平成30年度税制改正での所得拡大促進税制の改正点

2018年12月25日 | 税制改正

おはようございます。平成最後の年末年始を迎えようとしております。
皆様お忙しい中 ブログをご覧いただきましてありがとうございます。
■決算月(12月) 棚卸,買掛金,未払経費,売掛金,の整理 ■年末調整 ■源泉所得税の納付 ■入退社の手続き
営業の方はもちろん 総務 経理の方も年度末は業務がたくさんあり年内完結させるのに大変です。

本日BLOGのテーマは所得拡大促進税制の改正点の確認です。
税金においてここ数年において 雇用促進を努力した事業主には税金をおまけするという傾向にあり私たちが皆様の確定申告をするに当たり
重要ポイントになっています。

さて
平成30年度税制改正で、所得拡大促進税制が改正されています。この税制は、青色申告書を提出している法人又は個人事業主が、
従業員の給与を増加させた場合に、その増加額の一部を法人税又は所得税から控除できるものです。改正前の制度と比較すると、
適用要件が緩和され、税額の控除率が引き上げられました。また、上乗せ措置が創設され、適用できる場合はさらに控除率がアップ
します。この機会に、利益がでているようなら 従業員の給与増額や社員教育を考えてみませんか?

改正後の制度概要(平成30年4月1日~平成33年(新年号に引き継がれます)3月31日までに開始する事業年度が対象)

【通常の場合】  
要件 控除額

・給与総額*1が前年度以上
・継続雇用者*2が給与等支給額が前年度比で1.5%以上増加

前年度から増加した給与総額*1の15%を
税額控除(当期の税額の20%が上限)

 

【上乗せの場合】  
要件 控除額
・給与総額*1が前年度以上
・継続雇用者*2給与等支給額が前年度比で2.5%以上増加
さらに、以下のいづれかを満たす必要があります。
1、適用年度における教育訓練費の額が、前事業年度と比べて
10%以上増加している事。
2、適用年度終了日までに中小企業等経営強化法に基づく経営力向上計画の認定を受けており、経営力向上が確実に行われたことにつき証明がなされている事。

前年度から増加した給与総額*1の25%を税額控除
(当期の税額の20%上限)

 

*教育訓練の対象者は従業員で、役員又は個人事業主は対象外となります。対象となる教育訓練費は外部講師への研修委託費や、外部研修会の参加費
、大学の授業料、資格試験代など、職務に必要な技術、知識習得又は向上のための費用です。外部講師への旅費宿泊代は対象内ですが、従業員の研修時への旅費宿泊代は対象外となります。

*1  給与総額とは...継続雇用者に限らず、すべての国内雇用者に支払った給与等の総額を指します。(法人役員及び役員の親族又は個人事業主の親族を除きます。)

*2  継続雇用とは...前事業年度及び適用事業年度のすべての月分の給与の支給を受けた国内雇用者のうち、雇用保険の一般被保険者であり、定年後の
再雇用で無い雇用者を指します。

 

税理士法人 恒輝 福田税務/労務合同事務所では皆様の税務労務に関するご相談を日々お受けしております。

来年も皆様のお役に立てますように 皆で頑張ってまいります! 皆様と共存共栄⇒強存強栄を目指します!

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                                                            監査部マネージャー


貸付事業用の小規模宅地特例に関する税制改正

2018年12月10日 | 税務情報(資産税)

師走を迎え、なにかと気ぜわしい毎日ですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。

 

 今回のテーマは、貸付事業用の小規模宅地特例に関する税制改正です。

高齢化社会を迎え相続に備える動きが顕著となり、相続対策で賃貸物件(マンション・アポート)を建築・購入したという話を、身近でもよく聞くようになったのではないでしょうか。

賃貸物件にすると、相続又は遺贈(以後、「相続等」)の際、貸付事業用の小規模宅地特例を使えるので、相続税を大きく減額させる効果があります。

しかし、近年、この効果に目を付けて、相続税を減額させる目的だけで賃貸物件を建築・購入する方がかなり増えてしまいました。

そこで、平成30年度税制改正で、この特例の条件が厳しくなりました。

具体的には、平成30年4月1日以後に相続等により取得した賃貸物件で、相続等の開始前3年以内に新規オープンした賃貸物件(以後、「3年以内貸付宅地等」)には、この特例が使えなくなりました。

 

ここで、まず、前提としての賃貸物件の相続税減額効果について、説明します。

細かい話は省略すると、相続税は不動産などの財産評価額に税率を掛けて計算されます。

ですので、財産評価額が低くなれば、相続税は減額されます。

以下で賃貸物件の財産評価額(相続税減額効果)に関して、通常の賃貸物件の評価額と貸付事業用の小規模宅地特例に分けて説明します。

 

<通常の賃貸物件の評価額>

(土地)

所有する土地の上に建物を建築し、他人に貸し付けている場合、賃貸物件の土地は

通常の土地評価額×(1-借地権割合×借家権割合(30%)×賃貸割合)

で計算されます。

上記計算式のかっこ内のパーセンテージが低ければ、土地の評価額は少なくなります。借地権割合については土地に応じて30~90%まで決まっていますので、入居率を示す賃貸割合が高ければ、かっこ内のパーセンテージが低くなります。

このように、自家用の土地の評価と比べ、かっこ内のパーセンテージの分だけ賃貸物件の土地の評価額は減額されます。

(建物)

賃貸物件の建物は、

固定資産税評価額-固定資産税評価額×借家権割合(30%)×賃貸割合

で計算されますので、自家用の建物の評価と比べ、固定資産税評価額×借家権割合(30%)×賃貸割合の分だけ賃貸物件の建物の評価額が減額されます。

 

<貸付事業用の小規模宅地特例>

上記土地の評価に加えて、貸付事業用の小規模宅地特例を利用すると、賃貸物件の土地の評価額はさらに減額されます。

貸付事業用の小規模宅地特例とは、賃貸物件の土地は、200㎡までは50%減で評価できるというものです。

ですので、この特例が利用できないと、賃貸物件の土地評価額の減額幅は小さいものとなり、相続税減額効果が十分に得られない結果となってしまいます。

 

このように、平成30年度税制改正では、貸付事業用の小規模宅地特例の利用に一定の制限をかけて、相続税の減額に歯止めをかけようとしました。

ただし、平成30年度税制改正前から貸付事業を行っていた方を制限するのは酷なので、平成30年3月31日までの賃貸物件については、3年以内貸付宅地等に該当しないものとする経過措置が設けられています。

