格差階級社会をなくそう

平和な人権が尊重される社会を目指し、マスゴミに替わって不正、腐敗した社会を追求したい。

日中平和友好条約40周年に明治150年祝う愚

2018-10-25 22:26:32 | 植草一秀氏の『知られざる真実』


日中平和友好条約40周年に明治150年祝う愚
日中平和友好条約発効から満40年を迎えた10月23日、安倍首相は明治150年記念式典に出席した。

式典は政府主催で開催された。

現在の日本において重要なのは日中平和友好条約であり、政府が記念式典を開催するなら、その40周年の記念式典であるべきだ。

国民負担で明治150年式典を開催することに反対の主権者が多数存在すると考えられる。

もっとも安倍首相は日中平和友好条約40年の10月23日に中国を訪問することを予定していたが、中国政府から拒絶された。

このため10月25日に中国を訪問する。

背景には9月26日の日米首脳会談後に発表された共同声明がある。

第6項に以下の記述があった。

6.第三国の非市場指向型の政策や慣行から日米両国の企業や労働者を守るための協力を強化する。世界貿易機関(WTO)改革、電子商取引の議論を促進し、知的財産の収奪、強制的な技術移転、貿易を歪曲(わいきょく)する産業補助金、国有企業による歪曲化や過剰生産を含む不公正な貿易慣行に対処するため、日米または日米欧三極の協力を通じて緊密に作業していく。

この点について、米国のハガティ駐日大使が産経新聞のインタビューで次のように発言している。

「中国が行動を改める必要がある。日米が知的財産権侵害など不公平な貿易慣行に連携して取り組むとした共同声明を歓迎する」

日本は米国とともに、名指しこそしていないが、中国を批判する共同声明を発表したのである。

訪中を目前に控えて、このような行動を取れば、当然にそのリアクションが想定される。

日中が足並みを揃えて平和友好条約40周年を祝福する環境を進んで破壊する行為は建設的とは言えない。

共産党は「明治150年の前半は侵略戦争と植民地支配に向かった負の歴史。丸ごと祝い、肯定するような行事には参加できない」(小池晃書記局長)として欠席した。

天皇、皇后も出席しなかった。

宮内庁は「政府からお声がけがなかった」(西村泰彦次長)としている(ハフィントンポスト)。

明治の終着点が侵略戦争である。

1995年8月15日に、当時の村山富市首相が談話を発表した。

この談話で村山首相は日本を代表する立場で、

過去の植民地支配と侵略によって
多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた
痛切な反省の意を表し、
心からのお詫びの気持ちを表明

した。

これが日本政府の、過去の侵略戦争への基本姿勢である。

その侵略戦争は明治の延長上、終着点で取られた行為である。

安倍首相は明治を美化し、明治を肯定する姿勢を強調するが、私たちは明治維新氏を再検証する必要がある。

10月15日に開催したオールジャパン学習会
「私たちの命の源が危ない
 -水・種子・食の安全を守ろう!-」
https://bit.ly/2pXrr0V

で「社会的共通資本としての水」をテーマにご講演下さった拓殖大学の関良基教授は明治維新の研究者でもある。

『赤松小三郎ともう一つの明治維新
-テロに葬られた立憲主義の夢-』
https://amzn.to/2A2PxgI

という著書も刊行されている。

幕末の志士が日本を植民地化の危機から救った。

その主役が薩長である、との説が流布されてきたが、真実は異なる。

攘夷を主張した長州は1964年に英仏蘭米の四ヵ国連合と戦闘を行い,完膚なきまでにうちのめされた。

これ以降、長州は欧米の支配下に入り、欧米の指揮によって日本政府転覆を図ったというのが実体である。

公武合体で内戦は避けられたはずだが、武力による日本政府転覆を長州の背後で指揮した欧州金融資本が内戦を強行した。

欧州金融資本配下の長州が薩摩に指令して政府を転覆し、内乱勃発を強行したというのが真相である。

この暴力革命に抗したのが奥羽越列藩同盟だ。

明治維新氏を再検証することが強く求められている。





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安倍首相消費税増税指示が株価急落一因

2018-10-25 22:18:33 | 植草一秀氏の『知られざる真実』


安倍首相消費税増税指示が株価急落一因
内外株式市場で株価が急落しているが、その一因は日本にもある。

安倍首相は10月15日の臨時閣議で、2019年10月に消費税を予定通り10%に引き上げる考えを改めて示した。

菅官房長官は

「消費税率については、法律に定められたとおり、来年10月1日に現行の8%から10%に引き上げる予定であります。今回の引き上げ幅は2%ですが、前回の3%引き上げの経験を生かし、あらゆる施策を総動員し、経済に影響を及ぼさないよう全力で対応いたしてまいります」

