医療費控除の改正

2017年11月13日 | 税制改正

みなさま、おはようございます。

早いもので今年も残り50日を切りました。年末にバタバタしなくて済むように残りの一日一日を大事に使っていきたいと思う今日この頃です。

さて、確定申告時に準備する書類で手間のかかるものと言えば医療費控除の集計ではないでしょうか。

この医療費控除、今年分の確定申告から大きな変更があります。

今日はその変更点を纏めてみます。

 

(ポイント)

①従来の「医療費控除」の改正

②新しく創設された「セルフメディケーション税制」

③両者比較

 

①従来の「医療費控除」の改正

変更点は1点、医療費控除の明細書の提出が必要になったことです。その代りに領収証の提出が不要になりました。

また、以前より発行されているにも関わらず控除証明書類として認められなかった健康保険組合が発行する医療費のお知らせが控除証明として使うことが出来るようになり、添付することで医療費控除の証明書への記載を省略することができます。

医療費のお知らせは、毎年2月ごろに前々年10月~前年9月診療分が記載されたものが届きますので、これをきっちり保管しておけば前年の10月~12月診療分だけ明細を作成すれば良いので便利かと思います。

(平成29年分から平成31年分までの確定申告については、従来の領収書を添付する方法によることもできます。)

医療費控除の明細書は国税庁のホームページからダウンロードできます。

https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/yoshiki02/pdf/ref1.pdf

 

領収証は提出不要となりましたが、税務署から求められたときは提出する必要があるので5年間保管する必要があります。

 

 

②新しく創設された「セルフメディケーション税制」

上がり続ける医療費。これを健康の維持増進や疾病の予防へ取り組むことにより抑えようという目的で、平成29年1月1日以降に薬局で購入できるスイッチOTC医薬品(医療用として病院の処方箋が無いと購入できなかった薬が、ドラッグストアで購入できるように一般用に転用したもの)を購入した場合は一定の金額について医療費控除を受けることが出来るようになりました。①とは対象が異なりますので医療費のお知らせや病院で受け取った領収証は対象外です。

 

こちらは①では認められないインフルエンザ予防接種も予防への取り組みですから認められています。また人間ドックや各種健診は健康保険組合や市区町村国保等が実施するものに限って認められています。

薬局で購入した医薬品がスイッチOTCに該当するかどうかはレシートを見れば区分記載されるようになっていますので、該当するのかどうかの判断は不要です。

 

医療費控除を受けるにあたっては、セルフメディケーション税制の明細書と一部領収証(健診やインフルエン予防接種の領収証)の添付が必要です。スイッチOTC医薬品の領収証は不要です。

こちらも提出しなかった領収証は5年間の保管が必要です。

セルフメディケーション税制の明細書は国税庁のホームページからダウンロードできます。

https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/yoshiki02/pdf/ref2.pdf

 

 

③両者比較

対象医療費と控除金額の比較は下記の通りです。

 

従来の医療費控除

セルフメディケーション税制

対象医療費

一定の診療代等

(セルフメディケーション税制よりも適用範囲は広い)

一定のスイッチOTC医薬品に限定

控除金額

10万円を超える部分

(上限200万円)

12,000円を超える部分

(上限88,000円)

本人分だけでなく、生計を一にしている配偶者その他の親族の分も控除可能なのはどちらも共通です。

どちらかの一つの選択適用になります。

大雑把ですが、今年は随分と病院にかかった、インプラント治療などで多額を医療費を払ったという方は金額的には敷居も高いが控除額も200万円まで行ける従来の医療費控除、病院に通うよりは薬局の薬で対処した、大きな治療費もないという方は敷居も低いが上限も低いセルフメディケーションというところでしょうか。

どちらの方法にしても領収書の提出は必要なくなりましたが明細書の作成時に必要になります。紛失などしないように医療費の資料は別にファイルを作って管理されるのが良いと思います。

 

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監査部2課 藤野慶一