福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

蒙古襲来時の温故知新・・その10

2018-08-23 | 護国仏教
八幡愚童訓・・続

弘安四年八月十一日、御幸あり。是異国降伏し坐す御悦びなり。亡率を訪ひ、また神威を餝かざりたてまつる為なり。思円上人におおせられて持戒の僧百人を引き具して、宝前にて一切経を転読三け日、結願の時は大法会なり。由々しき見物誠に法楽なり。この御願の趣は昔、大隅・日向の両国の乱逆を鎮めんとて公家、ことに宇佐八幡大菩薩に御祈請ありしかば、辛島勝代豆米(八幡宮の女性禰宜)これは「扶桑略記」巻六に出てくる,神軍を相率してうち平らげにき、その後養老四年九月の御託宣に、『合戦の間、多く殺生を致す。よろしく放生を修して彼の罪業を謝すべし』とありしより、網にかかる魚を放ちて、罠にいる獣を赦して,最勝王経を講読して、放生会となずけらる。『これすなわち慚愧あるものは罪あることなし。慚愧なきものは罪なきことなし。我が心自ら空にして罪福無主なり』とつげたまへり。神慮わするべからず。異賊といひ官軍といひ、命を失ふ者多きこと責め一人に帰すれば己の罪を慚愧し神恩報謝の御為ばり。殊更今度は叡慮深く思円上人を頼みおぼしめして此の如く仏事をなして神道をかざりたまひしかば、厳重の霊徳を施したまひき。而今以降はかようの上人在りがたし、清浄の法味を誰備えて尊神をも驚かし、効験をも掲焉に在る可。政道は日に日に衰え廃れ、人民は漸く滅び失す。異賊は国々を従え隣敵は方々に広まり、四海より責めよせんに一定危なかるべし。いかがすべきと歎きしに、思円上人、大願を立てられること有り。『我れ異国の太子と生まれて王位を継ぎ、合戦を止め、自他を安穏ならしめん』となり。今この上人の善行方便は大悲代苦の誓願にも増し、遊戯地獄の慈民に過ぎたり。深重の願望通りてや、異朝の王となり給うらん。彼の上人遷化の後は異賊襲来すること無りけり。

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