と述べた。

しかし、その菅官房長官は10月7日のNHK番組で次のようにも述べている。

「消費税引き上げはリーマンショックのようなことがない限り実施する」

この言葉は、

「リーマンショックのようなことがあれば実施しない」

という意味だ。

安倍内閣は2016年6月に消費税増税を延期した。

2017年4月に延期していた消費税増税を、さらに1年半延期することを発表した。

このときに使った理由が「リーマンショックのようなこと」だった。

2016年5月の伊勢志摩サミットで安倍内閣は内外の経済金融情勢がリーマンショック前に似ているとした。

客観的に見れば、情勢は「リーマンショック後の」状況にやや類似するものだったが、これを理由に消費税増税再延期を決めた。

最大の理由は、「選挙があるから」だった。

選挙用のアピールとして「増税延期」が用いられた。

「リーマンショック」というのは、取って付けたような「口実」に過ぎなかった。

選挙対策に「増税延期」を使っただけである。

したがって、2019年も、再び「増税延期」が選挙に使われることになると考えられる。

しかし、今回は、「増税延期」を打ち出しても選挙に勝てないだろう。

野党がどのような政策を提示するのかにもよるが、野党は「消費税減税」、「消費税廃止」を打ち出すべきだ。

野党が「消費税減税」なら、安倍内閣が「消費税延期」のカードを切ってもインパクトはない。

そもそも、消費税増税政策が間違っていることを、日本の主権者は認識しなければならない。

以下の事実をすべての主権者が把握するべきだ。

1989年度と2016年度の税収構造の実態だ。

税収規模は1989年度が54.9兆円、2016年度が55.5兆円だった。

このなかで主要税目の税収が激変した。

所得税 21.4兆円 → 17.6兆円
法人税 19.0兆円 → 10.3兆円
消費税  3.3兆円 → 17.2兆円

法人税=9兆円減少、
所得税=4兆円減少、
消費税=14兆円増加
である。


消費税増税は法人税減税と所得税減税を実施するために強行実施されてきたのである。

財政再建や社会保障支出拡充のためではなかった。

したがって、これ以上、消費税を増税させることは断じて許されない。

消費税を減税して、所得税と法人税の負担を増加させるべきだ。

主権者は消費税減税・廃止を掲げる者のなかから選挙で支援する候補者を絞り込むべきだ。

「消費税減税連合」で来夏の国政選挙を戦うべきだ。

「リーマンショックのようなこと」は安倍首相の消費税増税指示によって発生している。

自ら創作する「リーマンショックのようなこと」で「消費税増税延期」は喜劇である。

安倍内閣の責任は重大だ。




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なぜ200万福島県民は2014年の前回知事選に続き『隠れ原発推進者』『隠れ自公推薦候補』の内堀雅雄を再度福島県知事に選ぶのか?

2018-10-25 10:52:25 | 杉並からの情報発信


■なぜ200万福島県民は2014年の前回知事選に続き『隠れ原発推進者』『隠れ自公推薦候補』の内堀雅雄を再度福島県知事に選ぶのか?

来週日曜日(2018.10.28)投開票予定の福島知事選では『隠れ自公推薦候補』の現職内堀雅雄知事が共産党を除く野党各党の『推薦』を受けて『当選』することになっている。

先の沖縄知事選挙(2018.10.14)では『オール沖縄』共闘が『辺野古米軍基地建設反対』を掲げた玉城デニー候補を野党統一候補に擁立して闘い【米軍基地推進】の自・公・維新・希望の候補者を8万票の大差で破り勝利した。

千葉県君津市長選(2018.10.14)と那覇市長選(2018.10.21)でも野党統一候補が自・公・維新・希望候補を打ち破って連勝している。

また福島県知事選と同じ10月28日に投開票される新潟市長選でも分裂した与党に対して野党統一候補が勝利すると予想される。

このような地方での『安倍自公政権拒否』の大きな流れの中で、なぜ福島知事選挙だけは『オール福島』共闘が組織できず『原発反対』の野党統一候補を擁立できなかったのか?
なぜ200万福島県民は、2014年の前回知事選に続き『311福島原発大事故』のA級戦犯・
佐藤雄平元知事の副知事だった原発推進者・内堀雅雄を再度福島県知事に選ぶのか?

