をかぶせることもできず、放送事故寸前だったこの日の「いいとも」。だが、逆に放送を見てニヤリとしたのはテレビ関係者だという。
「深夜番組にはうってつけのキャラです。芥川賞作家という立派な肩書があるから、下ネタ発言は視聴者がより興味を持つはず。コメンテーターとしては最適でしょう。すでに大手芸能プロにも所属しているし、今後は西村の露出が増えるのは確実です」(テレビ関係者)
 作家といえば、最近は石原都知事に噛み付いて話題の芥川賞作家・田中慎弥もキャラが立っていることでは双璧。しかし、「田中さんは極度の恥ずかしがり屋で、石原都知事への過激発言もほとんど照れ隠し。テレビ向きではない」(文芸関係者)といわれ、タレント性は西村がずっと上だろう。
 西村は今月23日にはBSジャパン「小林麻耶の本に会いたい」に出演予定。麻耶相手にも下ネタ発言するのか、興味深い。


 という内容。
 芸人さんもテレビで下ネタを言うが、しっかり芸になっているから品がある。
 たとえば「笑点」の小遊三師匠。
 しかし、西村氏の場合は芸がないから、ただの中年オヤジトーク。
 作家としてのテツガクもない。

 大体、西村賢太氏はこの出演で何を表現したかったのだろうか?

 <無頼>を気取りたかったのか?
 だったら故・団鬼六先生くらいやってほしい。
 鬼六先生は印税をSM映画の制作と将棋雑誌につぎ込んだ。
 なのに西村センセイは印税4000万(芥川賞を獲って本が売れ、このくらいの印税が入ったらしい)をチアチマと風俗に使うだけ。

 自らを<ピエロ><トリックスター>にしたかったのか?
 だったら故・遠藤周作先生くらいのユーモアでやってほしい。
 遠藤先生はピエロになる時、<狐狸庵先生>を演じたが、それくらいのことをやってほしい。

 かつて作家がメディアに出て何かを語る時は格好よかった。
 故・吉行淳之介先生しかり。
 故・開高 健先生しかり。
 野坂昭如先生しかり。
 それぞれのダンディズムがあった。
 北方謙三先生も上のお三方に比べればまだ「小僧」だが、しっかりダンディズムを表現している。

 なのに西村センセイは?
 ただのエロオヤジ。芸も品格もテツガクもない。
 こう書いてしまう私自身、歳をとって保守的になり、彼の面白さを理解できなくなってしまったのだろうか?
 それに西村氏の作品を読んだわけではないし。

 日刊ゲンダイの記事に拠ると、西村氏は現在、テレビメディアに注目されているとのこと。
 テレビに消費され、捨てられないことを願う。
 お節介かもしれないが、テレビなんかに出ているよりは作品を書いた方がいいんじゃないか、とも思う。


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平清盛 第10回「義清散る」~自分の美学に殉じた男

2012年03月12日 | 大河ドラマ・時代劇
 「いかなる世においても、美しく生きることが私の志だ。私には醜さにまみれて生きる覚悟などない」

 <優雅に美しく生きたい>と思う義清(藤木直人)。
 しかし、璋子(檀れい)との恋はそれを妨げるものであったようだ。
 まず璋子の心は鳥羽院(三上博史)にあることがわかってしまった。
 璋子の目が空っぽでなくなり、感情が生まれた時、そこに映っているのは<義清>であるはずだった。
 恋が成就し、璋子が義清のみを見つめるようになった瞬間、美しく生きたいと思う彼の志は完結するはずだった。
 なのに璋子は水仙を探した。
 鳥羽院も水仙を見に行った。