また、従来から貸付事業に本腰をいれているような方を制限するのは酷なので、相続開始の日まで事業的規模(貸家5棟以上、アパート・マンション10室以上、駐車場50台以上)で3年超の期間、貸付事業を行っている方の場合も該当しないものとされています。

 

以上より、今後は貸付事業を3年超しているかどうかで、貸付事業用の小規模宅地特例の利用の可否が決まってくるので、賃貸物件の建築・購入を検討する場合、早い段階から計画的に行うことが望ましいといえます。

相続開始時期(死亡時期)がいつになるかを予想するのは難しいので、利用の可否は運に左右される部分も大きいとは思いますが、早めの対応が利用の可能性を高めてくれるとだけは言えると思います。

 

弊所でも、相続対策のお手伝いができるようにシミュレーション等を行っておりますので、ご検討の際はよろしくお願いいたします。

 

監査部 波多江


国税庁の「仮想通貨関係FAQ」公表について

2018年12月03日 | 税務情報(個人関係)

国税庁は21日、仮想通貨の利用者の取引結果をまとめた「年間取引報告書」を国内の仮想通貨取引所が発行し、来年1月末をめどに一人一人に送付すると発表した。

 

 所得計算が大幅に簡略化され、納税時の利便性が向上するという。

 

 仮想通貨の売却で得た利益は「雑所得」となり課税対象。サラリーマンの場合、利益が20万円を超えると確定申告が必要になるが、頻繁に売買すると複雑な所得計算をしなければならない。

 

 国税庁が取引所の業界団体と設置した研究会では、利用者ごとの報告書発行で合意。1年間の取引結果をまとめた書類が各取引所から本人宛てに送られる。記載されたデータを国税庁ホームページ(HP)の計算表に入力すると、所得金額を簡単に算出できるという。

 

■参照:「11/21(水)配信 時事通信」

 

 

 

国税庁では、仮想通貨取引に関する所得について、納税者自身による適正な納税義務の履行を後押しする環境整備を図るため、本年4月以降、6回にわたり「仮想通貨取引等に係る申告等の環境整備に関する研究会」を開催してきたところです。

 

本研究会では、仮想通貨交換業者を所管する金融庁や仮想通貨関連団体の出席・協力も得つつ、各仮想通貨交換業者の実態等を確認した上で、正確な所得計算のための年間取引報告書などを交換業者から顧客へ提供できるようにするなどの申告利便向上策を検討してきました。

 

本研究会での議論の結果を踏まえ、簡便に所得計算をすることができる様式や方法、相続時における仮想通貨の評価方法などに加え、研究会以外で国税当局にお問合せ等のあった事項をまとめた「仮想通貨関係FAQ」を公表することとしました。

 

また、併せて、納税者が年間取引報告書の内容等に基づき入力することにより、申告に必要な所得金額等が自動計算される「仮想通貨の計算書」を国税庁ホームページで公開いたします。これらの施策について、各仮想通貨関連団体を通じて各交換業者や利用者へ周知するなど、仮想通貨取引の適正な申告に向けて取り組んでまいります。

 

国税庁では、このように、納税者自身による適正な納税義務の履行を後押しする環境整備を図り、周知・広報を行うとともに、様々な機会を捉えて課税上有効な資料収集に努め、申告のなかった方も含め、課税上問題があると認められる場合には、様々な方法で是正を促すなど、仮想通貨取引の適正な申告に向けて積極的に取り組んでまいります。

 

■参照 「国税庁HP 仮想通貨関係FAQの公表について」

https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2018/faq/index.htm

 

 

 

 

参照 「国税庁HP 仮想通貨関係FAQの公表について」

https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2018/faq/index.htm

 

 

先日、東京国税局は仮想通貨を取引した男性会社員に約5,000万円の申告漏れを指摘、約2,400万円を追徴した。というニュースも出てきているため、売買している方は申告漏れがないよう気を付けて頂きたいと思います。

 

 

監査部2課

柴田


2018年 年末調整(配偶者控除変更について)

2018年11月19日 | 税制改正

皆様いかがお過ごしでしょうか。さて早いもので今年も年末調整の季節となりました。今年から配偶者控除に変更がありましたので、ここに紹介致します

 

[平成30年4月1日現在法令等]

1 配偶者控除の概要

 納税者に所得税法上の控除対象配偶者がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられます。これを配偶者控除といいます。

2 控除対象配偶者となる人の範囲

 控除対象配偶者とは、その年の12月31日の現況で、次の四つの要件のすべてに当てはまる人です。

 なお、平成30年分以後は、控除を受ける納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合は、配偶者控除は受けられません。

 (1) 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません。)。

 (2) 納税者と生計を一にしていること。

 (3) 年間の合計所得金額が38万円以下であること。
 (給与のみの場合は給与収入が103万円以下)

 (4) 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。

3 配偶者控除額の金額

 控除額は、控除を受ける納税者本人の合計所得金額、及び控除対象配偶者の年齢により次の表のとおりになります。

控除を受ける納税者本人の
合計所得金額

控除額

一般の控除対象配偶者

老人控除対象配偶者(※)

900万円以下

38万円

48万円

900万円超950万円以下

26万円

32万円

950万円超1,000万円以下

13万円

16万円

(注) 老人控除対象配偶者とは、控除対象配偶者のうち、その年12月31日現在の年齢が70歳以上の人をいいます。
 なお、配偶者が障害者の場合には、配偶者控除の他に障害者控除27万円(特別障害者の場合は40万円、同居特別障害者の場合は75万円)が控除できます。

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4 その他

 配偶者控除の適用がない方で、納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下であり、かつ、配偶者の合計所得金額が38万円超123万円以下である方については、配偶者特別控除の適用を受けることができます。また、配偶者特別控除額は最高で38万円ですが、配偶者特別控除の適用を受ける納税者本人の合計所得金額及び配偶者の合計所得金額に応じて異なります。

(所法2、79、83、83の2、85、所基通2-46、2-47、措法41の16)

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寺﨑 幸治

 


車両購入時の仕訳処理

2018年11月05日 | 税務情報(法人関係)

皆さん、こんにちは。     

安倍総理が10/15に消費税10%を表明しました。ただ軽減税率の問題が多々出てきています。     
解決策がないまま、時間が過ぎています。2019年の夏の参議院選でもう一波乱あるかもしれませんね。            