以下に再掲する記事は私が2015年9月17日に配信したブログ記事だが、ここに書かれた重大問題はいまだ何一つ解決されず、安倍自公政権と内堀福島県政による「復興・創生・オリンピック」の大宣伝と世論誘導によって意図的にかき消されているのだ!

【該当ブログ記事】

▲(再掲) 200万福島県民に訴える!

2015年09月17日 ブログ『杉並からの情報発信です』

https://blog.goo.ne.jp/yampr7/e/d29ec3caacf8bc696deb7fedd9a0128d

なぜ200万福島県民は、安倍自公政権と内堀福島県政が除染後住民を強制帰村させ、放射能被ばくと放射能汚染を未来永劫続けさせる【棄民政策】を
強要していることに対して、徹底的に抵抗し、拒絶し、安倍自公ファシスト政権と内堀福島県政打倒の闘いに決起しないのか?
なぜ200万福島県民は、自分や子供や家族が毎日被ばくにさらされ汚染食品を食べさせられている現状を甘んじて受け入れているのか?

なぜ200万福島県民は、小児性甲状腺ガンを発症した娘や息子を依然として空間線量の高い福島県内に住まわ県外移住しないのか?

なぜ200万福島県民は、小児性甲状腺ガンの発症率が通常の100倍以上と言う現実を否定し、小児性甲状腺ガンと福島第一原発事故との因果関係を
否定する福島県立医科大の山下俊一副学長以下全ての医者と内堀福島県知事と県幹部及び棄民政策を指示する県議会与党政治家たちを刑事告訴せず野放
しにしているのか?

なぜ200万福島県民は、ウランに猛毒のプルトニュームを混ぜたモックス燃料を日本で初めて許可し福島第一原発第3号炉で稼働させたA級戦犯の佐藤雄平前知事を刑事告訴しないで優雅な引退生活を許しているのか?

なぜ200万福島県民は、昨年2014年11月26日の福島知事選でA級戦犯佐藤雄平前知事の後継者で副知事を務め原発推進の共犯者・内堀雅雄を新知事に選んだのか?

なぜ200万福島県民は、【棄民政策】を強行する安倍自公ファシスト政権と内堀福島県政と福島県立医科大を打倒し解体する闘に決起しないのか?

200万福島県民は、福島県東部の太平洋岸の狭い土地に東京電力が10機もの原発(F1に6機、F2に4機)を建設したのか、その真の理由がわ
かっているのか?

それは、江戸幕府に最後まで忠誠を尽くし官軍に最後まで抵抗した賊軍・会津藩に対する長州藩=戦後の歴代自民党政権による100年後の懲罰・報復
なのだ!

それは、新幹線郡山駅から会津若松駅まで今でも単線のローカル線しか走っていないのと同じ懲罰・報復なのだ!

200万福島県民は、2011年3月11日のマグニチュード9の大地震に襲われた直後の大津波で、原発の全電源が喪失し福島第一原発一号炉、二号
炉、三号炉の核燃料計270トンがメルトダウン、メルトスルー、メルトアウトして、現在も大量の放射性物質を空気中と地下水と太平洋に遺漏し続け
ていること知っているのか?

200万福島県民は、政府や県やエイトス民間団体が煽る『原発事故は既に収束した!福島県にはもはや放射能被ばくや放射能汚染の心配はない!』と
いう大うそキャンペーンに騙されてはいけないのだ!

200万福島県民は、自分たちをこのように【棄民】している元凶は、辺野古への米軍基地移転強行で沖縄県民を【棄民】し、【戦争法案】強行成立と【アベノミックス】の強行で日本国民全体を【棄民】する安倍自ファシスト公政権とその一味であることを理解しなければならないのだ!

