平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

相棒10 「陣川、父になる」~ドキュメンタリーを裏切ったんです!

2012年03月01日 | 推理・サスペンスドラマ
 陣川さん(原田龍二)って『男はつらいよ』の寅さんですよね。
 毎回、女性を好きになってふられている。
 花の里では<子持ちししゃも>を出されるし。
 女性に対しては泥臭いし。
 たとえば、尊くん(及川光博)との比較。
 陣川は、妊婦の由香利(松本莉緒)がお茶をいれようとするのを止めるのに対し、尊は「妊婦さんも運動しなきゃダメなんですよ。でも、高い所にあるものを取ろうとするのは危ないです」と言って茶筒をとってあげて、ずっとスマートだし。

 事件は、ドキュメンタリー制作の話。
 当初の企画意図=<四月二日に出産予定の妊婦さんを描くこと>が、取材を進めていくうちに<過去を乗り越え、幸せに向かい合おうとする女性を描くこと>に変わっていくという制作の実際が垣間見えて面白い。
 ものを作っていくって、こういうことなんですよね。
 予定していた企画意図やプロットどおりにいかなくて、どんどん変わっていく。
 対象にのめり込み、追究していくうちに内容がどんどん深くなっていく。
 これが創作。
 ドキュメンタリー制作の場合は、この要素が一層強いだろう。

 犯人の動機にもなっている、殺されたディレクター・川野麻紀(奈良崎まどか)がやったことは、どうだろう?
 麻紀がやったことは取材対象に一石を投じること。
 被害者家族からの手紙を取材対象である由香利に送ったら、由香利はどのような反応をするのかを撮ろうとする試み。
 リトマス試験紙のような感じ。
 穏やかな水面に石を投じたら、どのような波紋が生じるかを確かめる試み。
 確かに取材対象をそのまま撮っていたのでは、大きなドラマも生まれないだろうし、いい絵も撮れない。
 だから制作者は、姉を登場させたり、手紙を送ったりするのだが、これはやらせ・ねつ造なのか? ドキュメンタリーを撮るためのひとつの方法論なのか?
 このあたりは実際に制作している方に確認してみたい。

 推理ドラマとしてはイマイチですかね。
 謎解きの<ミステリー>というよりは、捜査を進めていくうちに事実が少しずつ明らかになっていって真相にたどりつくという<捜査物>という感じ。
 今回の決め手になった<仮ナレーション>の録音も右京(水谷豊)ならもっと早く確認しているだろうし、「せっかく完成させたのに残念ですね」というせりふもいくらでも言い逃れが出来るため、犯人特定の証拠にはならない。というか犯人はいきなり自白を始めちゃったし。
 ラストのひねりもとってつけたような気がします。


コメント (2)
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