この人の世界に在る。上たる者は上相応の利あり。下たる者は下相応の利あり。君子は君子相応の利あり。小人は小人相応の利あり。是を互いに奪うべからずじゃ。禄位官爵にも此の戒あり。智愚にも此の戒あり。佛法僧三宝の境にも此の戒あり。地水火風空の五大に於ても。各此の戒具ると云ふことじゃ。
此中に上相応と云は百官の富。宮室の美。南面拱手して萬國の主となり。一人を以て億兆の上に居す。山海の珍味。華夷の玩好。目前 . . . 本文を読む
(大智度論釋初品中戒相義第二十二之一)(五戒と八戒の一日戒どちらが優れるか)
問曰「五戒 (不殺生、不偷盜、不邪淫、不妄語、不飲酒)と一日戒(八戒の不殺生、不偷盜、不邪淫、不妄語・不飲酒香油塗身戒・歌舞観聴戒・高広大床戒・非時食戒を一日守ること)、何者か勝れたるとなすや」。答曰「因縁あるがゆえに二戒倶に等し。但だ五戒は終身持つ。八戒は一日持つ。又五戒は常に持てども時は多くして戒は少なし。一日戒は . . . 本文を読む
田辺元「懺悔道としての哲学」・・・最終回
「・・・救いの媒介となって働く以外に仏國土はありえない。・・・へーゲルの弁証法はカントにおける理性の矛盾を自己の中に含めて現実を把え、理性の偉力で現実を貫いたがこれは正しく賢人賢者の道である。
私のような愚者凡夫は謝るほかない。しかし私は理性をこえた仏の世界、現実に働く大悲の世界に転ぜしめられた。・・・自己の救いは・・自己の渡る先に他を渡す以外に道はな . . . 本文を読む