200万福島県民は、内堀福島県政と福島県議会や市町村議会の自公政治家と福島県立医科大の医者たちは、安倍自ファシスト公政権の【棄民政策】に協力する共犯者であることを理解しなければならないのだ!

200万福島県民は、安倍晋三に対して以下の三つを要求すべきだ!

①200万人の福島県民全員を安全な土地に移住させ生活の再建と職場の確保とインフラ整備を全額国費で賄うこと。

②福島原発一号炉、二号炉、三号炉のメルトダウン、メルトスルー、メルトアウトした核燃料計270トンの完全封じ込めをいくら金がかかってもやりきること。

③川内原発の再稼働を直ちに中止し日本の原発すべてを廃炉すること。

【関連記事】

▲「福島県知事選」11日告示 現職に新人3氏が挑む構図

2018年10月11日 福島民友

http://www.minyu-net.com/news/senkyo/FM20181011-314915.php

任期満了に伴う知事選は11日告示され、28日の投開票に向け17日間の選挙戦に入る。いずれも無所属で、現職の内堀雅雄氏(54)=福島市、新人で共産党県委員長の町田和史氏(41)=同、新人で自営業の金山屯氏(78)=白河市、新人でIT関連会社社長の高橋翔氏(30)=葛尾村=の4氏が立候補を予定。再選を目指す内堀氏に、県政の転換、刷新を訴える新人3氏が挑む構図が確実な情勢だ。

今回の知事選は、内堀県政1期4年の評価や復興の針路、人口減少社会の県づくりなどを巡り論戦が展開される見通し。「18歳選挙権」導入後初めての知事選で、若い世代の関心を引き付けられるかなども焦点になりそうだ。

内堀氏は復興再生など八つの基本政策に30項目の取り組みを示し、「復興・創生をさらに進化させ、加速させる」と訴える。避難地域の確実な復興推進や福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想の進化などを掲げ、健康長寿や外国人観光客の増加などに注力するとしている。町田氏は「国や東京電力に県民の立場ではっきりものが言える県政が必要だ」と主張、安倍政権との向き合い方などで現県政への批判を強める。原発ゼロや原発事故による処理水の海洋放出反対、学校給食費の無料、子どもの貧困対策などを公約に示し、安倍政権への反対姿勢を前面に出す。

金山氏は「子どもが古里に誇りを持てる県づくり」と力説、公約には県庁の郡山市移転などを掲げる。

高橋氏は教育や産業人材育成を公約に示し「子どもたちの道しるべとなる施策が必要だ」と訴える。

内堀氏は特定の政党の推薦を受けないが、共産党を除く各党や連合福島が支援に回る。町田氏は共産党の推薦を受け、同党県委員会や県労連などでつくる「みんなで新しい県政をつくる会」の支援を受ける。金山、高橋両氏は特定の政党、団体の支援を受けずに選挙戦を展開する方針。

立候補は11日午前8時30分から県庁で受け付ける。4氏は立候補の届け出を済ませた後、いずれも福島市で第一声を放つ。

(終わり)






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臨時国会に提出されている水道法改定案 水道民営化を促進する内容

2018-10-25 07:29:54 | 杉並からの情報発信


臨時国会に提出されている水道法改定案 水道民営化を促進する内容

2018年10月19日 長周新聞

https://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/9637

水道民営化を促進する水道法改悪案が、24日召集の臨時国会で再び焦点になろうとしている。安倍政府が夏の国会で成立を目指して衆院は通過させたものの、一旦断念に追い込まれたため、再度成立を狙っているからだ。現在、国会に提出されている水道法改定の内容について、主な経緯と実態を見てみた。

日本の水道は蛇口をひねれば、いつでも安全な飲み水が24時間出てくる。しかも水道普及率は約98%に及んでいる。世界で21億人が安全な飲み水を手に入れられずに困っている現状があり、世界の約8割の国が「水道水は飲めない国」と見なされているのと比べて極めて恵まれた状態といえる。それは日本の水資源の豊かさとともに、先人たちが築き上げてきた公的な浄水施設、さらには全国を結ぶ水道管網がいかに世界で先駆的かを示している。

