格差階級社会をなくそう

平和な人権が尊重される社会を目指し、マスゴミに替わって不正、腐敗した社会を追求したい。

矢部宏冶氏新著が明らかにする「売国の作法」

2016-07-09 20:54:19 | 植草一秀氏の『知られざる真実』

矢部宏冶氏新著が明らかにする「売国の作法」




矢部宏治氏が新著


『日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか』


https://goo.gl/wGzVpQ


を刊行された。


『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』


(集英社インターナショナル)


http://goo.gl/bwpScY


に続く第2弾である。


矢部宏治氏は


名著『戦後史の正体』(孫崎亨著、創元社)


http://goo.gl/2E2H3


をプロデュースされた方でもある。


矢部氏は『戦後史の正体』のなかで同書刊行の問題意識について、次のように述べている。


○人類史上最悪といわれる原発事故が起きた。なのになぜ、それまで「絶対に安全だ」と言い続けてきた責任者たちは誰も責任を問われず、逆に「安全性が確保された」などと言って再稼働を求めているのか。


○公約をかかげて勝利した政権与党の党首(野田首相)が、なぜ公約に完全に反した政策を「命をかけてやりとげる」などと言い続けているのか。


○本来、社会正義の守り手であるべき検察が、なぜ組織ぐるみで証拠を捏造し、有力な首相候補である政治家(小沢一郎氏)に冤罪を着せようとしたのか。検察官の不正はあきらかなのに、なぜ彼らは罰せられないのか。


○右のようなきわめて重大な問題を、なぜ大手メディアは批判せず、むしろ不正に加担しているのか。


そのうえで、


「こうした数々の重大な疑問を解くためには、「戦後日本」が誕生した終戦直後(占領期)まで歴史をさかのぼって考える必要がある」


と記述した。


私も、


『日本の独立』(飛鳥新社)


http://goo.gl/LtyS9


『日本の真実』(飛鳥新社)


http://goo.gl/8hNVAo


などに著書において、戦後史の変遷を通じて「この国のかたち」を論じてきた。


孫崎氏や矢部氏と問題意識を共有する。


そして、矢部氏は今回の新著において、戦後の日本を米国(米軍)が支配し続けてきた背景と根拠を、具体的な条約や密約の事実を摘示して、見事に表出された。


矢部氏は、本書の冒頭において、米国による日本支配のカギを握る


「密約」


について、先駆的研究をし、重大な業績を残されてきた


新原昭治氏、古関彰一氏、春名幹男氏、我部政明氏、


ならびにその法的構造の解明に着手した


本間浩氏、前泊博盛氏、末浪靖司氏、吉田敏浩氏、明田川融氏、吉岡吉典氏、笹本征男氏の名を列挙して、心からの敬意を表している。


矢部氏はこうした先駆的業績を確認、検証したうえで、米国による日本支配の構造を鮮やかに描き出し、読者に提供された。

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その意義は極めて大きい。


つまり、単なる推論、仮説の提示ではなく、法的効力を有する各種の公文書に記載されている「事実」を踏まえて、戦後日本の対米関係を鮮明に描き出しているのである。


そこに描き出された現実は、文字通り、


「米国に支配される日本」


そのものであり、


この


「米国に支配される日本」


が、誰の手によって生み出されてきたのかを明確に摘示するものである。


米国側の主導者が明らかにされるが、それと同時に、日本側の主導者、首謀者も明らかにされる。


その現実は、権力者の立場にいる者が、立憲主義、「法の支配」の大原則を踏みにじり、文字通り暴走するかたちで、日本を米国に売り渡してきた、


「売国の作法」


を明示するものである。

矢部氏がプロデュースしている創元社のシリーズの一冊に


『検証・法治国家崩壊-砂川事件と日米密約交渉』


があるが、文字通り、条約+協定+密約による現実規定には


「法治国家崩壊」


の現実が見えてくる。


吉田茂、岸信介、佐藤栄作の3名による「密約」による「日本売り渡し」の「事実」を私たちは確認し、過去にさかのぼってその責任を追及し、事態の是正を図らなければならない。