実は私も消費税増税前に購入検討したいものがあります。それは車です。     
でも、車は車体本体価額だけではありません。たくさんの費用や税金が掛かります。購入時の悩みです。     
また、この仕事で悩むのは、お客さんが車両を購入した場合の仕訳や消費税区分も悩みます。     
カタカナやアルファベットが羅列されている、ごちゃごちゃした見積書・請求書ですし、パーツの名前にいたっては何の事かよく分かりません。     
そんな時は下記の5分類に分けると良いと思います。実際に私も請求明細のコピーに①~⑤と番号を付けて電卓で集計します。     
1.分類     
①車両本体・付属品・納車費用・・・消費税課税     
 全て車両本体の取得価額となります。     
 納車費用は、販売店から購入者への納入にかかる費用であり、自動車の購入のために要した付随費用にあたり、取得価額に算入する必要があります。     
②税金・・・消費税不課税     
 自動車税・自動車取得税・自動車重量税などの税金は、取得価額に含めず、損金として処理することができます。     
③保険料・法定費用・・・消費税非課税     
 自賠責保険料、及び法定費用(検査登録費用・車庫証明費用)は、取得価額に含めず、損金として処理することができます。     
④リサイクル関連費用・・・消費税不課税     
 シュレッダーダスト料金・エアバッグ類料金・フロン類料金・情報管理料金は、廃車時に自動車の廃棄というサービスを受けるための費用となりますので、購入時は預託金として処理します。     
 余談ですが、リサイクル関連費用消費税のポイントは、取得時は不課税、譲渡時は非課税売上(有価証券の譲渡と同じく5%対価に参入)、廃車時は費消するので課税仕入です。     
⑤各種手続の代行費用・資金管理料・・・消費税課税     
 検査登録手続代行費用・車庫証明手続代行費用は、上記の法定費用(検査登録費用・車庫証明費用)に関する手続の手数料であり、損金として処理できます。     
 資金管理料金は、前述の④の預託金の管理に対する手数料であるため、自動車購入時に損金として処理できます。     
     
 車を買うのにいくつも税金を払うのだから、販売店の見積書を国の主導で統一フォーマットにしてくれれば良いのに・・・といつも思っています。     
     
2.その他     
①取得価額に含める物の注意     
 自宅まで移送してもらうなどの費用や関税は納車費用として取得価額に含まれます。     
 割賦手数料や保険料は期間に注意して前払費用などに振り分けてください。     
     
②取得価額に含める物の任意処理     
 自動車取得税や法定費用は、取得のための直接必要であるため取得価額に含めなければならないような感じもしますが、購入による事後的費用であり、取得価額に含めるかどうかは任意とされています。     
 自動車税・自動車重量税・自賠責保険料は、「取得」というより「所有」することによって生ずるものであり、取得後に発生する費用と考えられるため取得価額に算入しません。     
     
③任意処理による仕訳処理     
 任意処理による仕訳は、課税対象の車両運搬具と、不課税の車両運搬具、非課税の車両運搬具が出てきますので課税区分には注意してください。     
 車両運搬具(課)  100    
 仮払消費税等     8   
 車両運搬具(不)    5    
 車両運搬具(非)    5    → 固定資産台帳には車両運搬具 110(税込なら118)で登録。
     
 ちなみに自動車取得税は、消費税が10%になった場合、廃止の予定になっています。確かに二重課税ですね。     
 新型ジムニーは、デザインとカラーが良いので検討していたのですが、燃費があまり向上しなかったので、家の総理兼財務大臣が首を縦に振りません。

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監査部1課 吉野伸明 


キャッシュレス化

2018年10月29日 | 日々のできごと

みなさんこんにちは。

だんだんと肌寒くなってきました。風邪をひかないように気を付けましょう。

 

みなさんはクレジットカードや電子マネーのカードはお持ちですか?一枚だけの方もいれば、用途に合わせて何枚も所有しているかたもいるかと思います。

もしくはカードではなくスマートフォンで決済される方もいらっしゃるかと思います。現金を持ち歩くよりかさばらないので身軽になりますね。

ちなみに私はクレジットカード2枚と移動用の電子マネーカードを1枚持っています。

 

日本は現金志向が強く、2016年の段階でキャッシュレス決算比率は19.8% およそ2割となっています。

各国の状況を見渡すと、韓国96.4% イギリス68.7% カナダ56.4% アメリカ46.0% インド35.1% ドイツ15.6%となっています。

経済産業省は2025年までにキャッシュレス決済比率を40%程度に引き上げることを目標としています。

 

支払は現金で管理したいという方も多いと思いますが、その考え方は今後難しくなる可能性があります。

政府は、中小小売店でキャッシュレスで購入した場合、消費税の2%をポイントとして還元する制度を打ち出しています。

いままで、10,800円(税込み)で買えたものが増税後は11,000円(税込み)となります。現金で買うと11,000円のままですが、キャッシュレス決済を行うと、11,000-200(ポイント還元)=10,800円となります。

一度の買い物では大きな差はないですが、つもりつもれば大きな差なります。

 

実際の負担額は上記のように差ができ、決済に必要な時間も現金決済よりキャッシュレス決済に軍配があがると思います。

自分の資産と限られた時間の浪費を減らすためにも、少しずつでもキュッシュレス化に対応してみましょう。

 

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監査部 十塚

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


年収別の消費税増税

2018年10月22日 | 税制改正

朝晩冷え込む季節となり、皆様はいかがお過ごしでしょうか。

徐々に寒い季節に向かいますので、体調管理には十分気を付けてください。 

さて、今回は、平成31年10月1日からの消費税率引き上げについてお話したいと思います。

消費税増税(10%)で、いくらの負担増になるか...。年収別に考えてみたいと思います。

 

消費税が8%から10%に引き上げられた際に気になるのが一体いくらの負担が増えるのかということではないでしょうか?

