消費税の価格転嫁対策

2013年11月11日 | Weblog
みなさん、おはようございます。

秋も一段深まり、食欲・スポーツ・行楽・芸術・読書にはピッタリの季節になりましたが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。

さて、8月10日に消費増税を柱とする社会保障と税の一体改革関連法が可決し、来年4月1日から現行の5%から8%へ引き上げられることになりました。今日は消費税増税に伴う増税分の価格転嫁についてお話ししたいと思います。

(消費税は滞納が多い)
東京国税局が平成25年8月に発表した「平成24年度 租税滞納状況について」によると平成23年度までの国税の滞納額は7,463億円で、うち消費税は2,110億円(消費税は全体の28%)、平成24年に新たに生じた国税の滞納額は2,351億円で、うち消費税は1,121億円(なんとほぼ半分の48%が消費税!)となっています。消費税の滞納額は全税目の中でも一番多くなっています。

(価格転嫁)
心配なのは、売手が増税分をきちんと価格に転嫁できるかということです。平成9年4月に消費税率を3%から5%に引き上げた際、立場の強い小売業者が、仕入れ先の中小企業に増税分の価格転嫁を拒否する行為が相次ぎました。日本商工会議所などの調べでは、9年の消費税増税時に、中小零細業者の5割超が、消費税の増税分を納入価格に転嫁できなかったということです。このような状況では立場の弱い者に負担を強いることになり、また消費税の滞納を一段と深刻化させてしまいます。
当然ながら、消費増税分の価格転嫁が100%実施されることが必要です。これについては消費税転嫁対策特別措置法が平成25年10月1日から施行されています。立場の強い買手が弱い売手に対して減額、買いたたき、商品購入・役務利用または利益提供の要請、本体価格での交渉拒否、報復行為が禁止されることになりました。

(転嫁Gメン)
また実効性を高めるため、経済産業省は10月2日、来年4月の消費税率引き上げを前に「消費税転嫁対策室」を中小企業庁や全国の経済産業局に設置しました。約500人の「転嫁対策調査官(転嫁Gメン)」を配置し、大企業が下請けの中小企業などとの取引で消費税分の価格転嫁を阻んでいないか監視するそうです。転嫁対策調査官は、書面や実地での聞き取り調査などを通じ、消費税分の不払いや、支払い時に対価の一部を差し引くなどの行為が行われていないか監視し、悪質な事例が判明した場合には、公正取引委員会が是正を勧告し、企業名を公表します。

立場の弱い者だけが負担を強いられることなく、消費者・サービスの提供を受けた者が負担するという消費税法本来の仕組みに則り、また増税分が今回の増税目的である社会保障のために使われ、そしてより良い社会になっていくことを切に望みます。
藤野慶一