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財務省裏金一掃と天下り根絶が菅財務相の責務

2010-04-16 21:54:33 | 植草一秀氏の『知られざる真実』

財務省裏金一掃と天下り根絶が菅財務相の責務
菅直人副総理兼財務相の元政策秘書を務めていた松田光世氏が『月刊テーミス』2010年4月号に「財務省「裏ガネ作り」の全貌がわかった!」と題する記事を執筆された。


記事では、外為特会積立金約21兆円が財務省所管の財政投融資特別会計の「特別会計預託金」に移され、ここから独立行政法人などを経由して民間の銀行に預金されている事実が指摘されている。


この点に関連して松田氏は、ある地銀幹部の声として、


「特別会計や財投の融資先の特殊法人、公益法人などの余裕資金を大蔵省は『協力預金』と呼んで、割り当てた金額に応じて天下りを受け入れるように金融機関に求めてきました。そうした金融機関への天下りは300人を超えているはずです。われわれのところに来る特殊法人などの経理担当役員も大蔵省の天下り。財政投融資は、二重の意味で“天下りの温床”でした」


との発言を紹介されている。


外為特会こそ「事業仕分け」の対象としなければならない。


外国為替資金特別会計は日本国憲法違反の疑いの濃い制度である。この点は本ブログ2008年11月13日付記事


「憲法違反の外国為替資金特別会計」


をはじめとする


カテゴリー「外国為替資金特別会計」


の各記事をご高覧賜りたいが、巨大な国民資金が国会の議決を経ずに海外政府に提供されているのだ。


 本年3月19日付本ブログ記事


「衆院予算委小泉俊明議員の小泉竹中改革総括」


にも記述したが、小泉竹中政権時代の2002年10月から2004年3月にかけて、日本政府は35兆円のドル買い為替介入を実行し、米国金融機関に巨大な資金を提供した。


 米国金融機関はNY株式を買うと同時に、暴落した日本の株式を一手に買い占めた。日本では、竹中経済政策が日本経済を破壊すると同時に、大銀行を破綻させる可能性を示唆したために、株式市場がパニックに陥り、株価が空前の大暴落を起こしていた。


 金融恐慌を警戒して国内投資家が日本株式を全面的に投げ売りした局面で、米国資本は平然と日本株式の底値買い占めに向った。


 米国資本が日本株式買い占めに向ったのは、竹中金融行政が預金保険法102条第1項第1号措置を適用することを事前に知っていたからであろう。


 カテゴリー「竹中金融行政の闇」各記事に詳述したように、竹中金融行政はりそな銀行をいけにえに選択して、最終的に税金でりそな銀行を救済することを決めていたのだと考えられる。


 大銀行破綻との風説を流布して株価暴落を誘導し、最終的には「破綻」ではなく「救済」したのだから株価は猛反発する。この政府決定を事前に知った者だけが濡れ手に粟の巨大な不労所得を手にすることができた。


 「風説の流布」、「相場操縦」、「インサイダー取引」の巨大国家犯罪が遂行された疑いが濃厚なのである。私はテレビ番組で繰り返し、証券取引等監視委員会の手口調査を求めたが、同委員会はまったく動く気配を示さなかった。これが、巨大なりそな疑惑の概要である。


 詳しくは拙著『知られざる真実-勾留地にて-』、ならびに『売国者たちの末路』(副島隆彦氏との共著)をご高覧賜りたい。


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 日本が金融恐慌に向う危険が拡大して株価は大暴落した。ところが、小泉竹中政権は方針を180度転換して大銀行を税金で救済した。この結果、株価が猛烈に反発したのは当然のことだった。


 このなかで竹中金融行政は米国に35兆円もの資金を提供し、米国資本は株価暴落のなかで、安心しきって、嬉々として株価暴落市場で株式を買い占めたのである。この巨大国家犯罪を必ず白日の下に明らかにしなければならない。


 竹中金融行政はりそな銀行を救済したが、小泉政権批判を鮮明に示していた経営陣を追放した。代わりに小泉竹中親衛隊を銀行経営者に送り込んだ。政権による銀行乗っ取りが実行されたわけだ。


 りそな銀行は、この「乗っ取り」を契機に自民党に対する融資を激増させた。2002年末に4.75億円だった融資残高が2005年末には54億円に激増した。他の大手銀行が5-10億円の融資残高を4―8億円に減少させるなかでのりそな銀行の突出した行動だった。


 この事実を2006年12月18日の朝日新聞1面トップでスクープした朝日新聞敏腕記者の鈴木啓一氏はその前日に東京湾で水死体で発見されたと伝えられている。


 私は2006年9月13日に謀略と考えられる痴漢冤罪事件で不当逮捕された。東京拘置所で迎えた12月18日の私の誕生日に、上述の朝日スクープ記事を読んだ記憶がいまも鮮明に蘇る。


日本の外貨準備は100兆円もある。為替市場でのドル買い介入は円高・ドル安の進行を止めることがどうしても必要な局面で実行されるものである。1995年に1ドル=80円台にまで円高が進行した局面でのドル買い介入は正当化された。


しかし、2002年から2004年にかけてのドル買い介入は、そのような必然性に支えられたものではなかった。市場関係者が誰も知らない間に米国への巨大な資金供与が実行されたのだ。当時の報道に外為介入を伝えるものはなかったはずだ。


100兆円のドル資産を持つと、1円ドル安が進むごとに1兆円の損失が生まれる。このリスクを軽減するには、ドルが上昇した局面でドル資産を売却しなければならない。ところが、日本政府はこれまで、ほとんどドル資産売却を実行してこなかった。ドル買い介入は結果から判断する限り、米国への「利益供与」なのだ。


しかも、これらの外為介入が国会議決事項の外側に置かれ、国会の縛りがまったくかからない状況下に置かれてきた。財務省と所管政治家がグルになって国民に対する背任行為を実行できる状況が放置されている。


円金利に比べてドル金利は高い。金利だけを考えれば、ドル資産保有は金利収入を生み出す。この金利収入が積立金として財務省の裏金とされてきた。


財務省は外為特会を持つことによって、巨大な遊興費を得てきた。G7会合などへの出張に際して、石原慎太郎東京都知事には及ばないまでも、豪勢な大名旅行が行われ、その資金がこの裏金特会から捻出されてきたのである。


菅直人副総理兼財務相は、増税路線で財務省に取りこまれる前に、財務省の利権を根絶しなければならない。利権を根絶せずに消費税増税に向うなら、そのときは菅直人財務相には、民主党を離党して自民党に移籍してもらわねばならない。


外国為替介入を国会議決事項とする制度変更が絶対に必要である。また、財務省利権と化している外為特会の裏金を全額国庫に返納させることが必要だ。


また、地銀頭取のいくつかが財務省天下り指定席になっているが、300人に及ぶ財務省・金融庁から銀行への天下りを直ちに根絶しなければならない。少なくとも新規の天下りは全面禁止とすべきだ。


「事業仕分け」の出発点は財務省でなければならない。独立行政法人国立印刷局の四ツ谷体育館の売却も確定すべきだ。菅直人副総理兼財務相に求められる最優先業務は、法務省と並ぶ霞が関1丁目1番地の財務省の利権を切り込むことである。


菅直人氏が財務省利権を切らずに増税路線に突き進む、ミイラ取りがミイラになる話を誰も聞きたくはないはずだ。この点は私も松田光世氏も同じ思いであると思う。


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