 

消費税はあらゆるモノ・サービスの消費にかかる税金です。 

一つ一つの金額は小さくても一年を通してみるとたくさんの消費税を支払っていたことに気づくと思います。

たったの2%ですが、年間でいくらの負担増になるのでしょうか。

年収ごとの消費税増税で増える家庭の負担額についてまとめました。

 

8%から2%上がるだけなので一つ一つの買い物では金額が小さく、影響はあまり感じられないかもしれません。

でも年間を通して合計してみるとかなりの金額になるのです。

年間の消費税額はその人の年間の消費支出に依存します。

 

当たり前ですが、収入の多い人の方が買い物に使う金額も多く消費税負担額も多くなります。

一方でどんなに給料が少なくても食料品など最低限の消費が必要になるので、割合で見ると収入の低い世帯の方が増税の影響を受けやすくなります。

 

ここでは年収別にどれだけの消費税負担が増えるのか見ていきましょう。

 

以下の表は総務省「家計調査」(2014年)をもとに金額を試算したものです。

また軽減税率は考慮していません。 

年収

消費税8%

消費税10%

負担増分

~200万円

8.7万円

10.9万円

2.2万円

200万~300万

13.1万円

17万円

3.9万円

300万~400万

14.9万円万円

19万円

4.1万円

400万~500万

16.7万円

21.2万円

4.5万円

500万~600万

18.2万円

23.3万円

5.1万円

600万~700万

20.5万円

26万円

5.5万円

700万~800万

22.7万円

28.7万円

6万円

800万~900万

24.8万円

31.3万円

6.5万円

900万~1000万

25.3万円

32.4万円

7.1万円

 

どうでしょうか。思ったよりもたくさん消費税を払っていたと思いませんでしたか?

 

年収500万円の人は年間で約20万円も消費税を支払っています。

 

そして8%から10%に消費税が上がると、5万円も負担が増えます。

 

その他の年収でも年間で2万円~7万円負担が増えることになります。

 

もし再来年までに給料が上がらなければ、手取りが減ってしまうのですね…

 

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【監査部一課】 十塚彰文


増える訪日客、広がる宿泊税

2018年10月15日 | 日々のできごと

ご存知でしたか?

東京都、大阪府、京都市ですでに導入済。福岡、金沢市、北海道でも検討中

 

宿泊税は東京都が2002年、外国人向けの案内の充実や、国際会議誘致に充てるため、全国に先駆けて課税を始めました。 2013年に訪日客が1千万人を超えて以降、日本の観光人気が加速して、24018年は3千万人を突破する勢いで、多言語の案内標識設置、トイレの洋式化、災害対策といった環境整備が急務になってきました。

 

宿泊税は地方税

宿泊税とは、宿泊施設を利用した場合に課される税金のことをいいます。

宿泊税は法定外目的税で、地方自治体の条例により制定される地方税です。

よって、導入している地方自治体ごとに税額や対象施設が異なることになります。

既にアメリカやカナダでは多くの地域で導入されており、日本では東京都(2002年)、大阪府(2017年)、京都市(2018年)が導入済みです。

 

納税者は宿泊施設、負担者は宿泊者

宿泊税を納税する義務があるのは、課税対象施設となっている宿泊施設ですが、その金額を負担するのは宿泊者です(特別徴収)。

 

課税対象となる宿泊施設

宿泊税を導入している地域で宿泊した場合でも、その宿泊施設が課税対象外であれば宿泊税を請求されることはありません。 各地方自治体で定められている課税対象施設は次の通りです。

 

【東京都】 

旅館業法に規定された都知事の許可を受けて、ホテル営業または旅館営業を行う施設が対象となります。簡易宿泊施設や国家戦略特区で都知事の許可を得ない民泊は対象外となっており、基本的には民宿やペンションなどは課税対象施設になりません。

【大阪府】 

ホテル、旅館、簡易宿泊施設、国家戦略特区で府知事の許可を得ない民泊などほとんどの宿泊施設が対象となります。

【京都市】 いわゆる違法民泊を含むすべての宿泊施設が対象となります。

 

 税額は?

【東京都】 宿泊料金が 1万円未満 非課税 1万円以上1万5千円未満 100円

 1万5千円以上 200円 二人以上が一室に宿泊する場合は、一人当たりに換算して宿泊料金が算出ます。修学旅行や業務による宿泊者を減らさないように、1万円未満の宿泊を非課税としています。

 

【大阪府】 宿泊料金が 1万円未満 非課税 1万5千円未満 100円 1万5千円以上2万円未満 200円 2万円以上 300円

 

【京都市】 宿泊料金が 2万円未満 200円 2万円以上5万円未満 500円 5万円以上 1000円

 → 京都市は日本屈指の観光都市なのですが、厳しい景観規制のため高層建築物が少なく、非課税の神社仏閣が多いなどの理由で固定資産税を多くとれず、担税力が低い学生が比較的多い事情から、実は厳しい財政状態にある一方で、観光名所の国際化、観光客の増加に伴う公共交通機関の慢性的遅延の解消が課題となっています。そこで新たな財源を確保するため宿泊税導入となったのです。

 

導入の目的、使い道は?

【目的】

国際都市としての発展

都市の魅力を高める

観光の振興

【使い道】

・より魅力的な観光地にするための観光資源の開発・充実

・旅行客誘致のための広告宣伝

・観光案内や情報提供の充実等

 

今後の課題

県と市の二重課税の問題 

地方自治体とは県市区町村の事をいいますので、県と市が宿泊税を導入することになったら、宿泊者は県と市の両者に対して納税を求められることになります。

観光客の減少や地域格差の問題

観光都市としてのブランド力がある地域であれば、宿泊税をはらってでも宿泊したいと思う人が多いでしょうが、それほどブランド力がない地方都市では、宿泊税の導入は観光客の減少につながる恐れがあります。

 

使途が不明確

宿泊税は、観光をよりよくするために使われるとされており、その税額を観光客が負担するということには合理性を感じますが、観光環境をよくするために道路を整備したとすると、この道路は観光客のみならず、その地域の住民も通るでしょう。このように宿泊税は徴収されたすべての税額が観光客のために使われるわけではないのです。

 

宿泊税は今後さらに全国的に広がっていくと思われますが、導入する地方自治体には、不公平感のない、その地域全体が納得できる制度作りが求められると思います。

 

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そんな大袈裟な(笑 → 手遅れ

2018年10月08日 | Weblog

「ジリリリリリリリン!」「火災が発生しました。なんたらかんたら・・・・。」

あなたならどうしますか?