岸信介氏の孫にあたる安倍晋三氏が、その「売国の作法」を受け継いでいることは言うまでもない。


「戦後日本の総決算」とは、戦後日本政治における「売国の作法」を明らかにしたうえで、これを払拭することにある。


戦後日本を正確に理解するうえで、すべての日本国民が精読しなければならないのが矢部氏の新著である。

国民必読の書である。









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この「街の声」を削れ!

2016-07-09 09:59:00 | 阿修羅


この「街の声」を削れ! 放送現場を萎縮させる安倍政権の「行きすぎた口出し」〈AERA〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160705-00000157-sasahi-pol
AERA 2016年7月11日号


 政治とメディアの緊張関係が崩れている。

 政府や自民党が、テレビ番組の制作現場に「公平性」を求めて横やりを入れているのだ。

 電波停止という「脅し」が利いているためか、テレビ局は反発するどころか萎縮する。

 国民の知る権利が危機にある。

 2014年11月下旬、東京都内のある民放キー局。報道番組の放送開始まで10分を切ったスタッフルームに、緊張が走った。原稿を手に飛び込んできた政治部記者が指示を出す。

「この音を削れ」

 困惑するディレクター。オンエアまで残された時間はわずかだ。プロデューサーなどの制作責任者の判断を仰ぐ時間はなく、従うしかなかった。

 この年、11月21日に衆議院が解散され、総選挙がスタートしていた。削られた「音」は、街頭インタビューした街の声、数人分の映像だった。番組関係者によると、いずれも消費増税の先送りやアベノミクスに批判的なコメントだったという。

 同じ年の12月、報道番組の編集作業が行われていた局内の一室で、一人の編集マンがこんなことをつぶやいた。

「これ、ぼかしましょうか」

 特定秘密保護法が施行されたこの日、官邸前で抗議デモが行われていた。編集マンが指さしたその映像には、デモ参加者が手にした、安倍晋三首相の顔が描かれたプラカードがあった。

●放送法を持ち出し「明らかな脅し」

 この編集マンは、特定秘密保護法が国会で審議されていた当時の様子を映した「資料映像」の使用にも首をかしげたという。資料映像は、番組内で過去の出来事などを振り返る際に使う。このときは、安倍内閣の閣僚に、野党議員が論戦を挑んでいるものだった。

「この映像を使っていいのか」

 編集マンは一緒に作業をしていた記者に促されるまで、考えあぐねていたという。

 テレビ報道の現場に、安倍政権への「忖度(そんたく)」が広がっている。忖度は報道の自粛につながり、ジャーナリズムが担うべき権力の監視機能をむしばんでいく。

 こうした空気を生みだす原因の一つは、安倍政権のもとで繰り返される番組制作現場への口出しだ。

 14年11月26日の夕方、テレビ朝日に、1枚のファクスが送られてきた。宛名は〈「報道ステーション」担当プロデューサー殿〉。差出人には、自民党の当時の報道局長名が記されていた。

〈11月24日付「報道ステーション」放送に次のとおり要請いたします〉という表題に続き、番組内容について〈アベノミクスの効果が、大企業や富裕層のみに及び、それ以外の国民には及んでいないかのごとく(中略)報道がなされました〉と批判。さらに、意見が対立している問題は多角的に報じるべきとした放送法第4条4項を挙げ、〈同番組の編集及びスタジオの解説は十分な意を尽くしているとは言えません〉としている。

「放送法を持ち出してきていて、明らかな脅しと感じた。これまで電話で放送内容にクレームを言われることはあったが、文書による圧力はなかった。それまでの政権になかったことをやってきていた」(番組関係者)