 まあ、これだけなら失恋の歌でも詠んで、義清の美学は保たれただろう。
 冒頭、義清は清盛(松山ケンイチ)の妻・明子(加藤あい)に袖にされたというせりふがあった。
 彼にとっては女性にフラれることも雅(みやび)なことなのだ。
 しかし璋子はやはり魔性の女性だった。
 璋子の心が自分にないことを知ると、逆上して首を絞めてしまう。
 これは、優雅に美しく生きたいと思う義清にとっては絶対にあり得ないこと。醜い行為。
 なのに我を忘れてやってしまった。
 あるいは自分がしたことで鳥羽院に罰せられれば、まだ美学は保たれただろう。
 <恋に殉じた男>になれる。
 しかし、それもかなわなかった。
 そして妻と娘。
 清盛は「今回のことを妻と娘に心の中で詫びろ」と義清を諫める。
 しかし、詩人の義清には、美しく生きる自分の行動を妨げ、謝罪しなければならない存在など邪魔なものでしかない。
 桜の花びらを「美しい」という娘の感性など、当たり前で俗っぽすぎて腹が立つ。
 娘の言葉を受けて「ああ、美しいな」と言ってしまう自分も許せない。俗な普通の人間に成り下がってしまったようだ。
 だから娘を蹴飛ばしてしまった。

 美しく生きたいと思った男が美しく生きられなくなった時、行うことは世を捨てること。
 このまま世間に生きていては、世俗にまみれ、自分はダメになってしまうと義清は考えたのであろう。

 こういう義清の詩人の生き方はどうだろう。
 僕は家族や一族郎党を大事にする清盛や、勢力拡大のために奮闘する義朝(玉木宏)に共感する。
 義清は西行として今後も折りにふれて登場してくるでしょうが、清盛や義朝、あるいは宮廷のことを美に生きる彼がどう見たかを描いてほしいですね。


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AKB48のマーケティング論

2012年03月09日 | アイドル
 熱心なAKB48ファンの方には当たり前のことだと思うが、<MIX>というのがあるらしい。
 いわゆる合いの手みたいなもの。

 あ~~、よっしゃぁ~、行くぞぉ~!
 タイガー、ファイヤー、サイバー、ファイバー、ダイバー、バイバー、ジャージャー
 虎、火、人造、繊維、海女、振動、化繊飛除去
 チャペ、アペ、カラ、キナ、ララ、トゥスケ、ミョーホントゥスケ

 これらの言葉を曲の中でMIXしていき、ファンもステージのAKB48のメンバーと共に曲を作り上げていくという仕掛けだ。

 ちなみに<虎、火、人造、繊維……>は、お分かりのとおり<タイガー、ファイヤー、サイバー、ファイバー……>の日本語訳。
 <チャペ、アペ、カラ、キナ……>はアイヌ語訳。
 そして<タイガー、ファイヤー、サイバー、ファイバー、ダイバー、バイバー、ジャージャー、虎、火、人造、繊維、海女、振動、化繊飛除去>と続けてMIXすることを<二連MIX>と言い、<タイガー>から<ミョーホントゥスケ>までをMIXすることを<三連MIX>と言うらしい。

 これは実に面白い。
 <ファンが独自に創り出した楽しみ方>
 レコード会社や広告代理店が上から仕掛けとして与えたものではない。
 どなたが最初に創り出したのかはわからないが、下から自然に発生したもの。

 考えてみると、AKB48には<ファンが独自に創り出した楽しみ方>がたくさんある。
 たとえば
・メンバーの生写真のトレーディング。
・「推しメン」「推し変」「単推し」「神」「神7」といった言葉。
 もちろん、MIXには昔からあるアイドルの合いの手、生写真のトレーディングにはアニメのトレーディングカードなどの文化がオリジナルとしてあるのだろうが、これらを応用、進化させた所はお見事。

 そして、こういう下から文化を持ったものは強い。
 テレビ局や広告代理店などが上から仕掛けたものは簡単に消えてしまうが、こういう文化はなかなか無くならない。
 これはちょうどコミックやアニメが同人誌に繋がり、コミケなどの同人誌即売会に発展したのに似ている。