だが2000年代以後、この水道管の老朽化が進み耐用年数をこえた管が増え続けている現実に対して、どのような対応をとるのかが大きな問題になってきた。本来は国や行政あげて設備更新を進めるべき問題で、このときから計画的に水道管の更新を続けていたなら、安定した給水体制が長期にわたって維持できるはずだった。

しかし日本は真逆の道を進んでいった。地方自治体のコスト削減を進めるため、水道事業分野を独立採算にして守備範囲を広域化し、人員削減や管理維持費削減に拍車をかけた。そして小泉改革で「郵政民営化」とともにうち出したのが、水道事業を企業に売り渡してしまう「水道民営化」だった。2001年に第1次小泉政府がおこなった水道法改定では、水道の民間委託を可能にする内容を盛り込んでいた。

ところが外国企業はこの「水道民営化」のときは、積極的な参入姿勢を示さなかった。業務を丸ごと請け負う「業務委託」の場合、台風、地震、豪雨など自然災害で水道関連施設が破損したり、老朽化した水道管が壊れれば、そのたびにばく大な施設復旧費が必要になるからだ。このとき外国資本の要求に基づき、PFI法改定案を成立(2011年5月)させたのは民主党・菅政府だった。そしてここに盛り込んだのが、水道施設は自治体所有のままにして、運営だけ民間委託する「コンセッション方式」だった。

従来の業務委託は

【水道事業運営】
地方自治体

【水道施設所有】
 地方自治体

【民間企業の業務】
 検針、料金徴収、ポン プ場経営等

【契約期間】
 一年ごとに更新

【企業の裁量範囲】

 業務委託契約の範囲内

【運営原資】

 自治体からの委託料

となっていた。

それは自治体があらかじめ定めた委託料の範囲内で部分的に水道事業を請け負う制度で、自治体が主導するコスト削減に寄与する側面の方が大きかった。そのため営利を目的にする民間企業が参入しても「うまみ」が少ない制度だった。

それを新たに導入したコンセッション方式で大きく変えた。コンセッション方式の規定は

【水道事業運営】
民間企業

【水道施設所有】
 地方自治体
【民間企業の業務】
 水道事業すべてを運営

【契約期間】
 15年以上の長期間も認める

【企業の裁量範囲】
 すべての業務

【運営原資】
 水道料金
 
となった。

施設所有者としての自治体の責任を明記したまま水道事業全体を丸投げすることを認めたため、仮に災害で水道施設が破損しても修理費用の多くの部分を自治体が負担する体制になり、運営企業は利益を確保しやすくなった。しかも運営原資を「水道料金」に変え、民間企業が水道料金の値段を決めることも認めた。こうした制度改定によって、事業参入する水メジャーが現れた。2012年3月には、仏ヴェオリア社の日本法人が松山市の浄水場運営権(契約期間は5年)を手に入れた。

だが今度は民間企業が参入に意欲を示し、水道事業の民間開放を推進する自治体首長が旗を振っても、議会が徹底抗戦して否決するケースがあいついだ。

大阪市では2014年4月に橋下徹市長(当時)が、水道事業の運営権(30年)を民間企業に売却する方針を発表したが何度も頓挫した。当初、売却先の民間企業は「市が全額出資する企業」と規定していたが、それでも水道料値上げや水質悪化を懸念する声が高まり市議会が方針案を否決した。後任の吉村洋文市長が昨年3月に再提案したがそれも廃案になっている。奈良市でも上下水道のコンセッション方式導入に向けた条例改正案が審議されたが、市議会が否決している。

こうしたなか、国主導で水道民営化を促進するために持ち出されたのが先の国会で成立させたPFI法改定案であり、臨時国会で再度審議される水道法改定案である。それは今後日本の水市場に参入することを虎視眈眈と狙う水メジャーの要求に沿った内容だった。

安倍政府が今年6月に成立させたPFI改定法ではこれまで、上下水道や公共施設の運営権売却について「地方議会の議決が必要」としていた規定を「地方議会の議決は不要」とした。こうすれば市民から突き上げられて議会がいくら反対しても、水道事業民営化を実行することが可能になるからだ。行政の承認が必要だった料金改定についても、企業側が届け出るだけで「手続完了」とみなし、行政機関がこれまでの常識的な規準に則って指導することすら認めない仕組みに変えた。しかも水道は「原価総括方式」をとっているため、役員報酬や法人税などもみな水道料金に上乗せすることができる。それは企業の役員報酬まで「水道料金」として住民から徴収することを認める内容だった。
また災害時の水道施設復旧、国民への水の安定供給の責任は自治体が負うことも規定した。災害で水道施設が壊れた場合はそれぞれの自治体に復旧費がのしかかる。その原資は市民が収める税金である。