●画面から消えた街頭インタビュー

 自民党が報道機関に圧力をかけた明白な証拠ではないのか。この文書の存在を報じた15年4月10日付の朝日新聞によると、自民党は「圧力ではない」と説明している。アエラがあらためて自民党に問い合わせると、「報道局長や職員が代わり、当時のことはわからない」(広報担当)という回答だった。

 一方のテレビ朝日は、「(文書を)受領したことは事実です」(広報部)と認めたうえで、番組制作への影響については「特定の個人・団体からの意見に左右されることはありません」(同)とアエラに回答した。

 自民党は問題のファクスを送る6日前、在京の各テレビキー局にも、総選挙報道を「公平中立」に行うよう求める別の文書を送っている。そのなかで、街頭インタビュー、資料映像などで一方的な意見に偏らない▽番組出演者の発言回数や時間、ゲスト出演者選びなどで公正を期す──などと求めていた。安倍首相がTBSの「NEWS23」に出演し、街頭インタビューの内容を取り上げ、

「全然、声反映されていません。おかしいじゃないですか」

 と声を荒らげた2日後の要請だった。

 要請は一見、公正な報道を望んでいるだけのように見える。だが、こうした政権与党による働きかけは、その後のテレビの選挙報道に一定の「効果」をもたらしている。

「街頭インタビューがテレビから消えた。因果関係の証明は難しいが、私は自民党の要請によって、番組内容に明らかな変化が起きたとみている」

 上智大学の水島宏明教授(テレビ報道論)はそう話す。水島氏は、衆議院の解散表明前日から選挙戦の最終日まで、NHKと民放各局の主な報道番組と、ワイドショーなどの情報番組の内容約710時間分を分析した。

●停波の可能性に言及した総務相

 すると、自民党が各局に文書を出した11月20日以降、民放のワイドショーなどで街頭インタビューがほぼ見られなくなったことがわかった。文書による要請前までは、各番組で放送されていたにもかかわらずだ。報道番組でも、局による違いが目立った。TBSとテレビ朝日では「街頭インタビューを意欲的に報道していた」(水島氏)が、日本テレビではまったく確認できなかったという。

「街の人たちの声や実感を聞いて伝えることは、テレビ報道の基本的な機能の一つ。選挙期間にそうした機能が失われてしまったことは、有権者にとってマイナスだった。しかし、街頭インタビューを放送して、一歩間違えれば自民党や政府が抗議してくるかもしれないと思えば、放送をやめてしまおうと考える番組制作者が出てきてもおかしくはない」(同)

 16年4月、日本政府の招きで表現の自由に関する国連特別報告者のデービッド・ケイ氏が来日した。約10日間の滞在で、数十人の報道機関の関係者、ジャーナリスト、研究者らと会い、日本のメディアや言論の自由の状況について調べたのだ。そのケイ氏が離日する際、会見でこんな指摘をしている。

「公平性を求める政府の圧力が、メディアの自己検閲を生み出している」

 滞在期間中、ケイ氏が面会を求めたが会えなかった人物がいた。高市早苗総務相だ。高市氏は2月8日の国会答弁で、放送局が政治的な公平性を欠く放送を繰り返したと判断した場合、放送法第4条に違反するとして、政府は「電波停止」を命じる可能性があると主張した。一方、ケイ氏は、政府のメディア規制の根拠になりうる放送法第4条の廃止を訴えている。

●オフレコ懇談で政治家が一斉批判

 立教大学の砂川浩慶教授(メディア論)もこう指摘する。

「放送法は、表現の自由をうたった憲法21条に基づいている。したがって、政治的公平性を判断基準にして、電波停止などの罰則を科すことができるとすれば、放送法は憲法違反になってしまう」

 砂川氏はさらに、自民党や安倍政権のメディア観を表す例として、15年4月17日に自民党の情報通信戦略調査会が、番組内容についての説明を求めるため、NHKとテレビ朝日の幹部を呼びつけたケースを挙げる。