 今の時代、広告代理店とかはいらないんじゃないんですかね。
 上からの仕掛けはどうも胡散臭い。鼻で笑いたくなる。
 テレビでの大量宣伝も。ましてお国が与えてくれる文化事業なんて。
 消費者は自分たちで楽しむ方法を知っている。オトナが与えてくれなくてもいい。
 メーカーやメディアは、秋元康さんがそうであるように、消費者が楽しむための素材と場所を提供していけばいいのだ。
 あとは勝手に消費者が育ててくれる。
 そして、もしプロデュース側にやることがあるとすれば、それは芽が出たものをより良く成長させるために水と肥料を的確に与え、枯らさないようにすること。

 現在は下からのマーケティングの時代。
 そしてAKB48は現象からひとつの文化になりつつある?


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相棒10 「守るべきもの」~プロフェッショナルの条件

2012年03月08日 | 推理・サスペンスドラマ
 「相棒」が得意とする職業物。
 少し前は草木染め職人でしたけど、今回はSP。

 物語は、<危険が怖くて警察を辞めた男><狙撃が怖くて逃げた男>・土方勇作(合田雅吏)が実はプロフェッショナルなSPだったという話。
 土方は危険が怖くて警察を辞めたのではなく、守るべき対象者と信頼関係を結べなかったから辞めたのだった。
 また、狙撃が怖くて逃げたのではなく、ライフルの<銃衝撃音>を聞き分けて対象者を守ろうとしたのだった。

 <対象者との信頼関係を結べないと仕事を受けない>という自分なりのルール。こだわり。
 <銃衝撃音>を聞き分ける技術。
 このルールと確かな技術こそがプロフェッショナルの証しである。
 プロにとって<技術>は必須のものだが、<ルール>も大事。
 自分なりのルールを持っていないと、土方の上司のように簡単に買収されてしまう。
 またSPでなくても、こういうプロ意識は持っていたいですね。
 自分の仕事において、自分なりのルールを持っているか、確かな技術を持っているかを改めて検証してみたい。
 
 ドラマとしては、土方が撃たれる前日に対象者の泊真一(今井朋彦)と交わした会話が面白い。
 前日、土方は泊とこんな会話をしていた。

 「泊さん、何かを隠していませんか」
 「いえ」
 「あなたを本当に信じていいんですね」
 「ええ、私を守って下さい」

 「何か隠していませんか」と問われて、泊が「いえ」と言ったのは嘘。
 実は、狂言で翌日撃たれることになっていることを隠していた。
 しかし、「あなたを本当に信じていいんですね」と問われて、「ええ、私を守って下さい」と言ったのは心から出た真実の言葉。
 というのは、泊は狂言をいっしょに仕組んだ上司が裏切って、自分を本当に殺すのではないかと考えていたから。
 嘘をつき本当のこともしゃべっていた泊。
 そして、このことが土方を死に追いやってしまった。
 後者の「ええ、私を守って下さい」という言葉も嘘だったら、土方は見抜き、泊に本当のことをしゃべらせていただろう。
 狂言狙撃につき合うか、やめさせるかして、撃たれずに済んだかもしれない。
 ほんのわずかな歯車のズレが、生か死かを分けるんですね。
 何という人生の不条理! 皮肉!

 なお今回の事件のミスリードは、グローバルエネジー(暴力団)→NPO法人・日本丸が泊の研究に援助していたことだった。
 伊丹が右京(水谷豊)に対して言った「どうしてもっと早く教えてくれなかったんですか?」というせりふが楽しい。

※追記
 狙撃の狂言を仕組んだ上司も<人生の不条理>ですね。
 彼としては、人を殺すつもりはなかった。
 狙撃はあくまで威嚇。
 なのに、なまじっか土方が<銃衝撃音を聞き分けるプロ>であったために、殺人犯になってしまうことに。
 本当に人生の一寸先は闇です。


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結婚に関する名言集~君がよい妻を持てば幸福になるだろうし、悪い妻を持てば哲学者になれる。/ソクラテス