 昔、専門学校の自習室で勉強していた時のこと。この時、私は第一に「本当に火事なのか?」ということを考えた。周りを見ても逃げる感じではない。出入口の方を見ても煙がモクモクと見えるわけでもなければ臭いもない。ワーだのキャーだのという声も聞こえない。そこで次にこう考えた。「これは誤報だ」。過去にもあったじゃないか。あの時も結局誤報だった。ここであわてて逃げたらあとで恥ずかしい思いをするなと。

 この状態は“正常性バイアス(Normalcy bias)”が強烈にかかっている状態だ。正常性バイアスとは「多少の異常事態が起こってもそれを正常の範囲内として捉え、心を平静に保とうとする働き」のことをいう。この働きは、私たちが日常生活を送る中で遭遇する様々な変化や新しい出来事に、心が過剰に反応し疲弊しないために必要な働きである一方、上記のように私たちのリスク感知を遅らせ対処を緩慢なものにしてしまう。もともとは適応をうまく行うために行動プログラムに組み込まれたものだが、緊急事態では逃げ遅れなど致命的な結果を招く元凶ともなる。しかも私の例のように過去に同じような経験をしていた場合、正常性バイアスは強化され、「まだ大丈夫」や「今回は違う」と、過去の経験値から都合の良い解釈をしてしまうやっかいな傾向を持つ。

 正常性バイアスは個人だけがかかるものではない。企業、病院等、あらゆる組織がこのバイアスにかかる危険を有している。危機に直面している際に「でも今回は大丈夫だよね」と異常を異常と感じ取れないことは組織を壊滅的な状態へと導く引き金となる。組織に長年いる役職者ほどその豊富な経験値によりこのバイアスがかかりやすくなることから、いよいよ事態が切迫した際には手遅れになっていることが多い。大きな顧客の喪失や従業員の連続退職等、「まあ、そんなこともあるだろう」と軽く見ていたら実はそれが重大な事態の兆候であり、適切に対処しておけばこんなことにはならなかったのに・・・と後悔することも、正常性バイアスがかかっていたことを示している。

 ではこの正常性バイアス。どう対処すればよいのだろうか。ひとつは、いち早く科学的に危機をキャッチする仕組みを構築しておくことだ。これは、営業部門や経理部門、外部のコンサルタント等、外部環境と接する境界点で働く者や、組織の数字と接し定量的な分析が可能な地位にいる者がキーマンになる。私たち税理士事務所が月次巡回監査を推奨している理由のひとつもここにある。毎月毎月を決算だと思い、常に最新の数字を把握しておくということの重要性。第三者である銀行等に適時対応するためだけでなく、経営者として組織の数字をリアルタイムで把握することが、科学的に「危機」をキャッチし素早く対処するための要となる。

 もうひとつは、その組織に対して豊富な経験値を“有していない”若手メンバーの素直な気持ちをいち早くキャッチする環境を整えておくことだ。若手のメンバーはその組織内での経験値の少なさから正常性バイアスがかかりにくい状態にある。その彼ら彼女らが抱く「不安」というのは組織の弱点を見抜いている場合が多々ある。異常を異常と判断できているその意見に、経営者としてアンテナをめぐらしておくというのは有用なことなのである。

 いずれにせよ、経営者はこれらのメッセージを“キャッチしなければならない”という点は同じである。キャッチできなくなるのが正常性バイアスなのにキャッチしろとはおかしな話だと思われるかもしれないが、誰しもが正常性バイアスにかかる危険を秘めており、一度かかるとこのようになるということを知っておくことは、いざかかった際にそこから素早く抜け出し、危機を危機と認識する手助けになるはずだ。先にも述べたように、正常性バイアスは心の平静を得るためのメカニズムでもあるため一概に否定されるべきものではない。しかし、経営者や管理職等より多くの人に影響を与える立場の人は、頭ごなしに「異常なんてそうは起きない」と考えるのではなく、上記「危機」と「不安」を結び付け、様々なシナリオを想定した上でその都度冷静に物事を判断することが求められるのである。

 私たち税理士事務所は数字を根拠とした分析から異常が発生していないか常に御社・御医院の経過を観察しています。月に一度訪問させていただく際にはお話をさせていただき、その不安や想いに耳を傾けています。そこから見えてくる“まだ見ぬ事態”を、組織外部の立場から進言させていただく“最後のキーパーソン”としてご活用いただければと考えています。

■参考リンク
正常性バイアス
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%A3%E5%B8%B8%E6%80%A7%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%82%B9

監査部一課 原浩恭


天高く馬肥ゆる秋

2018年10月01日 | 税務情報(個人関係)

皆さんこんにちは!

夏が過ぎ風あざみ?天高く「馬」肥ゆる秋となりましたね。

「馬」といえば、先日こんな記事を目にしました。

以下 税務通信より抜粋

 

【最高裁判所は8月29日、競馬の馬券の払戻金に係る所得について「事業所得」か「一時所得」かを巡り争われた事件で、納税者の上告を棄却し、国側が勝訴した一審・二審が確定した】

 

ご存知の方も多いと思いますが、競馬の馬券払戻金については、以前より所得の区分をどう判断するかで争われてきました。

 

これまでの馬券裁判では、払戻金が「一時所得」と「雑所得」のどちらに該当するかが争点でした。

しかし、今回は払戻金が

 

「事業所得」・・・事業を営んだことによるもうけ

「一時所得」・・・突発的・偶発的に生じたもうけ

であるか、という点で争われました。

 

この裁判の原告は横浜市の男性で、平成20年~27年の計8年間で約5億1千万円の馬券を購入し、約5億5千万円の払戻しを受けていました。

 

 原告は、自らが開発した競馬予想プログラムを使い、一定の法則のもとに馬券を大量に購入することを反復継続して、長期間、全体として利益を得ていました。

 

よって、原告は、「競馬所得は、偶発的なものでなく、必然的な利得であり、安定的・継続的に収益が見込まれたものであるため、『事業所得』である」と主張していました。

 

これに対し、国側(税務署)は、

・「事業」と認められるには、相当程度の期間継続して収益を得られる可能性がなければならないこと(原告の馬券の収支は8年間のうち3年間は赤字であり、継続的・安定的に収益を得ていたわけではない)

・馬券の購入に際して、ソフトを使用していたものの、完全にプログラムによるものではなく、最終的には原告の判断が反映されていることから、一般的な競馬愛好家の買い方と質的に異なるものではないこと

 

以上のことから、原告の競馬所得は一時所得であると主張していました。

 

最終的に、最高裁は納税者(原告)の上告を棄却し、国側が勝訴しました。

 

 

さて、みなさんこの件に関してどうお考えでしょうか?