「前代未聞で、あってはならないことだった。放送法第1条に掲げられた『放送による表現の自由を確保する』という目的は、行政府に対して求められている。本来ならば総務省は、公権力の介入という形で表現の自由を妨げた自民党に行政指導を行うべきだった。安倍政権や自民党の言動から垣間見えるのは、メディアは『悪』で、懲らしめるものという誤った価値観だ」

 毎日新聞社の岸井成格(しげただ)特別編集委員も、高市氏の「電波停止」発言に抗議する一人だ。発言を受けて、金平茂紀氏、田原総一朗氏、鳥越俊太郎氏といったジャーナリストとともに、日本記者クラブなどで緊急会見を行っている。

 TBS「NEWS23」のアンカーを務めていた岸井氏は、一部全国紙の意見広告で、番組中の発言に対する非難を浴びた。広告の呼びかけ人は、安倍氏のブレーンといわれる人物を含む、保守系の著述家らが中心だった。広告掲載から約4カ月後に番組を降板することになったため、さまざまな推測が飛び交った。

 岸井氏はこう話す。

「私に直接、圧力がかかるということはなかった。ただ後から、政権や与党の幹部が、番組の作り方について、不満や不快感を持っていたという情報は耳にした。執拗かつ巧妙。彼らのそんなやり方もわかってきた」

 たとえば、報道各社の記者と、政権や与党の幹部との間で行われるオフレコの懇談で「NEWS23の岸井の発言はおかしい」といった批判が一斉にとび出したことがあった。発言はオフレコなので表には出ないが、各記者はメモを作って上司らと共有する。すると、政権や与党幹部の考えが、報道機関の中枢にも静かに「浸透」していく。

 さまざまなルートで行われる、安倍政権によるメディアコントロール。その原点はどこにあるのか。

 政治部記者として活躍した岸井氏は、安倍首相の父、安倍晋太郎元外相の番記者を務めたこともあった。秘書などとして仕えていた若き安倍首相の姿も見ている。その岸井氏が、政治家として踏み出したばかりの安倍首相にとって「トラウマだったのではないか」とみる出来事がある。

●初当選の直後に「椿発言」問題

 1993年の総選挙後に発覚した「椿発言」問題だ。この選挙で自民党は下野し、55年体制が崩壊した。当時のテレビ朝日の椿貞良報道局長は、選挙報道にあたり「非自民政権誕生を意図して報道」するよう指示したと批判され、国会に証人喚問される事態にも発展した。この選挙で初当選を果たしたのが安倍首相だった。

「新人議員の目には、放送の怖さのようなものが印象づけられたのではないか」(岸井氏)

 それから23年の歳月が流れ、まもなく投票日を迎える参院選。前出の水島氏が、NHKと民放各局の報道番組を調べたところ、NHKが与党自民党を取り上げる時間が長い傾向にあるという。

 公示日に放送されたNHK「ニュース7」が顕著だった。水島氏が番組内のインタビュー時間を計った結果、自民党の安倍総裁が21分57秒だった。民進党の岡田克也代表は12分4秒、公明党の山口那津男代表は7分57秒、共産党の志位和夫委員長は7分と続き、最も短い新党改革の荒井広幸代表は44秒だった。

「公示から投票までのニュースでは、各党間で不平等な扱いをすると公職選挙法に違反する恐れがある。機械的に各党や候補の露出時間や発言機会を平等にするのが、民放では一般的だと思っていたので驚いた」

 と水島氏は言う。

 一方、NHKはアエラの取材に「公職選挙法に定められた選挙放送の番組編集の自由に基づいて、自主的に決めています」と回答した。ただ、

「露出時間が長いほど投票で支持を得やすいことは、研究でも明らかです」(水島氏)

 たび重なる安倍政権のメディアへの働きかけが、国民の知る権利を脅かす。

「執拗かつ巧妙」

 前出の岸井氏は、何度もそう繰り返した。(編集部・宮下直之)






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