こうして議会の承認も得ぬまま水道事業を民営化することを可能にし、行政の承認も得ずに企業側の言い値で料金を設定できるようにした。それは水道施設の維持管理など面倒で経費がかかる業務はみな既存自治体に押しつけ、海の向こうからやって来た大手水メジャーが、日本の水市場略奪に専念できる足場をつくるものだった。

さらに水道民営化を促進するため、企業に運営権を売った自治体には、借金返済を軽減(地方債の元本一括繰り上げ返済のとき、利息を最大で全額免除)する特典もつけた。水道民営化を渋る自治体には高い利息をかぶせ、水道民営化を進める自治体は利息を免除するという、露骨な水道民営化推進策だった。このPFI法成立を受けて大阪市、宮城県、浜松市などで水道事業民営化の動きが加速している。

水道施設を保有したまま運営権を売る自治体が増え始めると、今度は「水ビジネスの大規模化」やさらなる水道料金規定の緩和に乗り出した。先の国会で、衆院通過後に一旦成立断念に追い込まれた水道法改定案は「水道事業の保護・育成」をうたう水道法の目的を変え、水道事業を参入企業によるビジネスの場へ全面転換させることが狙いである。

これまでの水道法は「法律の目的」の項に「水道を計画的に整備し、及び水道事業を保護育成する」と明記していた。だが今回の改定では、この「水道事業を保護育成する」という文面を削除し「水道の基盤を強化する」とした。そして水道事業者の役割を「事業の基盤強化」だと規定し、この事業を強化するために「国は広域連携を含む水道の基盤を強化するための基本方針を定める」と明記した。

水道料金の規定も「料金が、能率的な経営の下における適正な原価に照らし公正妥当なものであること」(第一四条一項)としていたのを「健全な経営を確保することができる公正妥当なものであること」と変更している。「適正な原価に照らし公正妥当な料金」を、「健全な経営を確保するため公正妥当な料金」に変えることによって、今後、企業の利益確保に必要な水道料金値上げを無制限で認める内容を盛り込んだのが特徴である。

この水道法改定をめぐって、水道事業に携わる労働者で組織する全日本水道労働組合(全水道)は10月5日、「生命(いのち)の水を守り、地域の水を守る決議」を中央委員会で決議している。

そこでは水道法改定とPFI改定法について「地域の自治や水を脅かす」と指摘し「最後まで広範で充実した審議を求める」としている。また「これまでは、国会内でのとりくみがメインであったが、今後は地域における“住民自治”や“地域水道”を守る局地戦を展開することになり、各単組それぞれがその地域住民と連帯し、知恵を絞った対抗軸の構築に専心しなければならない」とし、「“事業費の削減”を前提としたコンセッションは、金利や提案経費などのPFI固定経費を考えれば、“100%市民のためにならない”と断言できる」と指摘している。そして水道事業への「日本版コンセッション」導入について「世界の破綻したPFI構造と同根」であり、「外資参入におけるISDS問題なども内包する危険」であるとのべ、このコンセッションに対し「国・地方を貫いて大きく警鐘を鳴らし闘う」と結んでいる。

水道法改定をめぐっては、昨年3月に閣議決定した水道法改定案を昨年9月、廃案に追い込んでいる。その後安倍政府は、PFI改定法を成立させ、夏の国会で再度水道法改定案成立を目論んだが、衆議通過にとどまり、法案成立は頓挫した。それは国民の生活維持に欠かせぬ「水事業」を、外資に売りとばす動きを認めぬ頑強な世論が全国的に存在することを示している。こうしたなかで水道法改定案が臨時国会で再び焦点になる。外国資本の要求を丸呑みして、公的インフラの売り飛ばしを進める安倍政府に対し、安全な水を安定供給する体制の堅持を求める全国民的な力を突きつけることが求められている。

(終わり)



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