 

私としても、競馬所得を事業所得にするには確かに無理があるよね・・・

 

と思いますが、

 

一方で、今回のケースでは8年間で何年か赤字の年があったものの、今後、毎年安定的に馬券でプラス収支を達成する猛者が現れた場合はどう判断するのか・・・

 

という疑問は残ります。

 

また、一般的な競馬愛好家の私からすると、

 

「一般的な競馬愛好家による馬券の購入様態と質的に異なるものではない」

 

という主張には?マークがつきます。

 

ソフトを使って馬券を購入するのはともかく、8年間で5億円もの馬券を購入するのは、量的には一般的とは言えないような気もしますよね・・・

 

馬券裁判に関しては、今回は国側(税務署側)が勝訴しましたが、まだまだこれから色々な事例が出てくると思われます。

 

動向に注目しましょう。

そして、競馬は程よく楽しみましょう!

大儲けしたときは申告をお忘れなく!

 

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監査部 長野(牡)

 


消費税10%導入時の軽減税率について

2018年09月25日 | 税制改正

 

 みなさん、こんにちわ! 監査部二課の塩塚です。

 平成31年10月1日から消費税及び地方消費税の税率が現行の8%から10%に引き上げられます。

同時に消費税の軽減税率制度も導入されます。軽減税率の対象品目だと8%のままになります。

 軽減税率の対象品目は飲食料品と新聞です。

・飲食料品とは、食品表示法に規定する食品(酒類を除く)をいい、一定の一体資産(※1)を含みます。外食やケータリング等(※2)は、軽減税率の対象品目には含まれません。

・新聞とは、一定の題号を用い、政治、経済、社会、文化等に関する一般社会事実を掲載する週二回以上発行されるもので、定期購読契約に基づくものです。

(※1)について、一体資産とは分かりやすくいうと、「おもちゃつきお菓子」など、複数の商品がまとめて販売されている食品の事を言います【参照:28年法改正方附則34等、国税庁「国税庁の軽減税率に関するQ&A(制度概要編)」問3】。

(※2)について、ケータリングとはWikipediaによれば顧客の指定する元に出向いて食事を配膳、提供するサービス業のこととあります。

 税率の異なる商品等を扱う事業者は経理や請求書等の作成において注意が必要ですね。国税庁がHP上で公開している軽減税率のリーフレットに記帳、請求書作成の消費税の区分の例示がありましたので画像を張り付けておきます。

 

 

 軽減税率導入で具体的に、事例が形式で確認しましょう! 消費者の立場で考える問題が多いです。 

 ①か②(問題によっては③か④)を選んでください【参照:28年法改正方附則34等、国税庁「消費税の軽減税率に関するQ&A(制度概要編)」問2、問6、問7、問8、問9】。

1)毎朝、通勤途中の駅構内にある売店にて購入する一般紙の新聞(日刊紙)は軽減税率が①適用されます、②適用されません。

→②適用されません。週二回以上発行される新聞であっても定期購読契約にも度づかないものは軽減税率の対象にはなりません。

 

2)消費税の軽減税率の対象となる飲食料品の譲渡に、薬局で売っている「医薬品」は①含まれます、②含まれません。また、同じく薬局で売っている「医薬部外品」は③含まれます、④含まれません。

→②含まれません、④含まれません。飲食料品とは食品表示法に規定する食品(酒類を除く)が対象で、医薬品医療器等に規定されている「医薬品」「医薬部外品」は含まれません。

 

3)いわゆる外食には軽減税率が適用されません。それでは、フードコートでの飲食の提供は軽減税率が①適用されます、②適用されません。 

→①適用されます。いわゆる「テイクアウト」や「持ち帰り販売」は、テーブル、椅子、カウンターその他の飲食に用いられる設備のある場所」において、飲食料品を飲食させる役務の提供のこととされています。また、飲食のための専用の設備である必要はないとされています。

 

4)ハンバーガーショップのような「店内飲食」、「テイクアウト」の両方の携帯で役務の提供している場合、「店内飲食」について軽減税率が①適用されます、②適用されません。さらに、「テイクアウト」について軽減税率が③適用されます、④適用されません。

→②適用されません、③適用されます。店内飲食と持ち帰り販売の両方を行っている飲食店等においては、その飲食料品を提供する時点で、「店内飲食」(消費税率10%)であるのか「持ち帰り販売」(消費税率8%)であるのかを、顧客に意思確認を行っていただくなどの方法により判定することとされています。もちろん、弁当販売のような「テイクアウト」した食品は軽減税率が適用されます。 

 

 

今回は軽減税率に関して具体例を交えて紹介いたしました。

 

 

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監査部 塩塚翔


IT導入補助金

2018年09月10日 | 補助金

皆様、こんにちは!

 

本日は9月上旬から3次公募が開始されますIT導入補助金の案内をいたします。

現時点で交付申請期間が9月上旬から11月中旬までの予定となっております。

 

 ・補助金の金額について ~補助額がいくらなのか~

一番気になるところの補助金の金額についてですが、上限額が50万円です。
補助率が1/2以下ですが、下限額が15万円に設定されています。
 
補助金は交付申請した経費がすべて補助金になるわけではありませんが、元々新しいソフトウェア・サービス等の導入を検討しているのであれば参考になればと思います。
 
 
 ・交付申請する為に ~補助対象なのか~

補助対象となるITツールの種類は、下記の3つの区分から構成されます。

⒈ ソフトウェア製品/クラウドサービス

 ・ソフトウェア、クラウドサービス

⒉ オプション

 ・機能拡張/データ連携ソフト
 ・HP利用料
 ・アカウントID追加/クラウド年間利用料追加

⒊ 役務

 ・保守・サポート費(最大1年分)
 ・導入設定、業務コンサル、マニュアル作成、導入研修
 ・セキュリティ対策

ITツールの種類の内『⒈ソフトウェア製品/クラウドサービス』が前提条件になっています。

 

次に交付申請する為にITツールを(1つまたは複数)導入することで、フロント業務・ミドル業務・バックオフィス業務のうちから業務機能を2つ以上持つことが必要条件となります。

交付申請
パターン

選定する
ツール

業務機能

機能の判定

導入条件

1

ツールA

在庫管理

1.在庫管理


(2機能を有するため)

ツールB

発注・支払管理

2.発注・支払管理

2

ツールC

外国人対応

1.外国人対応


(2機能を有するため)

顧客管理

2.顧客管理

3

ツールD

会計管理

1.会計管理

×
(1機能しか有していないため)

ツールE

会計管理

交付申請パターン1:ツールは複数で2つの機能をもって交付申請しているので条件を満たしています。

交付申請パターン2:ツールは1つで2つの機能でもって交付申請しているので条件を満たしています。

交付申請パターン3:ツールは複数で1つの機能を2つで交付申請しているので不十分です。

 

以上のことから、交付申請する場合には2つの機能が必要になります。

このIT導入補助金というのは、自社の課題やニーズに合ったITツール(ソフトウェア、サービス等)を導入する経費の一部を補助することで、業務効率化・売上アップをサポートすることが目的です。

新しいITツールを導入予定の皆様方、この機会に条件に合致するのか確認された上でIT導入助成金の交付申請を一度ご検討なさってはいかがでしょうか。

この記事を作成時点ではまだ交付申請期間を調整中とのことでした。(2018年9月10日)

 

もしご興味がございましたら、弊所までご連絡を頂ければと思います。

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監査部 松村


配偶者控除等の変更点

2018年09月03日 | 税務情報(個人関係)

皆様、こんにちは!

