「忠ならず考ならず、義も無く慈も無し。五常も羅網すること能はず、三乗も牢籠することを得ず。邪師を祖として習ひ邪教に依り憑る。かって出要(出離の要道)を求めずして一向に眼前を営む。かくの如くの衆生を名けて愚童羝羊といふ。・・・愚童とは・・いはく六道の凡夫なり。実諦の因果を知らず、心に邪道を行じ、苦因を修習し、三界に恋著し堅執して捨てず、・・凡夫とは・・いわく無明に依るがゆえに業に随い報を受けて自在なることを得ず、種々の趣の中に堕して色心の像類おのおの差別せり、故に異生といふ。・・」
(秘密曼荼羅十住心論第一)