12月31日大晦日。1年納めの乗り鉄は福山から始まります。2度目乗車となる福塩線(神辺までは3度目となる)、三江線の乗り直しを企画し、そのために福山に宿泊して7時に福山を出る府中行きで旅をスタートさせました。福塩線府中以北と三江線はJR西日本のローカル線でも最難関と言えるほど本数が少ないところです。とりわけ三江線は始発、終着ともに大阪からは遠いところで、どこかで一泊して行かなければ乗り通せない路線となっています。三江線に乗るために福山に泊まったといっても過言ではありません。福山からの福塩線は当然105系が来るものだろうと高をくくっていましたが、来たのは意外にも115系4連リニューアル車。朝の時間帯だけに輸送力列車として115系も使われているのでしょう。可部線などでも見かける光景で、沿線のイメージと合致しない電車が来たので少し驚きました。福山の天候は曇り。朝からかなり冷えていたものの年末は天気が荒れるという予報からするとさほど大した寒波でもない感じがしました。しかし、広島県北部や島根県は雪予報となっており、先の道中の天候に不安を抱えながらの出発となりました。
福塩線の福山口ものんびりした走りで、昨日乗った姫新線の気動車と五十歩百歩といったところで、駅間距離が短かったり、カーブでの制限がきつかったりとなかなか前に進まない道中でした。途中からは雪が降り出し、終点の府中では積雪が見られる状態でした。瀬戸内のイメージが強い広島県だけに県内で雪を見るとは思ってもみませんでしたが、よくよく考えれば中国山地を越える福塩線なら雪が見られても何らおかしいことではありません。府中からは短時間での連絡でキハ120気動車に乗り換え。昨日姫新線でお世話になった型式だが、昨日は岡山色、今日は広島色と外観の帯の色が異なる。府中から先は雪が降り続き、時には吹雪となるところもあり、窓の向こうに見える景色はまさに雪景色となりました。単行気動車ながら車内は閑散としており、途中での乗り降りもごくわずかで、18きっぱーと地元のお年寄りばかりが目立つ車内でした。ローカル線の主役である高校生は大みそかとあってその姿はほとんど見られません。こういう時のために18きっぷの設定があると聞いたことがありますが、確かに高校生が休みに入るとローカル線は閑散としており、目も当てられないような車内となることが多いのも事実です。18きっぷでなんとかその補てんをということは十分考えられることですが、18よりも安いイメージがある昨今の高速1000円に押されているのか18きっぱーの姿も最近は減少しているように思えます。もっとも福塩線や三江線といった超一級のローカル線は先に書いたように乗りに行くだけで大変な路線であり、18きっぱーもなかなか訪問しづらいという面はあるかと思います。
それにしても福塩線の府中以北は速度制限が異様に多いです。15km/hという走った方が速いんじゃないかと思われるような速度制限があちこちにあり、府中以南以上に前に進まない路線でした。線路維持のための制限速度はJR西日本の悪しき伝統となって引き続いていますが、逆に線路保守の手抜きと見ることもでき、安全上においても、利用者の利便性においてもいい制度とは言えないと思います。ローカル線では極力手を抜いて赤字をなんとか減らしたいという苦肉の策と思われますが、このままでは廃止を待つばかりといった状況の路線が増えるばかりであり、もう少し利用者を増やしていく努力もしてもらいたいものです。ただ、福塩線の府中以北については沿線人口の絶対数が少なく、福山へは府中で乗り換えとなるため時間がかかり過ぎるし、三次方面へは三次以外めぼしい都市もなく、車があれば十分という生活環境では列車の利用が馴染むのは難しいだろうという印象があります。生き残り策を講じるのは至難の業と言えるのではないかとも思います。