 

9月に入り、そろそろ年末の休みにどこに行こうかと家族でも話題になってくる時期ですね。

 

私たちの仕事では12月の年末調整に向けて色々準備を始める時期になってきました。

 

そこで今回は、(1)配偶者控除と(2)配偶者特別控除について、平成30年からの改正について簡単にご説明します。

 

今回の改正のポイントは以下の2点です。

 

①  納税者本人の所得制限が設けられた

②  納税者本人の受ける控除額が増減した

 

この改正のポイントを中心にこれからご説明していきます。

 

(1)配偶者控除とは

 

配偶者控除とは、納税者に所得税法上の控除対象配偶者がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられることです。

そして控除対象配偶者となるには、年間の合計所得金額が38万円以下であることが要件となっています。これは、収入がアルバイトやパートの給与のみの場合であれば、給与収入が103万円以下であると要件を満たします。

 

この配偶者控除ですが、平成29年までは納税者に所得制限はなく、配偶者の所得が38万円(給与のみであれば給与収入が103万円)以下であれば、納税者は38万円の配偶者控除が受けられました。

しかし、平成30年からは納税者の所得に以下の表に示すように制限が加わり、所得に応じて納税者の受けられる配偶者控除の金額が変わるようになりました。

 

 

 

 

 

 

控除を受ける納税者本人の合計所得金額(給与収入)

 

900(1,120)
万円以下

900万円超

950(1,170)
万円以下

950万円超

1,000(1,220)
万円以下

 

1,000(1,220)
万円超

配偶者控除額

38万円

26万円

13万円

なし

 

このように、納税者の所得が900万円(給与のみであれば給与収入が1,120万円)以下であれば、38万円の配偶者控除が受けられます。

一方、納税者の所得が900万円(給与のみであれば給与収入が1,120万円)を超えると、控除額が表のとおり逓減・消失する仕組みとなっています。

 

(2)配偶者特別控除

 

次に配偶者特別控除についてご説明します。配偶者特別控除とは、配偶者に38万円を超える所得があるため配偶者控除の適用が受けられないときでも、配偶者の所得金額に応じて、一定の金額の所得控除が受けられることをいいます。

平成30年度より配偶者特別控除の金額は以下の表のとおりになっています。

 

 

控除を受ける納税者本人の合計所得金額(給与収入)

 

900(1,120)
万円以下

900万円超

950(1,170)
万円以下

950万円超

1,000(1,220)
万円以下

38万円超  85万円以下

38万円

26万円

13万円

85万円超  90万円以下

36万円

24万円

12万円

90万円超  95万円以下

31万円

21万円

11万円

95万円超 100万円以下

26万円

18万円

9万円

100万円超 105万円以下

21万円

14万円

7万円

105万円超 110万円以下

16万円

11万円

6万円

110万円超 115万円以下

11万円

8万円

4万円

115万円超 120万円以下

6万円

4万円

2万円

120万円超 123万円以下

3万円

2万円

1万円

 

平成30年からは、配偶者控除と同様に納税者の所得制限が新たに設けられました。また、配偶者の所得が38万円(給与収入のみであれば103万円)以上で配偶者控除が受けられなくても、配偶者の所得が123万円(給与収入のみであれば201万円)以下であれば、

納税者は配偶者特別控除を受けることができます。

 

 

(3)まとめ

 

今回の改正では、働きたい人が就業調整を意識しなくて済む仕組みを構築する観点から見直しが行われています。これによって、納税者が従来の38万円の配偶者控除と同じ控除を受けるための配偶者の所得の金額が、85万円(給与収入のみであれば150万円)に引き上げられています。

 

これによって、配偶者の働き方が変わってくるかもしれません。しかし、所得税では控除を受けるための収入が引き上げられていますが、社会保険の扶養に入るための収入は130万円のままです。さらに納税者が会社から支給されている扶養手当の要件が従来の103万円のままですと、配偶者控除が受けられても扶養手当が無くなり、家計としてはマイナスとなる可能性もあります。

 

これらのことを考えると、これからは家族のコミュニケーションが今まで以上に大事になってきますね。

今週末は是非ご家族の仕事についてお話をされる時間を作ってみてはいかがでしょうか。

 

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監査部(独身) 平山


退職金にかかる所得税について

2018年08月27日 | 税務情報(個人関係)

皆様こんにちは!
本日は退職金にかかる所得税についてです。

給与と同様に、退職金にも所得税がかかります。

しかし、退職金は給与と比べて税額が優遇されますので、
その計算方法についてお伝えしたいと思います。


①退職所得控除額の計算
まず退職所得控除額の計算を行います。
勤続年数が20年を超えているかどうかで計算方法が異なります。

20年以下の場合:40万円×勤続年数
20年を超える場合:70万円×(勤続年数-20年)+800万円
※勤続年数に1年未満の端数がある場合、1日だとしても1年として計算します。
※上記の算式によって計算した金額が80万円未満の場合は、80万円を退職所得控除額とします。


②退職所得金額の計算
退職所得の金額は下記の算式で計算します。

退職所得=(退職金の額-退職所得控除額)×1/2


③所得税額の計算

所得税額=退職所得金額×税率-控除額

加えて所得税額×2.1%が復興特別所得税として加算されます。

所得税及び復興特別所得税=所得税額+所得税額×2.1%


税率と控除額は下記の表を参照します。

退職所得金額 税率 控除額
1,000円から1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円から3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円から6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円から8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円から17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円から39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円以上 45% 4,796,000円

 