2012年03月07日 | 名セリフ・名言集
 gooランキングで「ちょっと辛口な恋の名言」を紹介していた。
 さすが、世界の哲学者・文学者が語った言葉。
 どれも的確で、「ごもっとも!」である。
 いずれの言葉もシニカルであるのも面白い。
 皆さん、恋や結婚で痛い目にあっているんですね。

 ということで、今回は<結婚>に関する名言集。

★結婚生活で一番大切なものは忍耐である。/チェーホフ

 ごもっとも! 結婚に関する言葉として、一番引用される言葉ですね。

★人は間違った理由で結婚し、正しい理由で離婚する。/宮本美智子

 コメント不要。ごもっとも! としか言えない。
 同じ様なことをオスカー・ワイルドも言っている。

★正しい結婚の基礎は相互の誤解にある。/ワイルド

 こんな言葉もある。

★孤独が怖ければ結婚するな。/チェーホフ

 またもやチェーホフさんの言葉。
 すごい逆説。
 チェーホフって、どんな結婚生活を送ったんだろう?
 前述の言葉といい、よほどつらい結婚生活を送ったに違いない。機会があったら調べて見よう。
 妻とはどのような存在か、ということについても世界の文学者・哲学者は次のような考察を行っている。

★不本意な結婚をした男にとって、彼女は妻ではない。敵だ。/プラウトウス

 これもごもっとも! 世の中には会社から家に帰るのが嫌なお父さんがどれだけいることか!
 妻に関しては、悪妻を持ったことで有名なソクラテスもこんな言葉を。

★君がよい妻を持てば幸福になるだろうし、悪い妻を持てば哲学者になれる。/ソクラテス

 深いですね。
 不幸な生活、過酷な生活が、人を鍛え、人にさまざまなことを考えさせるんですね。
 無邪気な子供がそうであるように、世界と調和している人間は、人生や生きることに関してあまり深く考えない。

 さて、このように結婚に関する言葉をいくつか紹介して来ましたが、結論を言うと『結婚することは愚かだ』ということになりそうです。
 バーナード・ショーもこんなことを言っている。

★結婚するやつは馬鹿だ。しないやつは……もっと馬鹿だ。/バーナード・ショー

 二番目のフレーズが解釈の分かれる所ですが、<しないやつは>の後に<……>があるのがポイント。
 きっとバーナード・ショーは、<……>の所で<結婚しないことの幸せ>を語ろうとしたのでしょう。
 しかし、そばに奧さんがいたりして、慌てて<もっと馬鹿だ>と言い換えた。(笑)
 こんなことが想像される。

 最後にgooランキングにはノミネートされていなかったが、ドラマ『結婚できない男』で主人公の桑野さん(阿部寛)が語った言葉を。

★妻と子供と家のローンは、人生の三大不良債権だ。


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特命戦隊ゴーバスターズ~これは<戦隊ヒーローもの>ではなく、<ロボットもの>ですね。

2012年03月06日 | コミック・アニメ・特撮
 最初に見た時、これは『エヴァンゲリオン』だなと思った。

 エネルギー施設・エネトロンに迫り来る敵ロボット。
 迎え撃つゴーバスターズのバスターマシーン。
 バスターマシーンは、都市のビルの中から出て来る。

 これって『エヴァ』で、エヴァンゲリオンが出撃して、使徒を迎え撃つ時と同じ。
 バスターマシーンは出撃前はコードで繋がれているし、発進の時は「進路クリア」とか言ってるし、敵が奪いにやって来るエネトロンは、『エヴァ』で言えばアレ。
 『エヴァ』のシンジはファザコンで、ヒロム(鈴木勝大)はシスコン。

 『サンダーバード』の要素も持っている。
 第2話では、ロボットに破壊された街での救助シーン。
 ヨーコ(小宮有紗)が空から消火活動を行い、リュウジ(馬場良馬)が避難車両を回収する。
 これって、まさに『サンダーバード』。

