前泊博盛著「日米地位協定」(創元社\1500)は全国民の必読書だ②
1951年年9月8日米サンフランシスコで一見日本にとって寛大に見える「サ
ンフランシスコ講和条約」の調印を餌にして、米国は「日米安保条約 (旧)」
と「日米行政協定」を強制的に締結させた。米国の真の目的は日本全土を米軍の
「潜在的基地」とすることであった。
【重要な指摘②】
・首都圏にある巨大な米軍の支配空域
左ページの図を見てください。一都八県(東京都、栃木県、群馬県、埼玉県、神
奈川県、新潟県、山梨県、静岡県)の上空が、そのままスッポリと米軍 の巨大
な支配空域になっていることがわかります。これが「横田ラプコン」で、この空
域を管理しているのが東京都福生市にある米軍・横田基地です。
・図の手前の方を見てもらうと、羽田空港がありますね。そこから三本の矢印が
出ています。これが羽田空港から大阪などの西方面へ向かう、目的地別 の飛行
ルートです。どのルートを通る飛行機も、4000-5500メートルの高さが
ある「横田ラプコン」を超えるために、一度房総半島(千葉)方 面に離陸し
て、急旋回と急上昇を行わなければならないことがわかります。
・そのため利用者は、本来は不要な燃料経費を価格に転嫁されたり、時間のロス
を強いられたりしているのです。何より見逃せないのは、こうした非常 に狭い
空域を不自然に急旋回・急上昇して飛ばなければならないため、航空機同士のニ
アミスが発生するなど、危険性が高くなっているということで す。
・日本の首都である東京は、こうした巨大な外国軍の支配空域によって上空を制
圧されています。この図に、63ページの地図を重ねてみてください。 横田、
座間、厚木、横須賀と、都心から3-40キロ圏ネイに、まるで首都東京を取り
囲むような形で米軍基地が存在しているのです。さすがにこんな 国は世界中探
してもどこにもないでしょう。
・すでにふれたように、こうした世界的に見ても極めて異常な状態にある首都東
京の知事が、そのことも解決できないうちに、なぜかはるか遠くの東京 都とは
何尾関係もない小さな無人島(尖閣諸島)の件で、「愛国心」をあおって自分の
政治的立場を強化する。私たちはそうしたことの可笑しさに、す ぐに気づくこ
とができるようになる必要があります。
・本当の愛国者なら、すでに自国が現実に支配(実効支配)している無人島につ
いて問題を提起するよりも、まず首都圏の全域の上空に広がる外国軍の 支配空
域について返還交渉を片付けることの方が、もちろん優先順位が高いはずだから
です。
【重要な指摘①】
・「日米地位協定 第九条2項:合衆国軍隊(米軍)の構成員は、旅券(パス
ポート)及び査証(ビザ)に関する日本国の法令の適用から除外される。 合衆
国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族は、外国人の登録及び管理に関する
日本国の法令の適用から除外される。
・(横田、厚木、座間、横須賀米軍基地によって)首都圏がこれほど外国軍に
よって占領されているのは、おそらく世界で日本だけでしょう。
・このことは、国全体が「安保村」と言うべき日本の言論空間ではタブーになっ
ていますが、実は非常に単純な話なのです。首都圏に外国軍隊がいれ ば、なに
かあった時にはすぐに首都が制圧されてします。いくら外交で頑張ろうとして
も、ぎりぎり最後のトこれでは、絶対には刃向うことはできない わけです。
・特に横田基地は首都圏にあり、後で触れるように首都圏の上空にも「横田ラプ
コン」と言われる、一都八県の上空をおおう巨大な米軍の管理空域があ ります
(Rapcon:
radar approach control)
・元外務官僚の天木直人しも、外務省時代、安保条約についてはこれさい読んで
おけばうよいといわれた条約課長の書いた解説書(小冊子)の中に、 「アメリ
カが日本を守ってくれるかなどという疑問をもつこと自体、アメリカに対して失
礼である」と書いてあったので、非常に驚いたとのべていま す。
・そうした外務省をはじめとする日本のトップエリートたちの思考停止状態はお
そらく、この首都にある米軍基地の問題も大きいのだと思います。
・旧安保条約が調印される正確な場所と時間が日本側に伝えられたのは、ちょう
どその時でした。「八日正午、安保の署名はサンフランシスコ市のはず れにあ
の米第六兵団プレシデイオ(陸軍施設)で午後5時に行いたいとアメリカ側から通
知があった。調印式の2時間前に安保条約の全文が発表され た。
・こうして旧安保条約は、調印式の直前まで内容も調印する日時も誰も知らない
事実上の密約として結ばれることになります。
・そもそも条約というのは、国会で審議することを義務付けているのですが、吉
田はだれに聞かれても、安保条約は「交渉中」としてまともに議論させ ません
でした。
・講和条約を調印した同じ日に巨大な特権を認めた旧安保条約を、完全に国民の
眼から隠し続けたまま、調印したのです。
・「だからアメリカは、日本から確実に基地の権利を獲得するために、寛大な講
和条約を用意したのだ」(ダレス国務省顧問)
・アメリカが日米安保条約で実現したかった目的は、日本全土を米軍の「潜在的
基地」とすること、米軍は日本国内のどんな場所でも基地にする権利が あるこ
とを認めさせることだった。
・「サンフランシスコ講和条約第六条(a)前半」:連合国のすべての占領軍は、
この条約の効力発生後、なるべく速やかに、かついかなる場合にもそ の後90
日以内に、日本国から撤退しなければならない(後略)
・「ポッダム宣言第12項」:以上列挙した占領軍の目的が達成され、さらに日
本国民の自由に表記された意思にしたがって、平和な傾向を持つ責任あ る政府
が樹立されたとこは、連合国の占領軍は直ちに日本国より撤退する。
・「サンフランシスコ講和条約第六条(a)後半」:(前略)ただしこの規定は、一
または二以上の連合国を一方とし、日本国を他方都市て双方の間に 締結された
もしくは締結される二国間もしくは多国間の協定にもとづく、またその結果とし
ての外国軍隊の日本国の領域における駐屯または駐留を妨げ るものではない。
(3)新企画:今日本に一番必要なのは「独立」と「革命」と「真の主権在民社
会」だ!
1000万人の賢明で自立した国民は3つの目標を実現するために新たな政治勢
力、たとえば新党「日本独立革命党」を結成し「革命」を起こすべきで しょう。
①米国から「完全に独立」すること。
フィリッピンは1986年の「反マルコス・アキノ革命」で「外国軍隊の駐留禁止」
条項を憲法に追加したた。その結果米軍は極東最大のクラーク米空 軍基地をは
じめとするすべての米軍基地と米軍人を完全に撤退させざるを得なかった。
「99%の日本国民」は米国に「日米安保条約」と「日米地位協定」の破棄を通
告できる政治家と政党を育成しなければならない。破棄通告後一年で米 国はす
べての在日米軍基地と米軍人を完全に撤退させねばならなくなる。
「99%の日本国民」はフィリッピンのように「日本国憲法第9条」の第三項に
「日本の領土内での外国軍隊の駐留禁止」条項を追加する必要がある。