では、実際に金額を当てはめて計算してみましょう。

30年勤務した方が退職金を2,500万円受け取った場合で計算します。


①退職所得控除額の計算
30年勤務ですので、下記となります。
70万円×(30年-20年)+800万円=1,500万円


②退職所得金額の計算
(2,500万円-1,500万円)×1/2=500万円


③所得税額の計算
所得税額:500万円×20%-42万7,500円=57万2,500円

所得税及び復興特別所得税額:57万2,500円+57万2,500円×2.1%=58万4,522円
※別途住民税がかかります。


①で計算した所得控除額が、給与よりも大きな金額になるように設定されているため
税額が大幅に低くなります。
例えば一般的な給与所得の方は、103万円(基礎控除38万円+給与所得控除65万円)です。


経営をなさっている方に関しましては、従業員に対して退職金の積立等を行い、
従業員について税額メリットの説明をしておくことで、
長く勤務してくださる方が増えるかもしれませんね。


もしご興味がございましたら弊所までご連絡ください。

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監査部 渡部


事業承継

2018年08月20日 | セミナー

事業承継

事業承継とは、会社の事業を後継者に引き継ぐことですが、中小企業においては経営者の後継者不足や高齢化などにより、それが進んでいないのが実情です。国の経済を支える中小企業を存続させ、さらに発展させていくためにも、経営者には事業承継の意義やその仕組みへの理解、また、遅すぎるとなる前により早い段階で対策を講じることが求められています。

「事業承継」とは

事業承継とは、一般的に、閉鎖を予定する会社や同族会社のオーナー社長が、親族や従業員に、あるいは、M&Aの相手先に事業を承継、譲渡させることを言います。

事業承継は、単なる相続の問題ではなく、会社の存続に係わる極めて重大な経営課題であり、慎重に検討したうえで進めていく必要があります。

●株式の承継に伴う納税猶予・免除制度『事業承継税制』について知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
【関連】事業承継税制とは?概要やメリット・デメリット、改正による要件緩和の内容をご紹介 /

●M&Aによる事業承継のメリットや手順を知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
【関連】M&Aによる事業承継を行うためには?メリットやプラットフォームもご紹介/

 

事業継承の現状

中小企業では後継者の不在、また、その結果による経営者の高齢化が進行していることにより、事業の承継を行うことができず、維持、伝承されるべき雇用や技術などが途絶えてしまうという重大な危機に直面しています。

中小企業における後継者の問題と、経営者の高齢化の状況について分析していきます。

後継者の確保が困難

かつては比較的容易であった後継者の確保が、昨今においては少子化などの影響もあって、そもそも子供がない、いても事業に関心を示さないなどの理由で難しい状況となっています。また、子供に対する職業選択の気遣いなどもあり、事業の承継を無理強いしていないというケースも増加しています。

中小企業の後継者不足の現状についてですが、下記、図表1によると、ほぼすべての売上規模の企業が前回の調査時よりも後継者不在率を上昇させていることがわかります。しかしながら、売上規模が1億円未満の企業にいたっては、78.2%もの高い数字を示しており、やはり、中小企業のほとんどがなんらかの後継者問題を抱えていることがわかります。

 

経営者の高齢化

中小企業の経営者は60歳代後半が最も多く、さらに高齢化が進んでいます。経営者の高齢化は、基本的には、先で述べた後継者不在問題が解消されないことによるものですが、後継者がいないために自身で事業を続けているという場合だけではなく、事業の将来性のなさを考えてこのまま自身の代で終わらせることを決断している場合もあります。

事業承継が進まなかった理由として、「将来の業績低迷が予測され、事業継続に消極的」というものが最も多く、「後継者を探したが、適当な人が見付からなかった」がそれに続くものとなっています。

つまり、単に後継者がいないために経営者としての地位を維持しているわけではないことがわかります。

このデータが意味するところは、中小企業の経営者はできるところまでは自身で事業を継続させるが、その後は廃業を考えているというものであり、政府においてもこのあと到来するであろう団塊の世代の引退時期に大きな懸念を抱いています。

事業継承の重要性

団塊の世代であろう中小企業の経営者は、年齢的にも引退時期を迎えようとしています。しかしながら、これまで述べたとおり、まだ引退を考えていない、あるいは考えられない経営者が多い状況となっています。

このまま事業を継続していくと会社の業績がどのようになっていくのかについては、社長の年齢が高くなるほど増収、増益である企業の割合は低下していくという結果が出ています。

 

どのような理由があるにせよ、このまま事業承継対策を行わない状態が続けば、上記、図表3のような業績悪化はもちろん、最悪の場合は廃業に追い込まれる可能性もあります。仮に経営者自身がそれを許容していたとしても、思わぬ負債を抱えてしまうことも考えられます。また、そのまま経営者が死亡してしまった場合にも遺産分割により、資産を集中できなかった会社は存続が危ぶまれます。

こうした事態を避けるためのものが事業承継であり、親族に承継しない場合においても、従業員や親族、また、取引先などのために適切な対策を講じることが求められています。

「事業譲渡」との違い

事業承継とは別に、事業譲渡というものがありますが、これは、会社の事業を後継者に引き継ぐというものではなく、事業の全部または一部を第三者に譲渡(売却)することを指します。例えば、複数の事業を行っている会社が、特定の事業だけ譲渡したい場合や対象会社に存在する債務を切り離すことを目的として選択される手法です。

後で説明するM&Aの一種になりますので、広い意味では、事業承継の手段のひとつであるとも言えます。

事業承継では、その会社が培ってきた様々な財産を後継者に承継することになりますが、その財産を大きく分けると、「人」、「資産」、「知的資産」の3つの要素に分類できます。

人の承継

まず、人についてですが、中小企業においては、以下で述べる「知的資産」におけるノウハウや取引関係との人脈などが経営者個人に集中していることが多いため、事業の円滑な運営や業績が経営者の資質に大きく左右される傾向にあります。人、つまり、経営者に集中している「経営権」の承継という意味になります。

資産の承継

株式、設備や不動産などの事業用資産などの「物」、運転資金や借入金など「金」のことです。会社保有の資産価値は自社株の評価となるため、事業承継でまず考えるべきは株式の承継になります。

知的資産の承継

経営理念、従業員の技術や技能、ノウハウ、経営者の信用、取引先との人脈などがこれに当たります。知的資産こそが会社の強み、価値であることから、この知的資産を承継することができなければ、その企業は競争力を失って事業の継続も難しくなります。

現経営者は、自社の強みや価値がどこにあるのかを理解し、これを後継者に承継していく必要があります。