 『特命戦隊ゴーバスターズ』は、ロボット戦闘の要素が強い。
 出渕裕さんらがメカデザインしているし、昔ならアニメーションで描いていたことを特撮実写でやっている感じ。
 『ゴーカイジャー』などの一連の<戦隊もの>を期待していると少し肩透かしですかね。
 <戦隊もの>の魅力って、戦隊ヒーローの肉体アクションと決めポーズ。
 これらの要素が少なくなってしまったのは寂しい。
 評価が分かれる所だろう。

 そして第2話で披露されたキャラクター設定。
・ヒロムはショックを受けるとフリーズ。
・ヨーコはカロリーが切れると充電切れ。
・リュウジは熱暴走でクラッシュ。
 それぞれのウィークポイントが、コンピュータの持つウィークポイントでもあり、異空間から転送されてきた時、ヒロムたちにインプットされたというのが、面白い。
 その描かれ方も、最初は<ヒロムはニワトリに弱い><ヨーコはお菓子が切れると弱くなる>という視聴者に思わせておいて、実はこんな裏設定があったという描かれ方。
 実に上手い。見事に視聴者を裏切っている。

 というわけで、作品自体は非常によく出来ている『特命戦隊ゴーバスターズ』。
 あとは<戦隊もの>を求めている自分をいかに切り替えていくか、ということでしょうか。


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平清盛 第9回「ふたりのはみだし者」~これは長いすごろく遊びの始まりであった。

2012年03月05日 | 大河ドラマ・時代劇
 父親となった清盛(松山ケンイチ)。
 父親になると、さすがに地に足をつけた落ちついた感じになるようですね。今までのような放蕩無頼ではいられない。
 あふれるエネルギーを子供と明子(加藤あい)と平家一門に注いでいる感じ。
 エネルギーは方向性を見出した。

 このように父親の自覚を持つことになった清盛。
 この父親の目で王家を見ると、それは実に奇異に見えたのだろう。
 清盛はこうつぶやく。

 「これが皇子様のお誕生を祝う宴か? 誰も彼も生まれてきた子をおのれの欲得のための道具としか思わぬ」

 父親ならではの発言だ。
 本来なら、その誕生を祝福されるべき皇子が実は誰にも愛されていない。
 誰も愛情の目を注いでいない。
 それって子供にとってはすごく哀しい。
 皆で酒を飲み、大喜びする清盛の所とは大違いだ。

 この対比が見事。

 対比と言えば、雅仁親王(松田翔太)との対比もそう。
 清盛と雅仁親王は、オモテと裏だ。
 ふたりとも<王家に渦巻く積年の鬱屈より流れ出た膿。すべての歪みを抱え込んだ毒の巣>。
 だが、清盛は克服した。
 膿と毒を浄化した。
 浄化したのは、父・忠盛や平家一門、仲間たち、そして明子と子・清太。

 そんな清盛だから、雅仁親王のことは、かつての自分を見るようで、よくわかる。
 清盛は雅仁親王の振る舞いをこう評する。
 「母を求めてわめき散らす赤子の泣き声じゃ」
 こんなことも語る。
 「生まれは変えられぬが、生きる道は変えられる」

 清盛~、何かマトモになってしまったね~。
 はみだし者ではなくなってしまった。
 個人的にはちょっとつまらない。
 しかし、雅仁に次のように返した所は、さすが<無頼の平太>

 「この先、清太に害をなそうとされることあらば、雅仁様のお命、頂戴つかまつる」

 一方、雅仁。
 「生まれは変えられぬが、生きる道は変えられる」と正論を吐く清盛にこう返す。

 「そなたにも流れておろう。王家の血が。白河院の血が。きっといずれ疼こうぞ。うつつに生けるもののけ怪の血が」

 これは後の清盛を描く上での<伏線のせりふ>であろう。
 この作品、いたる所に伏線が張り巡らされているので、一瞬たりとも気が抜けない。
 流して見ていると、面白さが半減する。

 最後はまとめせりふ。
 今回、ラストのナレーションはこうまとめた。

 「これはふたりの長いすごろく遊びの始まりであった」

 上手いまとめ方だと思います。


コメント (7)
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